末期がんの自然治癒は可能?

昨年来、会社の同僚や高校の同級生がガンで亡くなるケースが急増している。この11月に亡くなった高校時代の友人は7月にガン宣告を受け、その時既に「レベル4b」状態だった。彼は大学・高校含めた友人あてに「治るためなら何でもしたい。何でもいいから教えてほしい」と、痛切な思いを発していた。残念ながら亡くなった後に、全米ベストセラ―『がんが自然に治る生き方』(Dr. Kelly A. Turner ケリー・ターナー博士)を紹介した記事がインターネット「President Online」に掲載されたhttp://president.jp/articles/-/13866)。ターナー博士は当該記事の前文で自然治癒の研究に至った経緯を述べている。

治癒不能といわれたガンが自然治癒する現象が、実際の医療現場で話題になることはまずない。 しかし筆者が目を通した1000本以上の医学論文において、ガンが自然に治癒した事例を報告していた。医師は治すのが仕事なのでこうした事例を追跡研究することはなく、「たまたま」治ったという話は「偽りの希望」を与えるだけだとして積極的に口外することもなかったために、自然治癒事例は事実上放置されてきたのである。全く科学的にメスを入れられていないこのテーマを解明するために、「劇的な寛解」事例を報告した医学論文をくまなく分析し、日本を含む世界10カ国で寛解者と治療者のインタビューを行った結果、ガンの自然治癒を体験した人々には、9つの共通する実践事項」があった。

その「9つの共通する実践事項」とは、

  • ・抜本的に食事を変える
  •  ・治療法は自分で決める
  •  ・直感に従う
  •  ・ハーブとサプリメントの力を借りる
  •  ・抑圧された感情を解き放つ
  •  ・より前向きに生きる
  •  ・周囲の人の支えを受け入れる
  •  ・自分の魂と深くつながる
  •  ・「どうしても生きたい理由」を持つ

を言い、筆者は「この9項目に順位はありません。人によって重点の置き方が異なるものの、インタビューで言及される頻度は、どれも同じ程度でした。わたしが話を聞いた劇的寛解の経験者はほぼ全員が、程度の差はあれ9項目ほぼすべてを実践していたのです。」と言う。

ターナー博士は「9つの要素」は、がんからの劇的寛解が起きた理由についての仮説であり、まだ科学的に十分裏付けされた理論ではありません。この9項目によってがん患者の生存率が上がると断定するには、データの量的分析や無作為な臨床試験が必要で、残念ながらあと何十年もかかるでしょう。」とも言う。ターナー博士は、手術、抗がん剤、放射線の現代医療を否定するものではなく、劇的に寛解する人が現にいるという事実を黙殺するのは、偽りの希望を患者に抱かせるよりも、ずっと罪深いことだと考え、9個の仮説検証に力を注いでおられる。

余命宣告された方が自然治癒した事例はよく聴くが、本ブログでも紹介している白駒妃登美さんもそうだ(https://jasipa.jp/okinaka/archives/399)。

3年近く前の事、完治していたと思っていた子宮頸がんが肺に転移し、「この状況で助かった人は見たことがない」との主治医の言葉を聞いて、半ば覚悟を決めていた時、正岡子規が力を与えてくれたと言う。「生かされている“今”を平然と生きること」がほんとうの覚悟と言い、実際にその死生観で、病床においても不思議なほどの明るさで病人とは思えない精力的な文筆活動を続けた。白駒さんは「過去を悔い、未来に不安を抱いても仕方ない、ただ今を自分らしく平然と生きる」と決めてから夜もぐっすり眠れるようになり、がん細胞も消えてしまった。

9つの項目の詳しい説明は本書をお読みください。がんでお悩みの方々は等しく「治るためなら何でもしたい」との痛切な思いをお持ちだと思う。この本がお役にたてばと思い紹介させて頂いた。

人生で一番大切な言葉は“ありがとう”!

感謝と“ありがとう”の精神で、成功をおさめた人たちの話が、人間学を学ぶ月刊誌「致知」によく掲載される。11月号では、小さい時からの夢を次々と実現し、横浜のブリキおもちゃ博物館をはじめ6つの博物館を経営し、年間約150回の講演、累計71冊の著書を出版されている北原照久氏の「人生を変える魔法の言葉」と題した記事がある。兄3人と比較される子供時代、全く勉強に手がつかず体育以外はオール1。中学ではある事件で退学処分を受ける。そんな時、母親から受けた言葉

お前の人生はこれで終わったわけではない。これから先の人生の方がずっと長い。だからめげることはない。人生はやり直しは出来ないが、出直しはいつでもできる。

この言葉に励まされて高校進学。高校でも成績はどん尻。ある時、たまたま60点をとった時の先生の言葉。

「北原、すごいな!お前は出来ないんじゃなくて、やらなかっただけだ。やればできるぞ

本心から褒めてくれたこの言葉で心に火がつき、卒業時には学年トップで謝辞を読むまでに。このような人生を振り返って、北原氏は「すべては出逢いである」と言い切る。人との出会い、モノとの出会い、そして言葉との出会いが自分のすべての夢の実現に導いてくれたと。

北原氏が心がけてきたことの一つは、

絶対に人の悪口を言わない

自分が口にした言葉を最初に聞くのは自分だ。だから、不平不満や愚痴、悪口、怨み、妬みを発している人は、それを相手にぶつけているつもりでも、実は自分自身にダメージを与えていると言う。北原氏は、これまでの46年間で集めたおもちゃなどのコレクションの数は4トントラック100台以上にも上るそうだ。これはいろんな方の協力があったお蔭と言う。もう一つは、「感謝」と「ありがとう」。この言葉を口ずさんでいると人生は好転していくと、心からの実感を込めて言われる。

12月号では、人と話すことの苦手な”売れない営業マン“阿川龍翔氏が「人生で一番大切な言葉。それは”ありがとう“」のタイトル記事で投稿されている。イタリア車の営業で、毎日もがき苦しむ中で、あることに気付き、車を買っていただいた方やご縁があった方に毎月1回「ありがとう」の気持ちを伝えるハガキを書きはじめた。当初はほとんど反応がなかったが、雑誌や新聞などで感動した言葉や物語なども書き添えるように工夫し、ひたすら「ありがとう、ありがとう」と1年、2年、3年と地道に続けていくうちに思わぬ反応が返ってくるようになったと言う。「会社の朝礼でハガキの言葉を紹介したい」「息子の学校の道徳授業で、ハガキの物語を紹介したい」などの要望や、”信頼できる営業マンがいる“と知人を紹介してくれ、その方が訪ねてくれるようなことも増えてきた。こんなにも共感して頂けることの嬉しさが昂じて、商品を売りつけると言う自分の都合を人に押し付ける行為を反省し、思い切って車を売り付けることをやめることにした。が気が付けばイタリア車のトップ営業マンになっていたそうだ。阿川氏は、今はコンサルタント会社「ハートウォーマー」を設立し、講演会や営業に関するセミナーなどで走り回る忙しい日々を送っておられる。阿川氏は言う。

常に自分のコップを“ありがとう”の感謝の思いで見たし、その気持ちを人に話していくことが、巡り巡って自分の幸せとなって返ってくる。それこそ自分の仕事や人生だけではなく多くの人々を幸せに導いていく道理なのだと思う

 お二人の“わが人生の幸せ”事例は、我々の「生き方」に関して多くのヒントを物語っているのではないだろうか?

小さな会社では迅速意思決定のためワンマンがいい?

前々回の当ブログで松下幸之助氏の「人の話を聞く姿はすさまじかった(http://okinaka.jasipa.jp/archives/1929)を紹介した。その松下氏の「松下幸之助の経営問答」(PHP文庫)の中での1978年の記事「ワンマンと決断」が「PHP Business Review松下幸之助塾2014年11・12月号」に紹介されている。

「経営問答」の問いは

現代のような競争時代、他社に先駆けてビジネスチャンスを得るには、迅速な意思決定がますます求められています。そのためには、経営者はある意味でワンマンにならないといけないと思うのですが、その際に心がけなければならないことは何だとお考えでしょうか。

前々回のブログで「幸之助氏は、人の話を聞くときは、何時間でも、どんな若造の話でも、1時間でも2時間でも、ひざの上に手を当てて頷いて聞いてくれた。」と書いたが、まさに上記問いに対する答えは、その話を聞く姿を彷彿とさせるものだ。問いに対する答えは

いろいろありますが、やっぱり衆知を集めると言うことですね。ワンマンでもいろいろあります。しかし、かたちはワンマンであっても、その人がいつも国民なら国民、社員なら社員の心、考えを絶えず吸収していればいいわけです。私も小さい会社ながら(当時)、社長をやってきましたが、決して自分の気ままにやりませんでした。創業者だし、一見ワンマンのようだけれど、常に社員の衆知を集めて、やってきたわけです。たとえ今日入った人(新人)の言葉でも耳に入るようにしていますから、みんなの心を持っている。私の場合はワンマンにしてワンマンにあらず、というようなことで、これまでやってきたわけです。

さらに、無理やり話を強要しても真の情報は入ってこない。衆知を集めると言う心持ちを持ちながら、自然体でやることの必要性を説く。その心を持っていると、天の声と言うか、地の声というか、そういうものを心の耳で聞くことが出来ると言う。だから、自分の独断は独断にあらず、全員の思いも一緒だと、こういう考えを持っている。だから、経営者はみんなの声を聞いて、初めて一流になれると私は考えていると。

社員にも松下幸之助のファンが多かったというが、社員との信頼関係があってこその衆知経営、全員経営が成立する。政治も企業も、トップの国民、社員の声を聞く姿勢が、そして国民、社員に対する思いやりの心がお互いに通じ合って、国や企業の活性化がある。松下幸之助氏の考え方を学び、成功した多くの経営者が今でも松下幸之助氏を信奉するのも頷ける。

冲中一郎