「組織・風土改革2012」カテゴリーアーカイブ

凡事徹底

3月13日日経朝刊掲載中の「私の履歴書(大和ハウス工業樋口会長)」で、「凡事徹底」の言葉に惹かれた。業績を立て直した山口支店長から、赤字の福岡支店を立て直すために福岡支店長に異動した際の話だ。

沈滞ムードの事務所を歩き回った。電話の対応が気にくわない。ベルが何度も鳴ってから電話をとり、たらい回しする。明朗活発な女性社員3人を選び、社外からの電話を集中的に受けるように改めた。ベルが鳴ると一度でとり、「はい、大和ハウス工業福岡支店でございます」と答え、すぐ担当者につなぐ。不在なら代理の者が必ず要件を聞き、「私でよろしければ用件を承ります」と言う。これだけで「気持ちがいい」「元気が出る」と社外の評判がぐっと上がった。私はこれを「凡事徹底」と呼ぶ。こうした普段の積み重ねが信用につながる。

「支店がよくなるも悪くなるも、長の一念で決まる」と、スパルタ的運営を常とした樋口会長がこんなこともやっていたのだ。今後、IT業界はお客様に対するサービス競争は激化必至である。この「凡事徹底」の発想は、既存のお客様からの信頼を失わないためにも、新しいお客様からの信頼を得るためにも、凡事といえども重要だとの戒めと受け止めたい。

ヤマダ電機で、「一人のお客様を失うことは10人のお客様を失うことに等しい」との張り紙を見た。SNSなどのネットワークの進展で、一人のお客様の不評を買うことは、10人どころではない数のお客様を失うことにもなりかねない。「凡事徹底」の視点で、周辺を見直してみてはいかが・・・。

社内に「困った人」いませんか?

日経新聞社出版の『「困った人」の説得術』(出口知史/伊東明共著)と言う本がある。この様な本が売れる背景には、社内の対人関係の悩み、とりわけ社内の「困った人」に対する悩みの声が増えつつあるという現実がありそうだ。話をすると理不尽に怒りだす、何を言っているのか要領を得ない、都合が悪くなると知らんぷり・・・。そうした人を「社内クレーマー」と呼んでいる。(以下TOPPOINTの本の紹介文より)

まず「評論家クレーマー」:情報通だが、へ理屈ばかり言って自ら行動しない。対処法は、毅然とした態度で、現実を具体的に認識させ(逃げ道をふさぎ)、当事者になるか否かを選ばせる。要は当事者意識をいかに持たせるかだ。

「職人クレーマー」:専門領域に強いが、融通がきかない(意見が異なる相手を攻撃する)。対処法は、相手の得意分野を尊重したうえで、視野を広げてもらうために、お互いの持つ情報を出しながら、最終目標を共有化していく。

「思考停止クレーマー」:頭が固く、今までのやり方から脱却できない(ベテランに多い)。相手への共感の意を示しながら、相手の考えている結論やその根拠を丁寧に聞き出しながら話を進めるしかない。ぶつかっては元も子もない。

「現実逃避クレーマー」:不都合な状況から逃げることに精一杯で、嘘をついたり、聞かれても何も答えなかったりする。悪気はないのに嘘をついてしまう人でもある。「やります」「やれます」と言って何もできない。対処法は、相手から聞いた情報に頼らず、出来る限り情報源に近いところからの情報を取る。そしてそれを基に相手の話を整理し、相手にきちんと考えさせる。

「近視眼クレーマー」:自分本位かつ短期的なメリットしか見ない。若い人に多い。彼等は自分の仕事を非常に狭い意味で捉えており、そこから外れている事は評価の対象にならないし、やっても意味がないと思ってしまう。一方では自分が出来ない焦りもある。対処法は、不本意な仕事でも、きちんとやることで信頼が得られ、自分が望む機会がやってくる可能性が開けることを理解させること。そのために、簡単な課題に取り組ませてあえて小さな失敗をさせて反省してもらうことが効果的。

チームワークで成果UP,効率UPを狙うべき組織において、逆作用を与えかねない人たちとも言える。それぞれに対する対処法が書いてあるが、逆に自分が組織において上記分類に入っていないか、自ら診断してみることもおおいに意味あると思う。

「できません」と云うな

IT業界の改革が叫ばれ、顧客隷属型(お客様のいうまま)からパートナー型(お客様と一緒に考える)への脱皮が言われている。この点を少し考察してみる。

1月3日「私の新春初夢(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2012/1/3)」でJASIPAの夢を下記のように語りました。

  • プライムで請けたお客様をトコトン大事にします。(信頼関係を築きます)
  • 日頃の対話の中から、お客様の課題・期待を聞き出します。自社で解決できる問題だけでなく、JASIPA会員企業全体で解決できる問題も含めて。
  • JASIPA会員全体の知恵で、提案をします。
  • 各社は自社の強みを打ち出し、それを徹底的に磨きます。
  • お客さまは、JASIPA株式会社の総合力での対応に満足します。
  • 総合力として不足の技術を持つベンダーを誘い込みながら、より大きなアライアンス集団としてJASIPAを発展させていきます。

立石電機製作所(現オムロン)創業者立石一真氏の経営哲学を紹介する『「できません」と云うな』(湯谷昇羊著、ダイヤモンド社)によれば、お客様から何を要求されても「できませんというな」を徹底したそうだ。そして「為せば成る、難しい技術開発でも、執念と努力、技術があれば可能」とお客様の要求を、社員のチャレンジ精神に変え、見事にお客様の信頼を得ながら大きくなっていった。

お客様とパートナー関係を強化するためには、お客様の課題を幅広くとらえ、お客様に提案できる体制が必要となる。そのためには、自分(会社)が扱っているソリューションだけに注力していたのでは、パートナー関係の構築はできない。いろんな部署、企業との連携を前提に「できません」と言わず、出来る案を考えねばならない。しかし、以前‘大企業病’という言葉がはやった時があったが、今でも部門間の連携が円滑に行く大企業は少ないのではないだろうか?いろいろ施策を講じていると思うが、業績主義が台頭してきてから、より困難になっているように思う。このことを考えると、会社ごとのアライアンスの方が連携は柔軟でやりやすいのではと考える。すなわち、JASIPA会員企業のような規模で、それぞれ得意技を磨き、それらを融通無碍に組み合わせてお客様の問題解決に資することが出来ること、これがJASIPAの目指すべき道と思える。

日本人は内向き志向が強いと言われるが、お客様視点で考えられる人材に育て上げる必要がある。自分の知識(ソリューション)の範囲でしかお客様と話が出来ないのでは、物足りない。逃げずに、幅広く問題を把握できるように育てることが欠かせない。そうして捉えた問題を、JASIPA株式会社内で会員企業に展開し、提案につなげることが出来る、それが「私の新春初夢」の思いです。正夢にしたい!