「自己改革5」カテゴリーアーカイブ

“日本の子どもは忍耐力に欠ける”ってほんと?!

21日の日経朝刊にOECD(経済協力開発機構)による15歳を対象とした2012年アンケートの調査結果として、調査に参加した44カ国・地域で日本の「忍耐力」は最下位との記事があった。

質問は5項目。()内数値は、日本、OECD平均を示す。‘約’と付けた数値はグラフから読んだ数値。

  • ●「困難な問題に直面するとすぐにあきらめる」(22%、17%)
  • ●「難しい問題は後回しにする」(約50%、約30%)
  • ●「すべてが完璧になるまで課題をやり続ける」(25%、約57%)
  • ●「取り組み始めた課題にはいつまでも関心を持つ」(29%、約50%)

全ての質問に対して、日本はOECD平均よりかなり悪い結果が出た。OECDの学習到達度調査(PISA)は2000年から3年ごとに実施している。昨年12月はじめに発表した「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の全3分野については日本の平均点は2000年の調査開始以降で最も高く、順位(それぞれ4位、7位、4位)も前回を上回った。当時の新聞では「2003年の調査で順位が急落した「PISAショック」をきっかけに、「脱ゆとり教育」へ転換したことが功を奏したとみられる。」とある。また日本をはじめアジア各国・地域の子供たちの「問題解決能力」が、欧米などに比べ高いことが分かった(7位までアジア地域が占め日本は3位)。「問題解決能力」とは、初めて経験することなど解決方法がすぐには分からないような問題が起きたとき、これまでの知識や技能を生かして状況を判断し、解決しようとする力と定義される。コンピューターを使って行われ、説明書がないエアコンの温度と湿度を調節する操作方法を考えさせたり、初めて見る自動券売機で指定された乗車券を購入させたりする問題が出された。だが、日本の場合、得点が高い割には自信がないという、精神面の問題が明らかになった。今回の日経の記事は、同時に実施した「忍耐力」の自己評価に関してである。「物事の理解は早いほうだ」「多くの情報を扱うことができる」と考えている割合も最も低く、自己肯定感が欠如していることも浮き彫りになった。自己評価の為、日本人の謙遜(控えめ)気質が影響したのではと見る向きもありそうだが、文科省はこのデータを見て「粘り強く取り組む力も育てたい」と言っている。

各国もこの調査結果をある程度意識しながら教育改革を進めている。日本でも、脱ゆとり路線に転換した平成20年の学習指導要領改定後、例えば神奈川県教委は「『問題解決能力』育成のためのガイドブック」を作成。理科の実験や社会のフィールドワークなどで、状況の判断力や分析力、問題解決への意欲を高めるプログラムを提唱している。アジア勢でも近年、PISAに対応する教育改革を進めており、シンガポールでは、国家予算の約2割を教育関連政策にあて、理数重視のカリキュラム開発に力を入れていると言う。

日本人の特質とも言われ、東日本大震災時も発揮され世界から評価された「忍耐力」がこんな実態であることに驚く。若い人たちが自信を取り戻すためにも、「日本人の誇り」や「自己肯定感」の教育にもっと力を入れる必要があると思われる。

<参考>自己肯定感に関する記事:http://jasipa.jp/blog-entry/6579

よき人生を送るには自分の最高価値観に気づくこと!

アメリカの国際的な教育者ジョン・F・ディマティーニ氏が来日された際、当ブログでも何度か紹介させて頂いている文学博士で聖心会シスターの鈴木秀子氏(http://jasipa.jp/blog-entry/6241http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2012/8/22http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2013/5/3など)がインタビューされた記事が「致知2014.5」に掲載されている。ディマティーニ氏は世界を年間300日飛び回り、「ディマテーニ・メソッド」や「バリュー・ファクター」のセミナーや講演会を74の国で毎週のように開催している。日本にも普及協会があり、その招きで2012年3月には、ディマティーニ氏自身が石巻を訪問し、悲しみに打ちひしがれている人達に将来に向けて希望を与える支援を行われたとか。(政治家の父親を亡くしその悲しみを拭えずにいた女性がディマティーニ氏の指導を受けたあと、感謝の涙を流したそうだ。彼女はこれまでも石巻の復興に人生を捧げようと思っていたが、それは政治家の娘としての責任感や義務感だったのを、自分の自発的な意思で「この石巻を世界一にしたい」と心底から思えるようになったことで感謝の涙になったとの事)

人はいろんな価値観を持っている。その中で最高の価値感、すなわち人生の本当の目的が見いだせれば、その目的に向かう過程で起きる成果も逆境もすべて受け止めて前に進むことが出来るということ。人生の目的が定まらない人は、ちょっとした苦しみや痛みが襲ってくると避けるようになり、その痛みや苦しみから逃れようとする。人生においては誰もが苦しみや痛みを経験するが、それをネガティブに考え過ぎると、挫折感を味わうことになる。それでは、どうすれば最高価値観を見出せるのか?「ディマティーニ・メソッド」では、13の質問を使う。(カッコ内はディマティーニ氏の答え)

1.自分の空間をどのようなもので満たしたいか?(本)
2.どのような時間を過ごしているか?(教える、読む、書く、旅行する)
3.何があなたにエネルギーを与えているか?充電するためにあなたは何をやっているか?
4.お金を何に使っているか?
5.最も整理整頓をしているものは何か?
6.最も集中できることは何か?
7.何について最も考えるか?
8.普段、何について思い描くことが多いか?
9.何について自問自答しているか?
10.他人との会話のテーマは何か?
11.何について心を動かされるか?
12.どのような目標を立てることが多いか?
13.何について学んだり読んだりすることが多いか?

各質問に対して思いつくまま各3つづつ答えを出していく。そして答えの重複回数を出し多い順に並べると、最も多いのがその人の最高価値観になると言う(鈴木氏は、この13の質問は最高価値観を探す具体的な素晴らしいヒントになり、丁寧にやっていけば答えを見つけることが出来るのではと言う)。

「とかくサラリーマンは、上役や他人の価値観に従属してしまって、自分の最高価値観に気付かないまま生きている」とも言う。「もし、社員の皆さんが自分の最高価値観を会社の経営理念や自分の業務とつなぎ合わせることが出来たら、その会社で働くこと、自分の業務を遂行することが自分にとっての最高価値観を満たすことになる」とも。

自分の行動を素直に振り返れば、自分の価値観で動いている事例が多くある。それを素直に見ることで、自分の人生の目的(最高価値観)を見出す。目的があることで、前回のブログで言った「ピンチをチャンス」(http://jasipa.jp/blog-entry/9435)に変えることが可能になるとも言える。

ピンチはチャンスだ、ありがとう

日本で一番視察が多いスーパーの経営哲学(ハローディ) | 冲中ブログ (jasipa.jp))で、ハローデイの紹介をしたが、その中で「研修で覚える言葉に“ピンチはチャンスだ、ありがとう”というのがある。例えば私に怒られて落ち込んでいる人に「よかったなおまえ、おめでとう。チャンスじゃないか」と言って励ますのだそうだ。それは店舗火災事件で大打撃を受けた時、加治社長が何度も何度も唱えた清水英雄先生の詩のお蔭で立ち直れた経験を活かしての事だ。」と書いた。清水英雄先生の詩とは次の「ありがとう」の詩だ。

つらいことがおこると/感謝するんです/これでまた強くなれると/ありがとう/
悲しいことがおこると/感謝するんです/これで人の悲しみがよくわかると/ありがとう/
ピンチになると/感謝するんです/これでもっとたくましくなれると/ありがとう/
つらいことも悲しいこともピンチものりこえて/生きることが人生だといいきかせるのです/自分自身にありがとう/
そうするとふっと楽になって/楽しくなって人生がとても光り輝いてくるんです/
ピンチはチャンスだ/人生はドラマだ/
人生がとてもすてきにすばらしく/よりいっそう光り輝きだすんです/ますます光り輝く人生をありがとう の心と共に

ハローデイが、やっとどん底の状態から明かりが見え始めたとき、最も稼いでいた店舗が火事にあった。それを聞いて加治社長は車で駆けつけたが、車の中では悪い事ばかりが浮かんできて怖さで震えが止まらなかったそうだ。その時、上記詩がふっと浮かんできて、それを必死で大声で唱え始めた(店に着いたときは声が枯れていた)。店長が「すみませんでした」と謝ってきたとき、口から出てきた言葉は「店長大丈夫や!改装費が1億、2億かかっても君ならまた取り戻せるやろ」。店長は社長から大叱責を喰らうと思っていたところ、このような言葉だったことで嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかったそうだ。そして火事の1か月後の再開時、売上がオープン時の35%増しとなったそうだ。この時の経験が「ピンチはチャンスだ、ありがとう」につながった。(「致知2014.5号」“すべては縁ある人と感動するために”より)

一言の重み、先哲・先人の教えの重みをひしひしと感じる。いろんなことを素直に受け止める心が、自分の人生を豊かにしてくれる。江戸時代の儒者・佐藤一斎の言葉を挙げておく。

少にして学べば、則(すなわ)ち壮にして為す有り。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。
老いて学べば、則ち死して朽ちず。

(若いうちに学んでおけば、大人になった時には、人のためになることが出来る。大人になっても学んでおけば、年をとっても気力や精神力は衰えることなく元気でいられる。年をとっても学ぶことを続ければ、ますます高い見識や品性をもって社会に向かうことが出来、死んでもその精神や業績は語り継がれる)