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東京23区内私立大学の定員が大幅に減らされるってホント?!

昨年秋に公示された東京23区の大学定員を抑制する文部科学省告示が、現国会で法制化されるようだ。

1月19日放映のNHKのローカルニュース「金曜イチから」でその話題を報じていた。番組紹介文は
受験シーズンが始まる中、受験生の間で混乱が起きている。去年、早稲田や法政など、東京都心にある私立大の合格者が1割程度減り、今後さらに減る可能性があるのだ。背景には、地方から都心への大学移転が進む中でこれ以上都心に学生を集中させたくない国の施策が。戸惑いは、大学や地方自治体、住民にも広がる。大学の流出が続く八王子、人気を急上昇させる群馬前橋にある大学。少子化が続く中、私立大学のあり方を考える。
早稲田大学では2000人以上減る。八王子にある中央大学は就活の学生の利便性を考え、都心への移転計画を推進していたが、これが宙に浮く可能性があるという。政府は“地方創生”のためと言う。

2月3日の各メディアは、小池都知事の反対声明を報じた。「定員抑制と地方創生の推進は別の問題。日本の大学の国際的地位の低下につながりかねない。大学をどうあるべきかという本質的議論がなく、(23区内の大学で)教育を受ける権利の抑制につながりかねない。」と。

1月23日の日経朝刊23面「大機小機」のコラムでも「文科省の大学統制の弊害」との問題指摘をしている。「地方大学の定員割れを防ぐためには、東京の大学の定員数を抑制すればよいという、いわばトランプ大統領流の他者への責任転嫁の論理」と批判している。東京の大学さえも競争力が世界ランニングで低下している中で、いかに日本の大学の教育の質を上げるかが日本の喫緊の課題だが、少子化時代に大学間の競争を抑制するような規制策に警鐘を鳴らす。今回の東京23区の大学定員抑制策は、本来のアベノミクスの成長戦略とは逆方向で、地方創生には結びつかないと結論付けている。

2月6日の日経朝刊1面コラム「春秋」では、「東京1極集中に歯止めをかけるために、23区内の大学の定員増を抑えるー。こんな大胆、いや乱暴な施策が法案化されようとしているのも、走り出したら止まらぬ“地方創生”なるスローガンゆえ」と批判している。役所は、方針を立てたら、どんな弊害を伴っても、本末転倒に陥っても、実現したという”形“を求める体質を指摘し、現場への介入が好きな文科省の止まらない官による統制に警鐘を発している。

私も学生時代から東京を敬遠していたが、20数年前に東京に転勤になって、自ら学ぶ環境や、人脈の作りやすさやその意義など、東京での人の成長を促進する環境のすごさをあらためて知った。憲法や教育基本法にある「教育の機会均等」の考え方に則っても、慶応や早稲田などを目座す学生の夢を奪うことは許されない。立命館アジア太平洋大学や国際教養大学など、地方でも応募者が殺到する大学もある。しかも、入学者が増えても、地方大学卒業者の東京への流出も止められそうもない。日経「大機小機」が指摘するように、地方も含めて各大学が切磋琢磨して魅力つくりに励んでこそ日本の教育水準の向上が期待でき、またそうならなければ、政府が推進しようとしている”人づくり革命“も実現は困難ともいえる。

生産性革命(続き)

前稿の続きで、1月23日朝日新聞朝刊7面のコラム「波聞風問」を紹介する。編集委員多賀谷克彦氏の記事で、タイトルは「生産性向上 “余裕”が生み出す好循環」。
関西では有名な和食チェーンのがんこフードサービスの1店舗「高瀬川二条苑」(京都)での取り組みだ。約400年前に角倉了以が作り、明治期には山形有朋の別邸でもあった屋敷を改造した店舗。その廊下を配膳ロボット4台が動き回っているそうだ。厨房で料理を載せ、パネルに示された座敷名に触れると座敷に到着し、和装の女性従業員がロボットから料理を取りお客様に出す。働きながら工学博士を取った副社長の新村猛氏が大学や研究機関とサービス業の効率化を探ってきた成果だ。まさに政府が言う「生産性革命のためのIT化」の典型的事例だ。この挑戦は10年前から続くが、従業員の足にセンサーを付け動線の効率化を、そして厨房のレイアウトを変えたり、調理過程の一部を自動化したりする試みは続いていると言う。結果として厨房の1時間一人当たり売上高は最大1.7倍に伸びた。
時間に余裕があると、料理が美しく仕上がり、評判が上がり、予約客が増えれば、仕入れ、人員配置にも無駄がなくなり、そこに好循環が生まれる。新村氏は「現場を担うのは人。先端技術を導入しても、働く人が腹に落ちないと成果は出ない」と言う。会議や残業を減らして時間に余裕が出来ても、従業員の満足度が低いままでは成果は出ない。IT化を推進しても満足度が低いとお客も増えず業績も上がらず、投資もできなくなり、働く時間が長くなる。結局は生産性があがらない。この負の連鎖を断ち切るのは、前稿で西條氏が言う”エンゲージメント”の高さ、従業員の熱意だということが、この事例は物語っている。
昭和50年代、日本語ワープロが出現し、オフィスジムの効率化が叫ばれたが、結果的に文書の効率化が文書の洪水を招き、効率化に疑問符がついたことを思いだす。生産性革命も、働き方改革、人づくり革命も、人の情熱、熱意(エンゲージメント)がなければ達成は難しい。この視点に関して、結論は難しいと思うが、国会で世間を喚起するための議論も展開するべきではないかと思う。

あけましておめでとうございます

雲一つない絶好の天気の中で、2018年、平成30年を迎えることができました。といっても、北陸、東北、北海道では豪雪に見舞われ、大変な年明けではないかと、ご苦労をお察しいたします。
昨年3月、6年間続けさせていただきましたJASIPAの特別顧問の職を70歳の大台を迎えたこともあり、辞させていただきました。が、何が起こるか不透明さがますます増す時代、JASIPAに集う中小IT企業こそがその機敏さ、柔軟さを活かしてそれぞれの力を糾合して立ち向かうことが、日本の企業の成長に寄与できるものと確信し、FBなどを通じてその活動を見守っていきたいと思っています。
JASIPAは、理事長はじめ幹部の皆さんが若返り、目に見えて活動が活発化してきています。これまで関西支部では活動が活性化していた、“JASIPA協業フェア”が東京でも始まり、“ICTビジネス委員会”と合わせて、各社の強みをアピールしながらアライアンスを強化する場が強化され、そして“グローバルビジネス委員会”においては、2016年のベトナムに続きフィリピンのIT団体との提携も行われました。3か月に1回行われている定期交流会(非会員も参加可能)もますます活況を呈しているようだ。1月24日(水)は「5年後の会社はどんな姿だろう~5年後をイメージすれば、やることが山ほど湧いてくる~」と題しての株式会社システムインテグレータ代表取締役社長 梅田弘之様の講演も興味深い。その他“研修委員会”や“ES委員会”もいろんな工夫を凝らしながら会員サービスを強化している。
大企業が集うJISAとは雰囲気が全く違って和やかに、ある時は厳しい意見交換ができる雰囲気を持ち合わせている。委員会含めて会合終了後は賑やかな会話が飛び交う交流会が待っている。人の輪を作り、会員同士日常的に交流を深めているようだ。
不透明さが増す時代においては、多様な情報を交換しながら、時々の迅速な意思決定の支えにすることが非常に重要になってくる。
まだ会員でない企業の方も、ぜひ一度JASIPAのホームページをのぞいていただきたい。そして、一度上記各種会合に出ていただければその雰囲気をお判りいただけると思います。
日本のIT企業が日本だけではなく世界を相手に戦える実力を備えるためにも中小IT企業が協力しあって頑張っていただきたい。その輪の中心にJASIPAがある、そんな世界を初夢で見たいと思います。
本年もよろしくお願いいたします。

我が家のベランダでは、正月に合わせるように水仙の花が満開になりました。シクラメンやメネシア、パンジー、カランコエ、ゼラニウムなどの花も見事に花咲かせています。