「革新生むアドビの赤い箱」(日経)


今朝の日経朝刊6面の「GLOBAL EYE」の記事に目が止まった。その冒頭に

組織としてイノベーションを生み出す力をいかに高めるかは、世界中の企業が直面する共通課題の一つだ。

とあり、米ソフト大手のアドビシステムズのユニークな取り組みを紹介している。「アイデアが浮かんだら引っ張りだすこと」と書かれた赤い箱が「キックボックス社内プロジェクト」に参加した人に配られる。箱の中には、アイデアを煮詰める6つのステップが書かれた手引きとチョコレート、スターバックスのギフトカード、そして1000ドル分のプリベイドクレジットカードが入っている。1000ドルの使い道は自由。報告や精算の義務なし。社員であれば誰でも参加可能。

箱を受け取った社員は、まず外に出て自分のアイデアや仮説を検証する。ある人はウェブサイトを開設し、ある人は友人や知人にインタビューして潜在需要を探る。裏付けデータが集まれば経営幹部に説明し、一人でも支持が得られれば次のステップに行ける。これまで1000個の赤い箱が社員の手に渡り、3個のアイデアが製品化されたと言う。

生みの親の副社長は「我々の最大の資産は1万2000人の社員。その眠れる創造力を引き出すために、アイデアとやる気のある社員全てにチャンスを与えた」と言う。そして、1000個に3個と効率が悪いように見えるが、専門の部署で多額の投資をしても成功か確約されているわけではない。それよりも失敗を恐れず、何度でも挑戦できる風土を創ることの方が重要と。キックボックスの成果を人事評価に一切反映しない点にもその本気度が出ている。

このキックボックスプログラムは、今春から外部に無償で提供されているらしい。誰でも自由に改良を加えながら使えると言う。既に数千件がダウンロードされ、世界中から問い合わせも多数来ているそうだ。「イノベーター」を育てるアドビの試みは変革を目指す日本の企業にとっても示唆に富んでいる、と記事を締めている。

我々も、持続的なイノベーション風土創りにもっと気を遣いたい。

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