JASIPA経営者サロン資料公開(1)

前報にように4月から試みに実施してきた経営者サロンを、この7月より正式にJASIPAの行事として会員の皆様の参加を公募することになりました。これまでどんなことを話し合ってきたのか、私のブログでも簡単に報告させて頂いており、また和知理事長よりFACE BOOKに私の資料が取り上げられたりしていますので、再度これまで私より議論のネタとして提供した資料を当ブログ読者の皆さんに公開しておきます。まずは第1回のものです。

参加者の企業の企業理念を精査すると、「社員の心豊かで幸せな生活の実現」「能力を発揮し自主自立精神で・・・」「社員は仕事を楽しむこと」など社員の成長を期するものが、ほとんどの企業理念に謳われている。そこで第1回のテーマとして、「社員を大切にすると言う企業理念を日々の行動にどう生かしているか?」をテーマに選び、議論のネタとして下記の資料を提示した。

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あなたは、企業理念に基づいてどんな行動をしていますか?

それは社員にも認知されていますか?

あなたの会社の社員は、仕事を楽しんでいますか?

  • 社員同志のつながり、関係はどうですか?<チームワーク>
    • ?お互いに助け合っていますか
    • ?社内行事に積極的に参加していますか?
  • 上司との信頼関係はどうですか?<育成マインド>
    • ?上司は、部下の育成に対して気を使っていますか?
    • ?日頃から上司との対話はありますか?
    • ?上司の仕事の与え方は?
  • 自らの成長に、自ら投資していますか?<学習する組織>
    • ?仕事に埋没していませんか?
    • ?自分の能力が向上しないのを会社のせいにしていませんか?
    • ?技術・知識に加えて、礼儀作法、人間力の重要性も認識していますか?
  • 日頃、感動・感謝・感激を覚えることは多いですか?<自律感動型人材>
    • ?仕事で感動することは何?
    • ?職場の同僚に感謝のことばを伝えたことは?
    • ?お客様から感謝のことばをかけられたことは?

あなたの会社の社員は、お客様から信頼を受けていますか?

お客様からの信頼を得るために、あなたは日頃どんな指導をしていますか?

第3回JASIPA経営者サロン(6月28日)

この4月にJASIPA会員向けに何か意味あることを始めようと言うことで、仮称「若手経営者懇談会」を開始したことを報告した(http://jasipa.jp/blog-entry/7483)。5月に実施した第2回も当ブログで報告した(http://jasipa.jp/blog-entry/7566)。世話役を買って出てくれたBSC林社長の提言で、参加者の評判・意見も踏まえ、今後は正式に「JASIPA経営者サロン」という名称にし(若手に絞るのではなく、広くJASIPA会員から募る)、7月23日に実施予定の第4回から参加者を公募することにしている。

第3回が昨夜(28日)飯田橋のJSIPA事務所で開催された。今回は2部制で、1部は先輩会員の生々しい成功体験、失敗体験談を聞くこととし、SAC阿部理事から「事業規模拡大について」話を伺い、意見交換した。パイロットの夢を持ちながら、SEの道を歩んだ阿部氏の入社した会社で、図らずも若くして社長に抜擢され、その後、30名の壁、50名の壁、100名の壁にぶつかりながら規模を拡大し、その間一度も赤字を出さなかった阿部氏の歩みは、規模拡大の夢を持ちながら、なかなか踏み切れない経営者に「思い」と「覚悟」の必要性を説き、参加者にとっても大いに参考になり、力になる話になったのではないかと思う。

2部では、第1回、第2回と同じく、私の方からテーマを提供し、意見交換を行った。今回のテーマは、阿部氏の事業規模拡大の話につながる話として、「尊敬されるリーダーになるには」とした。松下幸之助氏や稲盛氏など、名だたる経営者も最初は数名の企業からスタートしている。小さな会社を世の中に認められ、社員も満足する相応の規模の会社に育て上げるには、社長と一緒になって頑張れる社員を育て上げなければならない。そのためには「さすがうちの社長は!」「この社長のもとで頑張ろう!」と言ってくれる社員がいることである。前稿「全員経営」(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/)を進めるにあたっても必要なことだ。私も自戒の意味も込めて、当テーマを選んだが、参加者の皆さんにとっても耳の痛い話になったかも知れない。が皆さん、このテーマに関して「今後意識をして取り組まねば」と思ってくれたものと考える。

次回から公募することになったが、出来るだけ幅広い方のご参加をいただき、この会がますます活性化し、JASIPAの目玉サロンになることを目指したい。これまでのサロンの様子は、これまでの参加者の方にお聞きいただきたい(参加者は堀事務長、幹事の林さんにお聞きください)。

「全員経営」のすすめ

PHP Business Review「松下幸之助塾7・8月号が昨日届いた。5.6月号に関してはその一部を5月3日(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2012/5/3)、5月5日(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2012/5/5)に紹介した。今回の特集は「全員経営の凄み」。そのリード文を紹介しておく。

「‘全員経営’――この言葉が近年マスコミ上に頻出し、多くの企業の課題として問われている。その背景には、‘全員経営’ではない経営、すなわちトップの経営判断だけに頼る経営ではこのグローバル化の時代、スピードに劣り、とても乗り切れないからという危機感がうかがえる。そしてまたそれは一人ひとりのビジネスパーソンの尊厳を考える上でも、必然となってきたようだ。社員全員が目標を共有しつつ、経営者感覚を持ち、機能すれば、いったいどれだけ高度な経営ができるのであろう。一流経営者たちが求める‘全員経営’のための哲学と方法を探る。」

成功事例として「ヤマダ電機」やブラジルのコングロマリット「セムコ社」が紹介され、大手外資系(シェル石油、ジョンソン&ジョンソン、フィリップスなど)のトップを歴任された経営のプロフェッショナル新将命(あたらしまさみ)氏が「全員経営を根づかせるために必要な仕組みつくりとは」を提言されている。新将命氏は「経営の教科書」などの本も出版されており、私もこの本を読んで同氏に興味を持ち、講演会でお話を伺ったが、経験に裏付けされて経営論に感銘を受けた。新氏の今回の提言の一部を下記に紹介する。

ワンマン経営では、ワンマンの能力以上の成長、発展は望めない。あるレベルまで大きくなった会社がそれ以上伸びない原因は、そのトップにある。その壁を突破するためには、社員の衆知を集めた全員経営が必要。その全員経営を実行するためのポイントは

  • ① 方向性
  • ② 関与
  • ③ フィードバック

この3つのキーワードを会社の中にしっかりと根づかせることと言う。筆者はいろんな会社から企業研修を依頼され、毎週のように幹部や部課長クラスの研修を実施されている。その中で頻繁に出てくる言葉が「疲労感」「疲弊感」そして「閉塞感」だそうだ。目先の売上高や利益の確保、新規顧客の開拓などで、朝から晩まで鞭を振り回され、部課長はそれに応えんと遮二無二働いている。部課長にこの3つを感じたことがあるかと聞くと、「強くまたはある程度感じる」と答えたのが90%で、「全く感じない」は0%だったそうだ。

これを解決するためには、「方向性=理念+目標+戦略」を社員の納得性の元に作ることがまず重要と言える。トンネルの先に光が見えれば、今の疲れは我慢でき、頑張れる。部課に目標を与えるとき、一方的に与えるのではなく、目標設定に部下も参画させ、納得性のあるものにする。会社の理念や戦略を作る過程においても参加させることも意味がある。これが2番目のキーワード「関与」である。目標が決まれば、その結果が出たときに、きちんとフィードバックすること。目標の立てっぱなしは逆効果で、部下に対する無関心を表わし、部下のモチベーションを下げてしまう。この3つが、きちんと定着すれば、社員のやる気に火をつけられる可能性が大きくなり、経営に対する関心も惹起し、当事者意識も湧き上がる。「関与」によって部下のやる気は3倍になると筆者は言う。このような風土が出来れば、「自責の企業文化」(何か問題が起こった時、他者に責任を求めず、自分の責任で考える)の定着も可能となる。

松下電器は松下幸之助氏の「全員経営」の発想で大きくなった。新氏は、グローバル企業のトップを数社経験してきた中で、「全員経営」は、企業経営の普遍的な要諦であると言う。より大きく成長するためにも、「全員経営」は一考の価値あると思うがいかが・・・。

冲中一郎