「打てば響く組織」と企業規模


これまでにも紹介している「PHP Business Review松下幸之助塾2013年9.10月号」の特集テーマは「打てば響く組織への挑戦」だ。社員のモチベーションを第一義とする私の信念からも、非常に興味あるテーマの為、既に二つの記事を紹介した。一つは安芸南高校(http://jasipa.jp/blog-entry/9009)、そして「メガネの21」の丸見え経営(http://jasipa.jp/blog-entry/9067)だ。今回は、松下幸之助氏はどう考えていたか「“心を通わす”ために松下幸之助が求めたこと」の記事の一部を紹介する。

社会的な通念として、大きいものが頼りにされ、組織もまた然り。しかし幸之助の組織に対する評価は「大きさ」ではなく、「打てば響く」かという組織の質だったと言う。1968年社内誌の言葉を紹介している。

打てば響くような姿を維持することはなかなか容易ではありません。特に少人数で仕事をしていうるうちはまだしも、一人増え二人増えして規模が大きくなってくると、ともすればお互いの間の連絡がおろそかになったり、組織の枠にとらわれたりして、疾風迅雷に事をすすめることが出来にくくなってきます。

同年にNHK教育テレビ「これからの中小企業」に出演した時は、中小規模の規模の小さいことを不利と考えるのではなく、むしろ変化に応じる適応性において有利で活き活きと活動できることを重視して、下記のような発言をしている。

私は自分を振り返って考えると、一番楽しく張り切って仕事が出来たとき、まあ得意の時と申しますか、そういう時は、やっぱり50人前後の人を使っていたときですな。(中略)今はまあ幸か不幸か、多少大きくなっておりますが、むしろ今の方がいろいろ悩みが多いですな。

また別の場では、「もし許されるのであれば、私は2~300人程度の中小企業のおやじでありたい」と公の場で言ったそうだ。幸之助は「打てば響く組織」とは、「心を通わせている状態」と言う。お客さまとの間ももちろんそうだが、会社の中でも組織の質を高める上で大切だと。中小規模では、従業員の顔や性格、仕事ぶりまで全部把握でき、そして自分の一挙手一投足を全部知ってもらえたので、何事にも協力してもらえる「お互いの意志が縦横に通い合う風通しのよい組織」が作れる。ある経営方針発表会での発言。“”一人一人の汗の結晶が隣のひと、部下、上司の人にも理解されるということは、何にも増して心嬉しい事。(中略)松下電器の人々の間では、北海道におる人の苦労が九州におる人に伝わる、その逆もある、打てば響くようなかたちにおいて全員が結ばれていくようにならなければ、決して成果というものは上がるものではないと思う。コミュニケーションと情報の共有の大切さを説いた。

幸之助が「打てば響く組織」のために社員に訴えた事。「自分を社員としての仕事を独立して営んでいる事業主だと考えてはどうか」と。自分を事業の主人公だと認識すれば、周囲の同僚も上司もみな自身の事業を成り立たせてくれるお得意様。お得意様に対してサービス第一ということで誠心誠意尽くすように接すれば、それこそ「打てば響く」すばらしい関係があちこちに生まれるのではないか、そうすればコミュニケーションも進むし、各々の仕事のやりがいも増大するだろうと。

このブログを開設しているNPO法人JASIPAは中小企業ITベンダーの集まりである。社員の究極の幸せを実現できるのは中小企業だと言う松下幸之助氏の言葉に、希望の光を見出して、元気をもらえる気がしませんか?さあ、行動に移しましょう!

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