巨人原監督騒動が日経1面コラム「春秋」に!???

驚いた!1個人の話が、まだ決着したわけではないのに、今朝の日経1面のコラム“春秋”に、週刊文春ですっぱ抜かれた巨人軍原監督の不倫問題が取りあげられている。不倫問題というより、もみ消しのための1億円が反社会的勢力に1個人からわたったことを追求している。しかし、球団およびご本人は、渡した事実は認めながら、反社会的勢力との報道は間違いと、週刊文春を訴えると言っている最中の記事である。

ネットでは、週刊文春の記事をきっかけに、いろんな憶測が飛び回っていると言う。1億円という大金を、ゆすられて支払う、そしてそのことを警察にも、球団に報告もしないという、原監督の世間知らずを責める投稿もあるが、あくまで、1個人の話である。

日経の”春秋“というと、朝日新聞の”天声人語“と同様、社会的に大きな影響力のあるコラムである。世の中は、政治・経済も混とんとし、課題も目白押しである。そのような中での今回の記事である。日本の国民的人気スポーツ、プロ野球の発展を阻害する組織的事件であれば(大相撲のような)分かるが、1個人の話と思える。プロ野球人の反社会的勢力との関係に問題があるとの問題指摘ならわかるが、そうも思われない。

コラムニスト、ブロガーにとって、読んでくれているお客様に、如何にいいメッセージを伝えるか、そのためのテーマ探しはほんとに難しい。私もブログのテーマ探しには苦労している。日経の“春秋”の愛読者として、いつも知識の豊富さ、時宜を得たテーマに感心させられている。あえて今回の記事のメッセージ性が分からず、指摘させて頂いた。もっと深い意味が隠れているとしたら、お許し願いたい。

ちなみに、私はアンチ巨人、大の阪神ファンだ。

福岡市“禁酒令”は妥当か?

5月21日福岡市長が市職員に対し、1か月間の外での飲酒禁止令を発令した。市職員による飲酒関連の事件多発に伴う処置だ。この処置に対して、いろんな意見が出ている。昨日の朝日新聞15面「オピニオン耕論」で、当の福岡市高島市長と弁護士平田氏、漫画「島耕作」で有名な弘兼氏の3人が「禁酒令は妥当か」のテーマに対して意見を述べている。平田氏は「自由を縛るのは人権侵害」、弘兼氏は「一律に職員を叱るのは疑問」とある。

私が入社後配属されたのが地方の製鉄所。どこの製鉄所も同じだったと思うが、「社員の交通三悪は厳罰、交通違反も処罰」と厳しく、飲酒運転、速度超過、無免許運転の三悪は、部単位の共同責任として、部長以下管理職が共同責任を負い通勤時門立ち(たしか1週間ほど)を強制させられた。この趣旨は、「製鉄所は地域との共生を謳い、地域に迷惑を与える行為を厳に慎む」とするものであった。「交通違反も、重大事故の芽」と、近隣の警察署に定期的にヒアリングし、社員の交通違反に目を光らせていた。交通違反を起こせば、構内への車乗り入れ禁止となる(何キロにもなる構内の移動に車が使えないのは仕事の効率にも大きな影響あり)。

構内で、自部門以外でも死亡災害が発生すると、製鉄所全体が喪に服し、1カ月外部での飲酒は禁止となる。

大きな組織で、絶対起こしてはいけない事故に対して、何らかの牽制を働かせるのは当たり前と思う。事実、上記のような対策を講じても、交通違反はなくならないが、明らかに減ることは確かである。死亡災害も、発生時徹底的に原因分析を行い、その結果を多くの前で発表することにより、絶対起こさない決意を行う。これも昔に比べると格段に減っている。私も実は、新人時代に3悪ではないがスピード違反を起こした。その時、部長はじめ周囲の人に多大な迷惑をかけ(「新人のくせに何だ。やめさせろ!」との声も聞こえた)、今後は絶対違反をしないと決意し、実際その後交通違反はしていない。

福岡市の場合、2006年に職員の飲酒事故で3児が死亡すると言う悲惨な事故の記憶が真新しい中で、連続して発生した飲酒に伴う傷害事件などが発生し、今回の禁酒令に至ったと思う。平田氏は勤務時間外も縛るのは人権侵害と言うが、時間内は「市民に対して思いやりの心で接し」、時間外は「何をやっても自由」ということは現実的ではないと思う。人間、そんなに器用ではないし、交通違反でも、「自分はつかまらないから速度を少々出してもいいのだ」と自分のリスクに対して希望的観測で動くのが常である。組織が規律を守ることに緩んでいる場合、多少勤務時間外においても規制をかけるのは仕方がないことと思う。高島市長の今回の禁酒令を平田氏は「人気取り」と言うが、一般企業でこのような事故が立て続けに起こった場合、地域住民に対する申し訳なさでもっと厳しい措置をとるのが一般的と思う。トップが「なぜこんな対策を打たねばならないか」メッセージを丁寧に発信しながら、1カ月を職員みんなが共同責任と考え、みんなで反省をする期間とすることは、市民サービスを仕事とする市職員にとって大いに意義あるものと考える。

「Yes,and・・・」で創造力発揮!

今朝の日経1面「春秋」に、下記のような記事が掲載されている。

自分と異なる意見の持ち主を前にしたとき、どう応じるか。正面から全否定で返す「No」。うなずくふりで欠点を突く「Yes,but…」。そのいずれとも違う「Yes,and…」という発想を、街の再生を手がける山崎亮さんの近著「まちの幸福論」で知った。

自治体などの依頼で街に入り、価値観の違う人たちと対話を重ね、ハコ物の建設に頼らずコミュニティー活動や地場ビジネスを盛り上げるのが山崎さんの仕事。反対意見もまず肯定し、思いをくみ取り、より良いアイデアづくりにつなげ活動に巻き込む。「自分が否定されたと思った人は、相手を否定する」からだという。

この考えは企業にも応用が利く。コピーライター、糸井重里さんの事務所では手帳やタオルなどの雑貨を開発している。会議では他者の提案を否定するのは禁止。不満ならもっといい案を出す決まりだ。「価値を増やすのが僕らの仕事。否定は価値を増やさない」と糸井さん。この手法でヒット商品を次々と世に送り出す。

「あなたは間違っている」。議会や集会、テレビの論戦などで目にする、勇ましげな非難の応酬。これに対し、まだ30代の山崎さんを含めて、若い世代の活動や伸びるベンチャー企業で「Yes,and…」式のやり方が目立つ。昔ながらの非難合戦と、今どきの提案競争。社会や生活の価値を増やすのは、どちらだろう。


そう言えば、いつ頃か忘れたが、NHKテレビだったと思うが、全国いろんな町からの要請で、街づくりコンサルタントとして活躍されている山崎さんの雄姿を思い出した。街の人たちの中に入り込んで、みんなの意見をくみ取りながら、街づくり提案を行い、実行していくプロセスに感銘を受けた事を思い出した。実績が、いろんな町からの要請につながっているそうだ。

私も、部下・同僚との受け答えについて、どうせ断るにしても「No,but・・・」よりも「Yes,but・・・」と言うべしと指導してきたが、「Yes,and・・・」とまでは気付かなかった。そういえば私の愛読する雑誌「致知」の出版社で、社内活性化を目的とした「木鶏会」を推奨し、全国の企業でかなり普及しつつあるが、その木鶏会の進め方の基本は「美点凝視」(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2011/10/22)。「致知」の印象的な記事に関する感想文を参加者が発表しあう場であるが、他人の意見の批判は禁止し、いい点(美点)を見つけて意見を言うことに徹する進め方だ。何度かこのやりかたをしていると、参加者はどんどん積極的な意見を交わしあうことになると言う。

政治家の醜い非難応酬合戦による「決められない政治」が、「No」「No」では何も生まれないことを実証している。これをいい事例として、我々は、「Yes,and・・・」で、創造的な成果、そして社内活性化を目指そうではありませんか。