「リーダー育成」カテゴリーアーカイブ

吉田松陰は“人の長所を見抜く達人”!

前回のブログ(http://okinaka.jasipa.jp/archives/2515)で「いい上司は、弱みより強みに注目する人」と書いた。NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で話題の吉田松陰こそ、まさに「相手の長所を見抜く達人」だというのは、ジャーナリスト岡村繁雄氏。PRESIDENT Onlineの記事「勇気をもらえる吉田松陰の言葉」(http://president.jp/articles/-/14555)の記事に、アメリカ軍艦での密航に失敗して入れられた国元の野山獄での話が掲載されている。一癖も二癖もある投獄者に分け隔てなく接し、孟子の講義塾を開いた。中でも明倫館の元教授でひねくれ者として有名な富永有隣も松陰に心を開く姿はドラマの中でも印象に残っている。岡村氏の記事の中で作家童門冬二氏の言葉を引用して下記のように述べている。

罪人だけでなく、家族から厄介者扱いされ、ここに長く閉じ込められた人もいたのです、松陰は、そのような人物ですら長所を見つけて交誼を結び、それぞれの才能を引き出そうとしました。まさに“野山獄の太陽”だったのです。

岡村氏は

松陰は相手の長所を発見する勘がいいのかも知れない。彼が好んだ孟子の性善説の影響だとしても、人間の短所を見ないと言うのは、ある意味で途方もない楽天家だったのだろう。

と述べている。

以前、「「おもてなし経営」を実践する都田建設(http://okinaka.jasipa.jp/archives/135)」で紹介した蓬台浩明氏がこの1月に「吉田松陰に学ぶ本気の生きざま」という本を出版された(現代書林)。その前書きに「松陰先生は、潜在能力(天才)を引き出す名コーチだった!」とある。蓬台氏は、ドラーッカーにも傾注しつつ、吉田松陰の教えや生き様を学びつつ、社員1人ひとりが生き生きと働く会社を作り上げている。この話は別途ブログにUPすることにしたい。

「企業は人なり」分かってはいるが・・・。部下の強みに注目せよ!

PRESIDENT Onlineに、ドラッカーが教える「理想の上司の条件」(http://president.jp/articles/-/13671)との記事があった(藤田勝利(PROJECT INITIATIVE代表)。その記事に

ドラッカーが唱える「マネジメント」とは、「上司が部下を管理する」という意味ではありません。ひとことで表現するなら、「自分自身や組織の人たちを創造的にすること」です。

さらには、

社員一人ひとりがいきいき仕事をし、創造的であることが何よりも重要だとドラッカー教授は言っています。持続的な利益を生むためにも、それが大事だと。どうすれば、人間は創造的になれるのか。ドラッカー教授は、たったひとつの行動を私たちに求めています。それは、「問う」ということ。自分の商売は何か。自分の顧客は誰か。もっとも価値を届けたい人は誰か。そして、自分の強み、仲間の強み何か……。組織として結果を出せないマネジャーの多くは、部下の弱みに目を奪われて、彼らの創造性を引き出せないでいます。ある企業の幹部がこんなことを言っていました。

とある。確かに松下幸之助は、一般社員との対話でも、自分が喋るより社員への「問いかけ」を行っていたと聞く。その問いかけは、厳しいことも有ったと思うが、社員に自信を持たせるように導くものだったと聞く。

「部下を創造的にする」恐らく皆さんの最大の悩みと思われる。しかし、その悩みを解決するために何らかの行動に移しているだろうか?

「日本の会社では、入社面談では強みや資質が問われるが、入社後は弱みをいかに是正するかが問われる」。もし、ドラッカー教授にいい上司の条件を教えてくれと問うたなら、まずは「弱みより強みに注目する人」と答えるでしょう。

下記のような記事もある。

部下はそれぞれ得意分野や好きな分野は持っているはず。そうした個性を見出して部下を動かし、チームとしての成果に結びつける采配力がリーダーには必要です。部下1人ひとりのモチベーションを上げ、主体的に仕事に取り組ませるような環境を整備することこそ、リーダーの務めでしょう(建功寺住職 枡野俊明 仕事に効く「禅の言葉」よりhttp://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20150223/436584/?mle)。

マズローの欲求5段階説の4階層「尊厳欲求(承認欲求)」(他者から認められたい、尊敬されたい)という欲求、そして5階層「自己実現欲求」(自分の能力を引き出し創造的活動がしたいなど)の欲求を満たすには、まずは自分の強みを認識し、何らかの確信、自信につながる者を持つことが重要と思われる。

JASIPAにおけるサロンにおける懇親会の席などで話をしてみると、折角の強みを認識していない人が多いのに驚かされる。例えば客先でチームリーダーとしてチームをまとめて10年間仕事をしている人が、「あなたは客から信頼されているから10年間もリーダーが務まっているのでは」と指摘すると、「そうかも知れない。もっと自信を持ってお客と話をしてもいいかも」と気づく。こんな話を持ち帰ってチームメンバーに話すと顔色が変わってきたとの後日談もある。

日経の「私の履歴書」で日揮グループ代表の重久吉弘氏も2月22日の記事で

企業が成長するために最も重要な資源は間違いなく人である。(中略)意欲を上手く引き出し、能力を高められれば大きな可能性を企業にもたらす。

と言っている。

「企業は人なり」とは昔から言われ続けてきたことである。これを如何に経営者やリーダーが行動に移せるか、一つのヒントが「部下の強みに注目せよ」ではないだろうか。

理想の上司の条件とは(ドラッカー)

米国カリフォルニア州にあるドラッカー・スクールで生前のドラッカーやその思想を受け継ぐ教授陣から学び、現在はコンサルタントとして活躍する藤田勝利氏へのインタビュー記事がPRESIDENT Onlineに掲載されていた(http://president.jp/articles/-/13671)。題名は『ドラッカーが教える「理想の上司の条件」』。興味深かったので紹介する。企業はいつもイノベーションを必要としている。イノベーションを起こすべき「社員1人ひとり」がいきいき仕事をし、創造的であるためのマネージメントの条件とは?がテーマだ。

ドラッカーはたった一つの行動を求める。それは「問う」こと。自分の顧客は誰か?もっとも活を届けたい人は誰か?そして自分の強みは?仲間の強みは?等々。とかくマネージャーは部下の弱みに目を奪われて彼らの創造性を引き出せないでいる。第一の理想の上司の条件は

弱みより強みに注目する人

そして、第二の条件にあげるのは、

インテリジェンスより真摯さを大事にする人

記事では、知識豊富で頭の切れる女性(Mさん)と、普通の女性だが普段から誰とでも分け隔てなく朗らかにコミュニケーションできる女性(Sさん)を例えに、ミーティングでの失敗・成功事例を紹介している。Mさんは決められたプロセスに沿って理路整然とプロジェクトを進めようとしたが行きづまる。リーダーを交代した役員の右腕としてSさんが取り仕切った会議では、メンバーから建設的な意見が活発に出て、順調にプロジェクトは進んだ。Sさんは自社製品に惚れこみ、思い入れが強く、プロジェクトのメンバーをリスペクトしている。メンバーの発言に心から共鳴しながら議論を前に進めることが出来た。マネージャーの仕事は、

部下をいきいきと躍動させること。

Sさんの持つ「真摯さ」とは、「終始一貫、本気で、チームの目的を達成するために力を尽くす姿勢であり、人間性」、「本気で成功させたいと思っている」「本気でいいチームにしたい」との思いだと藤田氏は言う。

マネージャーは、細分化された業務やルール、煩雑な事務処理、人間関係などで疲弊しきっており、「本当の自分」を見失っているとも言う。ドラッカー・スクールでは、「自分自身をマネージメントできなければ、組織をマネージメントすることは出来ない」と教えられる。自分自身が何物で、何を大切に考えて生き、働いていて、何が強みなのかわかっていないと指摘する。日本人のプレゼンテーションを聞いても、資料は美しいが、内容には感動を覚えないことが多い。理路整然とプレゼンはしているが、自分自身の感情が閉じ込められ、強みが活かせていない。それでは組織全体を動かすエネルギーは生まれてこない。

部下は感動によってこそ、自発的に動く

と指摘する。

最後にイノベーションを喚起する文化にも関係して下記の警告を発している。

利益のみを目的化する企業は、短期的視点からのみマネージメントされるようになる。その結果、企業が持つ富の増殖機能は破壊されないまでも、大きく傷つく。結局は業績が悪化していく。しかもかなり早く悪化していく。

以前紹介した「コンシャスカンパニー」でも同じことを言っている。私も含めて多くの経営者にとっても耳の痛い警告と思うが、変化の激しい時代、真剣に耳を傾けるべき警告とも言える。