顧客の進化状態を管理せよ!(コマツ坂根正弘)

またまたコマツ坂根正弘氏の「私の履歴書」(日経)より。11月28日の記事には、次期社長(野路さん)時代に、コマツウェイに「ブランドマネジメント編」が加わったことが書かれている。こんな内容だ。

  • つくったモノを売るのが「セリング」
  • 顧客のニーズに合ったモノを売るのが「マーケティング」
  • 売れ続けるための仕掛けをつくるのが「ブランディング」

と定義し、コマツでないと困る度合いを高めることで、お客さまから選ばれ続けるパートナーを目指している。お客さまの中には、過去の関係から「コマツからは絶対に買わない」と言う人もいる。それぞれのお客さまとの関係性を「コマツでないとダメ」というレベル7から「コマツはダメ」と言うレベル1までの7段階に分類し、全ての顧客との関係性を1段階でも引き上げるのがブランドマネジメント活動の眼目だ。

私の講演で使わせて頂いている「リレーションシップマーケティング」(小宮一慶氏の「社長の教科書」(ダイヤモンド社刊)より)も同じ概念だ(http://okinaka.jasipa.jp/archives/395)。ここではお客様を6段階に分ける。「潜在客(お客さまになる可能性のある)」から始まって、「顧客(買ってくれたお客さま)」、「得意客(よく買ってくれるお客さま)」、「支持者(当社のものしか買わないお客さま)」、「代弁者(他の人に勧めてくれるお客さま)」、「パートナー(当社やイベントに別のお客さまを連れて来てくれる)」と進化していく。小宮氏は、現在のお客さまをこの6分類にはてはめ、坂根氏と同様、それぞれを1段階挙げていくための施策を講じていくのが大切と説く。

初めて受注したお客さまを如何にリピーターにするかリピーターになって頂くか、組織的に「お客さま第一」の機運を継続的に盛り上げるためにも、坂根氏と小宮氏の顧客の状態管理とそれを進化させる施策の推進は非常に意味あるものと思う。是非とも参考にしてほしい。

コマツウェイが参考になる!(コマツ相談役坂根氏)

今月の日経「私の履歴書」に登場されているのは、コマツ坂根正弘氏だ。11月5日にも「弱みより強みを磨こう」(http://okinaka.jasipa.jp/archives/217)との題で記事の紹介をした。27日の記事には坂根氏が発案されたコマツウェイの事が記されている。1980年代に独裁的な社長のために経営が混乱し、このままでは会社が壊れるとの危機感を抱いた経験をもとに、「トップが変わっても、経営の基本線としてこれだけは踏襲してほしい」との想いで、コマツウェイをまとめられたそうだ。マネージメント編には、「取締役会の活性化」をはじめとして、5本の柱があり、その一つが

ビジネス社会のルールを順守すること

だ。法令違反や不祥事を無くそうとの趣旨だが、単に言葉だけでは何も変わらないと、「報告の順番はバッドニュースが先」の原則を立て実行させた。コマツの事業責任者や子会社のトップは毎月1回報告書を社長に提出するが、そのレポートの一番上に「バッドレポート」を書かせることにしたそうだ。二つ目は

常に後継者を考えること

だ。この話は上記ブログでも紹介しているが、工場長や部長などに毎年1回「自分の次」と「次の次」について、誰を適任と考えているかを社長に報告し話し合うことを義務化している。

双方とも理念だけではなく実行の伴う施策を一緒に実施させている点が「さすが」と思う。私もJASIPAの経営者サロンはじめ、いくつかの企業で話をさせて頂いているが、テーマは「お客さま第一の風土を如何に創るか」だ。上場企業のほとんどが企業理念や基本方針などに「お客さま第一」を掲げているが、実行に移している企業は大目に見ても1割程度と言われている。「お客さまへの付加価値提供」が第一義のIT業界(サービス業)で、真にお客さまの為を思ったサービス提供ができているか、信頼関係が構築できているかを自省し、会社全体で行動に移すことが出来れば,ますます激しくなる競争社会で勝組になれる可能性が広がるものと思われる。「理念」と「行動」を一体化することの重要性を、コマツウェイは示している。

末期がんの自然治癒は可能?

昨年来、会社の同僚や高校の同級生がガンで亡くなるケースが急増している。この11月に亡くなった高校時代の友人は7月にガン宣告を受け、その時既に「レベル4b」状態だった。彼は大学・高校含めた友人あてに「治るためなら何でもしたい。何でもいいから教えてほしい」と、痛切な思いを発していた。残念ながら亡くなった後に、全米ベストセラ―『がんが自然に治る生き方』(Dr. Kelly A. Turner ケリー・ターナー博士)を紹介した記事がインターネット「President Online」に掲載されたhttp://president.jp/articles/-/13866)。ターナー博士は当該記事の前文で自然治癒の研究に至った経緯を述べている。

治癒不能といわれたガンが自然治癒する現象が、実際の医療現場で話題になることはまずない。 しかし筆者が目を通した1000本以上の医学論文において、ガンが自然に治癒した事例を報告していた。医師は治すのが仕事なのでこうした事例を追跡研究することはなく、「たまたま」治ったという話は「偽りの希望」を与えるだけだとして積極的に口外することもなかったために、自然治癒事例は事実上放置されてきたのである。全く科学的にメスを入れられていないこのテーマを解明するために、「劇的な寛解」事例を報告した医学論文をくまなく分析し、日本を含む世界10カ国で寛解者と治療者のインタビューを行った結果、ガンの自然治癒を体験した人々には、9つの共通する実践事項」があった。

その「9つの共通する実践事項」とは、

  • ・抜本的に食事を変える
  •  ・治療法は自分で決める
  •  ・直感に従う
  •  ・ハーブとサプリメントの力を借りる
  •  ・抑圧された感情を解き放つ
  •  ・より前向きに生きる
  •  ・周囲の人の支えを受け入れる
  •  ・自分の魂と深くつながる
  •  ・「どうしても生きたい理由」を持つ

を言い、筆者は「この9項目に順位はありません。人によって重点の置き方が異なるものの、インタビューで言及される頻度は、どれも同じ程度でした。わたしが話を聞いた劇的寛解の経験者はほぼ全員が、程度の差はあれ9項目ほぼすべてを実践していたのです。」と言う。

ターナー博士は「9つの要素」は、がんからの劇的寛解が起きた理由についての仮説であり、まだ科学的に十分裏付けされた理論ではありません。この9項目によってがん患者の生存率が上がると断定するには、データの量的分析や無作為な臨床試験が必要で、残念ながらあと何十年もかかるでしょう。」とも言う。ターナー博士は、手術、抗がん剤、放射線の現代医療を否定するものではなく、劇的に寛解する人が現にいるという事実を黙殺するのは、偽りの希望を患者に抱かせるよりも、ずっと罪深いことだと考え、9個の仮説検証に力を注いでおられる。

余命宣告された方が自然治癒した事例はよく聴くが、本ブログでも紹介している白駒妃登美さんもそうだ(https://jasipa.jp/okinaka/archives/399)。

3年近く前の事、完治していたと思っていた子宮頸がんが肺に転移し、「この状況で助かった人は見たことがない」との主治医の言葉を聞いて、半ば覚悟を決めていた時、正岡子規が力を与えてくれたと言う。「生かされている“今”を平然と生きること」がほんとうの覚悟と言い、実際にその死生観で、病床においても不思議なほどの明るさで病人とは思えない精力的な文筆活動を続けた。白駒さんは「過去を悔い、未来に不安を抱いても仕方ない、ただ今を自分らしく平然と生きる」と決めてから夜もぐっすり眠れるようになり、がん細胞も消えてしまった。

9つの項目の詳しい説明は本書をお読みください。がんでお悩みの方々は等しく「治るためなら何でもしたい」との痛切な思いをお持ちだと思う。この本がお役にたてばと思い紹介させて頂いた。

冲中一郎