セビリアに宿泊し、今日はセビリア観光後、グラナダに行きメスキータ(イスラム教寺院)見学をする。セビリアは「セビリアの理髪師」の舞台であり、ベラスケス、ムリーリョなどバロックの巨匠の生誕地でもある。まず、セビリア観光で行ったのが、1929年セビリア万博パビリオンで、現在は軍と州庁舎として使われており、市民から“スペイン広場”として親しまれている所だ。建物の壁面に幾何学文様の装飾を施しているムデハル様式(バルセロナのサン・パウ病院が典型)で、両翼に半円形に延びる回廊と、スペイン各県の歴史的出来事を描写した壁面タイル絵が特徴的だ。
大聖堂への通り道、特徴的な街並みがあった。まず驚くのは街路樹のミカンの木だ。ちょっとした音がしたので振り向くとミカンが落ちていた(夏みかん程度の大きさだから、頭に当たるとショックは大きい?)。1000年前の水道管や、公園にタイル張りの椅子があったり、街並みも独特だ。スペイン最大、世界でも3番目に大きい大聖堂(カテドラル)に着いた(世界一はバチカンのサンピエトロ、二番目はロンドンのセントポール大聖堂)。時間の関係で外から眺めるだけだったが、隣接して建てられたヒラルダの塔をバックに目を見張る大きさだ。この大聖堂も、カトリックの聖地カテドラルと、イスラム教のメッカ、モスクがミックスしたカテドラルだ。ヒラルダの塔もイスラムの塔ミナレットだったそうだ。
大聖堂の隣に、913年イスラムの王アブデル・ラマーン3世の命で建設された要塞兼宮殿でキリスト教徒による国土回復運動の後に再建されたこともあり、イスラムの漆喰の装飾とカトリックのゴシック、ルネッサンス様式が混ざったエキゾチックな雰囲気の建築物だそうだ。今回はその入り口だけの見学だ。クリスマスで、入り口両横にポインセチアが飾られている。グァブキビル川のシンボル“黄金の塔”、川の航路監視の塔で、昔は壁面に張り巡らされたタイルが陽光で金色に輝いていたことから黄金の塔と名付けられたそうだ。すぐ近くにスペイン一番、世界で二番目の闘牛場がある。その入り口だ。
セビリアを後にしてコルドバへ(137km).グラナダではやはり「メスキータ(イスラム教寺院)」だ。後ウマイヤ朝支配時代の785年に建てられたモスクで、その後も増築を続け数万人を収容できる巨大なモスクとなった。レコンキスタが完了後、キリスト教統治時代に内部にキリスト教カテドラルが造られ、イスラム教・キリスト教が共存する世界でも珍しい建物となった。紀元後1世紀に建てられたローマ橋を渡るとグアダルキビル川の岸辺にメスキータはある。メスキータ西側のファザードを通っていくと、ミナレット(塔)が現れる。塔のある中庭はミカンの木で覆われているが、“みそぎの空間”だったところだ。
内部に入る。『礼拝の間』の空間を支える無数の円柱(現在845本)は、世界各地から集められた時代、様式、場所の異なる他の建物から転用されたもので、転用するために寸足らずとなった円柱の上部10m程度の高い天井を支える部分の工夫が、特徴となる二重アーチを生み出した。アーチは白い化粧漆喰と赤い石(レンガ)を交互に楔状に配した構成となっており、大理石の柱は、ローマ時代や西ゴート時代から転用された。アーチ状の天井も面白い。
次はミフラーブと言い、イスラム教徒が祈りを捧げるメッカの方向を示すくぼみだ。馬蹄型アーチには金色のビザンチン・モザイクが施されており、周囲にはコーランの一節も刻まれている。金と青で美しく装飾された八角形のドーム型天井は非常に高さがあり、窓から光が差し込む設計になっている。ミフラーブの隣にあるサンタテレサ礼拝堂は聖具室(宝物室)として利用されており、中央には金と銀の豪華な聖体顕示台が展示されている。
メスキータの中にあるキリスト教礼拝堂、マヨール礼拝堂だ。まさにメスキータのど真ん中にキリスト教の礼拝堂を作った。天井の彫刻にも眼を見張る。反対側に中央祭壇と聖歌隊席(マホガニー製)、パイプオルガンがある。祭壇にクリスマス用の特別な飾りがあった。
外に出て、すぐ近くのユダヤ人街に行く。中でも“花の小経”が有名だ。小さな小路にいろんな店もある。
コルドバ見学を終えて、コルドバ駅からスペイン高速鉄道AVEでマドリードへ。