「坂村真民」カテゴリーアーカイブ

心に響く言葉(5月5日日経朝刊より)

今日は子供の日。「端午の節句」でもある。朝いちばんに致知出版社の「おかみさん便り(メルマガ)」から、「坂村真民の一日一言」より心に響く言葉が届いた。

大いなる一人のひととのめぐりあいが,わたしをすっかり変えてしまった
暗いものが明るいものとなり
信ぜられなかったものが、信ぜられるようになり
何もかもがわたしに呼びかけ
わたしとつながりを持つ、親しい存在となった

人とのめぐりあいの大切さを説く。

日経の1面「春秋」より、本田宗一郎氏の言葉。

研究所は人間の気持ちを研究するところであって、技術を研究するところではない

とかく先端技術を追求したがる開発者たちに言った言葉として紹介されている。「マーケティングの神髄」ではないだろうか。

日経9面「日曜に考える~日本の個性 世界にどう売り込む」で工業デザイナーの奥山清行氏の言葉。ものづくりで世界に勝つためには創造力とビジョンが必要との主張で、アップルのiPhoneやダイソンの羽根のない扇風機など、ヒットの多くが海外で生まれていることが残念と言いつつ

想像力は日本人の得意分野。相手の心情を推し量る能力は世界でもトップ級だ。自己中心的ではない客目線のものづくりが求められている。海外に出で自分を客観視する訓練を積まなければ日本のものづくりに未来はない

と言う。

同じく11面「日曜に考える~経済史を歩く」で世界初の即席めん「チキンラーメン」を生んだ日清食品創業者安藤百福氏の言葉。

ラーメンを得るな。食文化を売れ

「チキンラーメン」を出したのが東京タワーが出来た昭和33年。世界ラーメン協会の発表では、インスタントラーメンの世界需要が2012年初めて1000億食を超えたと。

20面「リーダーの本棚」で、出光興産で初めて創業者以外で社長になった天坊昭彦氏(現相談役)が「菜根譚講話」の中から心にとめてきた言葉を紹介している。

人定まれば天に勝ち、志一なれば気を動かす
(人心を掌握して政治が落ち着けば天災があっても打ち勝てる。志が一つになれば何事も動かせる)

経営者として、企業理念の大切さ、そして全員経営の精神を説いているのだと思う。

日々、言葉以外にも心に響くものが一杯ある。冒頭の「おかみさん便り」のおかみさんから。「緑燃える好季節・・・。自然のエネルギーが溢れる緑の散歩道の中で、光のシャワーと、木漏れ日のワルツを充分お楽しみくださいませ。」

第一線で活躍する女性

 「致知」2012.5号は、「その位に素して行う」特集だ。「君子は其の位に素して行い、其の外を願わず」(孔子の孫、子思が著した「中庸」にある言葉)からの言葉で、立派な人物は自己に与えられた環境の中で、運命を呪ったり不平不満を言ったりせず、精一杯の努力をし、それ以外のことは考えないということだ。「その位に素して行う」ことにより、成功した人々の紹介がされている。テーマ説明で紹介されているのが「神様、仏様、稲尾様」である。同期3人が西鉄ライオンズに入ったが、契約金や、入団後の扱いなど他の二人が断然上を行っていた。稲尾は打撃投手で、他の二人はコーチ付きでブルペンでピッチングやバッティング。それでも腐らず、一生懸命、心を込めて打者のことを考えて打撃投手を務め、その結果無類のコントロールを身に着けたそうだ。

 もう一人、私が注目したのが、元全日空のキャビンアテンダント(CA)で、現在ANAラーニングで研修講師を務める三枝理恵子さん。最初はANAグループを対象に、接遇力を高めることやコミュニケーション力に関する研修が主体だったが、評判を聞いて、一般企業の管理職に対してリーダーシップに関する研修も受け持つようになったそうだ。学生時代は、教師になりたくて教員資格も取ったが、いきなり教える側に立つことに違和感を覚え、いろんな人と接するCAで修業を積み、念願の講師になった。

CA時代(研修時も含めて)に、お互いにそれぞれの業務(機内アナウンスなど)に関してコメントをし合うそうだが、その際、厳しいコメントに如何になれるか、厳しいコメントをもらって、自らどう行動するかを考えることの訓練が出来た。また、接遇術の面でも、お客様を目的地に安全に、かつ定刻に届けることを第一義としながらも、さらに、お客様の気持ちを楽にし、元気になってもらうのも大事な仕事と考え、お客様へのこまめなお声がけを心掛けていたとか。常に志を持って日々の業務にあたっている。

その三枝さんの信条。

  • その1:坂村真民さんの「念ずれば花開く」。「何々したい」ではなく「何々する」と宣言して、自らの思いを強める。
  • その2:松下幸之助さんの「縁ありて花開き、恩ありて実を結ぶ」。ご縁を頂いたことにご恩を感じて恩返しをすることで豊かな人間関係を築く。
  • その3:「感動は人を変える、笑顔は人を潤す、夢は人を豊かにする(「小さな人生論2(致知出版社)」より)。涙を流したり、思いっきり笑ったりして心が動かないと人は変われない。いかに感動をお届けするかを常に意識する。

入社時の教官の言葉「人が見ていないところで何かを出来る人になれ」も念頭において、裏方(整備士など)の人に感謝する気持ちも忘れず頑張っておられる。「置かれた状況で最善を尽くす」ことの積み重ねが人生を大きく左右する。退職後の人生も、このことを忘れず励みたい。

人生ニ度なし(森信三)

哲学者・教育者として著名な森信三(1896-1992)氏が大阪の天王寺師範学校の講師時代の講義内容をまとめた「修身教授録―現代に蘇る人間学の要諦―」が致知出版社から復刊された。本の帯には「小島直記氏絶賛!(中略)奥深い真理が実に平明に、丁寧に語られていて、おのずと心にしみてくる。よほど愛と謙虚さと使命感と責任感がなければ出来ないことだ。」とある。その中に、「人生ニ度なし」という有名な言葉がある。

「そもそもこの世の中のことというものは、大低のことは多少の例外があるものですが、この『人生二度なし』という真理のみは、古来只一つの例外すらないのです。しかしながら、この明白な事実に対して、諸君たちは、果たしてどの程度に感じているでしょうか。すなわち自分のこの命が、今後五十年くらいたてば、永久に消え去って、再び取り返し得ないという事実に対して、諸君たちは、果たしてどれほどの認識と覚悟とを持っていると言えますか。諸君たちが、この『人生二度なし』という言葉に対して深く驚かないのは、要するに、無意識のうちに自分だけはその例外としているからではないでしょうか。要するにこのことは、諸君たちが自分の生命に対して、真に深く思いを致していない何よりの証拠だと言えましょう。すなわち諸君らが二度とない人生をこの人の世にうけながら、それに対して、深い愛惜尊重の念を持たない点に基因すると思うわけです。」

この言葉が、齢65歳にならんとする私にも、かなり激しく心に響きます。就職して、実際に実業で活躍している人たちを知った時、なぜもっと学生時代に○○を勉強しておかなかったか」と後悔することも度々あったが、もう既に学生時代は過ぎ去り、元には戻らない。現在も、経営や人生に関する偉大な方の言葉に触れる機会が増えたが、もっと早く知っていればもっと意義ある人生を送れたかもしれないと思うが、もうその知識を活かせる時の大半は過ぎ去っている。反省することばかりだが、少しは自分の将来を真剣に考え、行動していればもっと充実した人生になったのではと思う。

最近当ブログにUPした「人の命の摩訶不思議さ(http://jasipa.jp/blog-entry/7116)」にあるように、膨大な数の運命に支えられて生を受けた、その人生をもっと真剣に意義あるものにするために、やはり森信三氏が言う「立志」を若い時から考えるべきだった。

「真に志を立てるということは、このニ度とない人生をいかに生きるかという、生涯の根本方向を洞察する見識、並びにそれを実現する上に生ずる一切の困難に打ち勝つ大決心を打ち立てる覚悟がなくてはならぬのです。(中略)そもそも真の志とは、自分の心の奥底に潜在しつつ、常にその念頭に現れて、自己を導き、自己を激励するものでなければならないのです。」

今からでも遅くない。悔いのない、楽しい人生を送るための人生設計を考えたい。