全国のトヨタ販売会社の中でのことだが、「四国の1販売会社が12年連続名誉ある地位を継続できる経営とは」何だろうか?創業者の横田英毅氏が「会社の目的は利益じゃない~誰もやらない“いちばん大切なことを大切にする経営”とは~」(あさ出版、2013.7.31)でその真髄を語る。
横田氏は、手っ取り早く量を求める手法よりは「質の良い会社を作って、その結果として量を増やしていく」ことが経営の在り方だと言う。特に中小企業は量を求めるより、質をまず高める経営をすすめる。そして、「一番大切なこと」を大切にすることと言う。「自分の一番大切なものを、どのように大切にしていますか?」に答えられる人は少ないのではと言う。大切とは思いながら具体的な行動を起こしていない。
それでは「大切なもの」とは何か?売り上げや、利益やシェアだろうか?多くの会社にとって一番大切なものは、経営理念に記されていることを実現することの筈だと言う。各社の企業理念には、「お客様のため」、「社員の幸福のため」、「地域社会のため」、などと書かれている。それをやればいいのだが、そうではないのが一般的ではないだろうか。横田氏が創業したネッツトヨタ南国では、「全社員を勝利者にする」ことの実現に向け、会社のすべての施策を考え実行していると言う。
会社のすべては、人が生み出す。人の質が、会社の質だ。経営者は社員全員が「自分は何のために働くのか」と言う目的(仕事を通じて自分を成長させる、まわりに認められて信頼される、社会や人々の役に立つ、など)を持ち、「この会社で一生懸命働くことが一番」と思ってくれるような会社にすればいい。人の「質」が大事だから創業当時から採用には力を入れている。1回5時間の面談を、3ヵ月の間に6回ほど実施。毎回違う社員が面談し、「人柄」「適正」「価値観」で判断し、一緒に働きたい人物か否か皆で考えるようにしている(中小企業だから出来る?)。
社員がやりがいを持って仕事が出来、それでお客さまに満足、感動して頂き、その姿を見てさらに働く意欲が出てくる、結果として業績もよくなる。そうした仕組みや循環を作ることこそ、大切だと横田氏は言う。12年連続で顧客満足度ナンバーワンを達成した方の経営論だから迫力がある。
退職してから、いろんな方の話を聞いたり、本を読んだりしているが、やはり「人を大事にする経営」が会社を発展させ、社員、お客さまを幸せに導くことになるとの信念がますます強固なものになってきた。今になって考えると、現役時代、やり残したことも多いが、これからも、いろんな事例をブログや講演を通じて、伝えていきたい。