フィレンツェからローマへ、280km、約4時間の行程だ。右側の山並みと田園風景の中で時折見える崖の上の町、天空の町ラピュタのモデルになったオルテと言う街もこのなかにあるそうだ。
ローマに着いて最初の観光はやはりヴァチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂だ。日比谷公園の約3倍弱、人口800人弱の世界最小の国だが、世界に12億人と言われているカトリックの信者の総本山だ。349年初めてキリスト教を認めたローマ帝国皇帝コンスタンティヌス1世が、ネロ帝によって処刑されて聖ペテロの埋葬地とされる丘に教堂を建立したのが始まり。2度の火災や戦災でなかなか建設が進まなかったが、16世紀ルネサンス期からバロック期への移行期になってラファエロやミケランジェロら巨匠の手により竣工したのが今の姿。サン・ピエトロ広場には入場を待つ長蛇の列が。イタリアの風土か、平気で割り込む人たちが目につく。我々の目前に、学校の先生が引率する学生10人ほどを連れて割り込もうとするので、日本語で怒りの言葉を発するとスゴスゴと列の最後に歩いて行った。1時間ほど待って厳格な荷物検査を経てやっと入場。列柱にはベルニーニ設計の140体の聖人像があり、その中の一人にザビエルがいる。各門には傭兵が立っているが、15~18世紀資源のないスイスは傭兵を国の政策として育て、最も勇猛果敢だとの評判で各国から傭兵依頼が来たと言う。ヴァチカン市国では今でも傭兵はスイス人を使っているそうだ。その服のデザインはミケランジェロと言われている。
内部は荘厳そのもの。ミケランジェロの若いころの作品で、磔刑に処されたのちに十字架から降ろされたイエス・キリストと、その亡骸を腕に抱く聖母マリアをモチーフとする宗教画「ピエタ」が有名。「足のなくなったペテロのブロンズ像」も有名だ。
ヴァチカン美術館、システィーナ礼拝堂は明日の見学として、コロッセオ、スペイン広場、トレビの泉などを回った。スペイン広場とトレビの泉は残念ながら修復中だったが、観光客で賑わっていた。コロッセオは、80年に完成した高さ48.5m、4階建て、5万人収容の巨大な円形競技場。日本では弥生時代のことだ。いまだにその威容が残されているのに驚く。