若者よ、運動を!

日経2012.1.29の14面コラム「今どき健康学」に「衰えは足腰から、運動習慣を」をテーマとする記事があった。厚労省が策定の21世における国民健康づくり運動「健康日本21」に掲げられている「運動習慣者の目標値:男性39%、女性35%」に対して、60歳代、70歳代は目標をクリアしているが、20歳代から50歳代が軒並み目標以下という結果が出たそうだ(2009調査結果)。特に低いのは20歳代の女性で運動習慣のある人は12%だった。

運動習慣とは「1回30分以上の運動を週2日以上実施し、これを1年間以上継続している」事を言う。江戸川大学の中村雅美教授のコラムだが、身体の衰えは足腰から来て、高齢者の歩く速さが落ちるのは体力や栄養が下がってくるためと言う。人間の場合、身体を動かさないでほっておくと足の筋肉が年間1%ずつ減るそうだ。握力の低下も運動不足の重要なサインと言う。

運動と言うと、汗をかきながらを想像しがちだが、決してそうではない。軽めの運動を継続することが大切。毎日20~30分間歩くだけでも効果があり、階段の上り、下りも良い。掃除や家事も運動になる。

いつだったか、日経夕刊のコラムに日立の川村会長が書かれていたが、毎日7000歩を目標にしておられるとか。足りないときは、社有車でも自宅より前に降ろしてもらって歩かれると言われていた。「健康日本21」では、目標値は男性9200歩、女性8300歩(2009調査実績よりそれぞれ1000歩増加させる)となっている。私も1日7000歩を目標にしているがなかなか厳しいものがある。ついついエスカレータがあれば、乗ってしまう。不足分は「ルームマーチ30分」で補っている。「健康日本21」で言う運動習慣者には合格だ。

アフリカでの研修はいかが?

アメリカではグローバル人材育成のために、アフリカのような新興国に人を派遣する取り組みが注目を集めているそうだ。なぜ?これから多くの企業にとって市場となる新興国では、これまでのような先進国のやり方を押しつけて行く方法は通用せず、その国の文化や価値観を肌感覚で理解し、現地の人びとを巻き込みながら新たな価値を創っていくことが必要となる。それには「新興国の社会に深く根をおろしているNPOに入り込み、現地の人々と同じ目線で働く経験を社員に積ませるのが一番近道」ということらしい。日本でもそのような企業の人材育成に取り組んでいるNPO法人がある。クロスフィールド代表理事の小沼さんが「生産性新聞(日本生産性本部出版)2012.1.25号」に「日本をひらく」というコラムで上記のことを紹介されている。クロスフィールドでは、企業の人材を新興国のNPOへと派遣し、そこで数カ月に渡って本業のスキルを活かして現地の社会問題解決に挑むプログラムを提供している。先進国に留まって学ぶ「留学」と違って、途上国に留まって実際に職務にあたるため「留職」と呼んでいる。

朝日新聞の「仕事力」(2012.1.29)のコラムに、藤原和博氏(最新刊に「坂の上の坂」がある)の記事がある。アメリカの若者が選ぶ多様な体験を仲介するNPO組織であるティーチ・フォー・アメリカが人気を博しているそうだ。この組織は、大学を卒業して就職が内定した若い人を対象に、その企業の承諾を得て、2年間ほど最貧地帯の子どもたちを教えるプロジェクトに参加させてくれるそうだ。エリートたちに、多様性と一番厳しい現実を体験させて彼らの成長を促す(残念ながら日本では教員資格がないと海外でも教育につけないそうだ)。藤原氏は「目の前を歩いている先輩はもうあなたのロールモデルではない。親や先生が唱える安全便利な人生ではなく、自分自身が夢中になれることを選んでグッとくる場所に飛び込んでしまう。霧の中でも晴れるまで待たず、とりあえずゴルフボールを打ってしまえ!」と若者に呼びかける。

先述の小沼氏は「日本企業は既存ビジネスの延長線上だけではやっていけない。瑞々しい感性を持った若手が新興国の未知なる世界へと入り込み、時代を切り拓く変革の種を見つけることなくしては、日本の未来はない」と言い切る。一考する価値はあると思う。若者よ、頑張れ!

前向き3K(感動、感謝、感激)職場への改革

JUAS(日本情報システムユーザー協会)主催のセミナーが2月3日にあった。このタイトルのセミナーは昨年11月に引き続き2回目だ。IT業界は3K(きつい、きたない、苦しい)職場と云われ続け、学生の情報工学系志望者も激減している憂慮すべき事態が続いている。そんな中、危機感を持って、人材育成や社員のモチベーションUPや職場改善に努め、前向きな3K(感動、感謝、感激)の職場へ改革している企業も数多くある。その企業事例を紹介し、さらに多くの企業での取り組みを加速させることを狙ったセミナーである。

第1回はDICインフォメーションサービス、住友電工情報システム、東京海上日動システムズの事例紹介があった(私は参加できなかった)。第2回目の今回は、ベネッセグループのシンフォーム、ワークスアプリケーションズ、コベルコシステムの3社からの事例紹介があった。

どの会社も、事例を発表される方(リーダー)の熱い思い、信念と行動力が伝わり、このような職場改革は、経営者とタッグを組む強いリーダーがいたから改革が出来たのだとの感を強くした。シンフォームさんでは、社長の思いを受けて、トヨタ自動織機から転職された取締役が強いリーダーシップを発揮し、属人的になりがちな仕事の見える化を徹底的に図ってチームでの仕事に改革、各人のスキルを見える化した。さらにはコミュニケーションの活性化、創造性の発揮を目指したいろんなスペースを設けるなどの職場環境の改善を実施してきた(コクヨの支援を得ながら)。

ワークスさんは、急激に規模を増やしている(連結で2500名弱)中で、「働きがいのある会社(Great Place to Workが主催)」5年連続受賞、しかもここ3年は1位か2位と言う企業である。ワークスの最大の特徴は「採用」にある。経験・知識以上に、自分で考え、自分で解決出来る人を重視しているが、これは筆記試験や短時間の面接では不可能と判断。「問題解決能力発掘インターンシップ」を宝が眠っている第2新卒対象に6カ月単位で実施。課題を付与し、最終ゴール到達者を採用(第2新卒市場に各企業が注目し始めたので、2003年から新卒採用開始。その際は1カ月インターンシップとした)。ブランド力がないときだったので、目玉として採用内定者には「入社パス」(3~5年他社に勤めても採用を確約)を発行する制度を実施したところ、現在300人採用に対し、3000名が応募してくるとか。失敗を許容、成果よりもプロセスを重視する風土を徹底、退職しても3年以内なら復職可能な「カムバックパス」の交付(講演者もこの権利を活用した方)など、いろんな取り組みをされている。

コベルコシステムさんは、IBM出身の社長のもとで、経営・人財企画部のベテラン女性グループ長(講演者)がきめ細かい活動を推進。各分野でのプロフェッショナル認定制度、スキルの共有化、新人アドバイザー制度など社内報を最大限活用して人を紹介しつつ、動機付けを行っている。CS経営、人財経営に関して、そのスローガンを毎年社員応募で決定、「ありがとう数珠つなぎ」も2010.2以降32名の「ありがとう」を社内報に紹介している。(ちなみに2012CSスローガンは「感じよう!お客さまの声 超えよう!お客さまの期待」、人財は「技術・人間力・情熱あふれる人財で埋め尽くす」)

「働きやすい会社」ではなく、「働きがいのある会社」は、「企業の最大の資産は社員」との強い認識に基づき、日々社員の成長を期する施策を打っている。そして強力なリーダーがいる。このような事例を参考に魅力あるIT業界を目指して欲しい。