「営業ノウハウ」カテゴリーアーカイブ

営業マンは幸せを運ぶ配達人

今朝の致知出版社メールマガジンの記事タイトルです。素晴らしい言葉と思いませんか?一家6人、無一文で京都に出てきて、どん底の生活を味わうも、生活のために始めた書籍販売の営業で、全国トップに上り詰めた林薫氏。今は、人材育成のための研究所を立ち上げ、本の出版、全国講演などで御活躍です。(「人間力」で道を拓く(知道出版)」を出版されています)

全文を下記に掲載します。以前紹介した「感動3.0」の近江商人の商売10訓の一つ「無理に売るな、客の好むものも売るな、客のためになるものを売れ!」にも通ずる話しですね。

致知出版社のホームページから無料でメールマガジンが登録できます。全国で3万人以上のかたが登録されているそうです。 

         林薫(ハヤシ人材教育研究所所長)

   『致知』2003年4月号 特集「人間力を養う」より────────────────────────────────────

私が長年歩んできた営業生活の中で特に注意し、努力しなければならないと思うことが15項目あるので、ご紹介させていただきます。

  • 1、教養を身につけ、人間性を養え
  • 2、旬を逃すな
  • 3、たえず、相手の幸せを考えよ
  • 4、自分の心をコントロールできるようになれ
  • 5、服装、身なりは清潔に
  • 6、自分が経営者で社長であると思え
  • 7、親しき仲にも礼儀ありでゆけ
  • 8、態度は低く、心は高く
  • 9、客を育てよ
  • 10、商品を学び、自信を持て
  • 11、目標と計画をしっかり立てよ
  • 12、逆境に負けるな
  • 13、男は度胸、女は愛嬌でゆけ
  • 14、テクニックを研究せよ
  • 15、人に負けることが、当たり前になるな

この15項目は営業マンにとってどれも大事な心掛けですが、その中でも特にと言えば、やはり1の「人間性を養え」が大切だと思います。

例えば、お客様にお断りを言われた時、営業マンはその商品を断られたと思っていますが、実は態度や人間性をキャッチして拒否している場合が多いことを知っておかなければなりません。

逆にお客様が契約してくださるのは、ある意味で営業マンに惚れてくださったのです。私はこれまで多くのお客様にご契約をいただいてきましたが、だからと言って自分が高い人間性を兼ね備え、魅力的な人間だ、などと言うつもりはありません。

私は口下手で、頭がズバ抜けて切れるわけでもなく、人目を引くほど容姿端麗なわけでもありません。

しかし私には

「営業マンは幸せを運ぶ配達人」

という強い信念がありました。

世の中には言葉巧みにお客様を騙し、商品を売りつければそれでいいと思っている人もいますが、私はそういう人に「営業マン」を名乗ってほしくはありません。

幸せを運ぶ配達人は無責任であってはならず、自分の勧める商品を使っていただきお客様に幸せになってもらいたいと心から願うものなのです。

そしてお客様が何かお困りのことがあればどんな相談にも乗り、力になる。それが私の信条でした。

サービスに関する「事前期待」について

5月18日の当ブログで諏訪良武氏の「サービスサイエンス」に関して書き、その中で「事前期待把握の重要性」を言いました。サービスをお客様視点で考えると、お客様の期待を把握する(想定する)ことがサービス提供者の出発点であることはおわかり頂けると思います。如何にこの事前期待を把握するか?ズバリ聞いても、お客様もなかなか事前には明確には言えないが、実際やってみると、お客様の評価は厳しいという経験は誰もがしているものと思います。

お客様の期待は、やればやるほどキリがなく高まっていく。従ってサービス会社は常にサービスレベルを上げ続けなければならない。しかし、これでは会社はつぶれる。「事前期待のマネージメント」が必要になる。営業が、ほらを吹いて受注してが、実行段階でトラブルを起こし信頼を失うケースも頻繁に起こっているものと思います。うまく仕事に対する成果期待と、組織・人に対する信頼感などを組み合わせながら、適切な期待にもっていくことが営業にも求められる。

【事前期待マネージメント例】

  • TDLの待ち時間表示:お客様のイライラ解消策。
  • 祇園「お口に合いましたら、ええんですけど」と言い、素晴らしい料理を出す
  • 業務の見える化(プロジェクト進捗、トラブル対策など)でお客様のイライラ抑制
  • SLA(Service Level Agreement)契約

○定食屋さんで最も重要な事は?

定食屋さんのプロセスは、まず 席に案内する→メニューを渡す・注文を取る→飲み物や料理を提供する→料金を回収する となる。各プロセスにおいて正確性・迅速性・柔軟性・共感性・安心感・好印象(サービス品質の分解)の各評価項目で重要性を判断する(お客様の事前期待把握に基づいて)。ほとんどのプロセスにおいては迅速性が最も重要になると思われる。料理を提供するプロセスでは正確性も同じほど重要と思われる。その正確性とは「料理を間違わない」ということと思いがちだが、定食屋で料理を間違えると言うのはまず考えられず、この場合「お客様が料理を依頼した順番をきっちり守る」ということとすると、なるほどと思うのではなかろうか?

○年をとってくると、自宅では期待できない事をしてくれると感激する。

暑い日に汗をかきかき店内に入ると、さっと冷たいお手拭きを出し「よく冷えたビールがありますよ」とやさしく声をかけてくれたら、すぐ頼んでしまう。やさしい女性の言葉には弱い。これも男性心理を読んだ事前期待であり、女性営業職の男性を落とす戦略。

○ユニクロ、良品計画を立て直した大久保恒夫氏

業績を立て直す秘訣は?「挨拶です。それから店の清潔さを保ち、料理をおいしくする。中でも一番効くのが挨拶。客と会話をし、名前や日々の生活が分かるぐらいになるといい。成城石井もそれで利益を何倍にも伸ばしました」。これはまさにお客様と会話できる雰囲気を作り、お客様の事前期待を把握するための第一歩が挨拶と言われているのではないだろうか。今はデニーズの立て直し真っ最中。