強く生きる力が湧いてくる「感動する日本史」


白駒妃登美さんが2冊目の本を先月出版された。「感動する日本史~日本人は逆境をどう生きたか」(中経出版。2013.3.21)で、18人の歴史上の人のエピソードが紹介されている。1冊目の「人生に悩んだら日本史に聞こう」(http://jasipa.jp/blog-entry/7303)、ご講演のお話(http://jasipa.jp/blog-entry/8227)、「致知」に掲載の記事の紹介(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2012/2/13)など、これまでにも当ブログで白駒さんを紹介させて頂いている。歴史上の人物の生き方を、自分の生き方の参考にされ、その生き方を多くの人に伝えて元気を与えておられる白駒さんの活動に頭が下がる。FBでも多くの人に感動を与えておられる様子が伺える。

吉田松陰や正岡子規など有名な歴史上の人物が、悩み、傷つき、打ちひしがれた時、彼らはその逆境にどう対峙したのか、そしてそれをどう乗り切ったのか、ポイントを絞って非常に分かりやすく書かれている。戦後生まれの世代には、このような視点での教育はなかったため、すべての話が非常に新鮮で、「日本人の美質」をあらためて感じるとともに、「日本人としての誇り」を取り戻し、強く生きる力が湧いてくるのを感じる。安倍政権の「教育再生実行会議」で「道徳の教科化」が言われている。このような話を「道徳の教科化」に組み入れることをぜひお願いしたい。

実際、白駒さんは、「義に生きた敗軍の将」として本の中で紹介されている筑後柳川藩の藩祖立花宗茂について地元の小学校で話をされたそうだ。立花宗茂は、関ケ原の戦いで、秀吉の恩に報いるため西軍についた。そして立花家取りつぶし、宗茂は牢人の身となったが、それまでの武勇と共に「立花の義」を貫いた宗茂を家康も評価し、関ケ原から4年後に復権、20年後には柳川藩主に返り咲いた。領民の喜びは格別のものだったそうだ。この話を聞いた小学生の感想文を披露されている。「裏切らない、恨まないことの生き方に感銘」「宗茂のように心優しく、強く生きる」「損得ではなく、自分が胸を張れる生き方を選ぶ」と。白駒さんは「過去の怨みは水に流し、受けた恩は心に刻んで必ずやその恩に報いること。優しさを貫くためにほんとの強さを身につけること。自分の心の声に耳を傾け、いつも自分が胸を張って生きられる道を選択すること。それらが‘天に愛される人間の条件’であることを、子供たちは、その素晴らしい感性で掴んでくれた」と言う。

「いつでも最善を尽くした人々に苦境で折れない心を学ぶ」として吉田松陰、黒田官兵衛、上杉鷹山を。「自らの役割を見定めた人々に目的を遂げる志を学ぶ」としてエジソンも一目置いた真珠の御木本幸吉、スルガ銀行の始祖岡野喜太郎、台湾に人生を捧げた八田与一、想像を絶する凄惨で過酷な状況の中で周囲の人に愛と勇気を与え人生を全うされた長崎の医師永井隆を。「現状を大胆に受け容れた人々に執着の手放し方を学ぶ」として正岡子規、高杉晋作、立花宗茂、高橋紹運を。「時流に逆らわず生きた人々にしなやかな強さを学ぶ」として「鹿鳴館の貴婦人」大山捨松、山岡鉄舟、島津斉彬、加賀前田家まつの4女豪姫を。「次世代に想いを伝えた人々に危機を乗り越える希望を学ぶ』として、細川幽斎、「Boys, beAmbitious」のクラーク、盲目でヘレンケラーにも影響を与えた国学者塙保己一を紹介されている。

白駒さんご本人も、3年近く前の事、完治していたと思っていた子宮頸がんが肺に転移し、「この状況で助かった人は見たことがない」との主治医の言葉を聞いて、半ば覚悟を決めていた時、正岡子規が力を与えてくれたと言う。「生かされている“今”を平然と生きること」がほんとうの覚悟と言い、実際にその死生観で、病床においても不思議なほどの明るさで病人とは思えない精力的な文筆活動を続けた。白駒さんは「過去を悔い、未来に不安を抱いても仕方ない、ただ今を自分らしく平然と生きる」と決めてから夜もぐっすり眠れるようになり、がん細胞も消えてしまったとの事。

グローバル化の時代、「日本人の誇り」を取り戻し、自信を持って世界に羽ばたく、そんな人材を育成するためにも、「博多の歴女」白駒さんの話は貴重だと思う。

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