IKEAにとっての企業理念


第1回JASIPA経営者サロンで、参加者の企業の企業理念を精査し、企業理念の重要性を議論した。7月4日~6日の間、国際フォーラムで開かれている「ヒューマンキャピタル2012」の基調講演を聞いた。スウェーデンの田舎で起業し、日本にも進出してきたIKEA JAPANのミカエル・パルムクイスト社長の、IKEAの企業理念に関する話だ。

イケアのビジョンは「より快適な毎日を、より多くの方々に」。優れたデザインと機能性を兼ねそなえたホームファニッシング製品を幅広く取りそろえ、より多くの方々にご購入いただけるよう出来る限り手ごろな価格でご提供するという、イケアのビジネス理念が、このビジョンを支えているとの話から入った。人にとって家庭が最も重要な場所との思いだ。

創業から60年超、今では世界44か国に進出し、日本には2006年千葉県船橋に1号店を開設、横浜、大阪、神戸、埼玉、福岡、仙台などに進出、横浜店だけでも600万人の来客数を記録したそうだ。ホームファニッシング業界でかくも短期間に世界一の企業に成長したその起爆剤が、上記ビジョンの元で設定された10か条の「IKEA Value」だ。その前提に、IKEAの人事理念がある。社員をCo-Workerと呼び、リーダーはCo-Workerを育てる責任を負う。Co-Workerの成長こそがIKEAを成長させるとの信念だ。

  • 連帯感と情熱
  • 率先垂範:子は親の背中を見て育つ、リーダーは自ら手本を示す
  • 簡潔(Simple):効率性を追求、常識を覆し、不作為を禁ず
  • 現実を直視する:聞いたもの、見たもの、経験したものを重視。事務職も最繁時の現場に立つ。
  • 常に走り続けること:目標達成してもとどまらない。留まることは死を意味する。
  • コスト意識を持つ:グループCEOも海外出張はエコノミー。
  • リソースを効率的に使う
  • 新しいものに対する情熱:常に変化を追い求める
  • 謙虚さと意志力:お互いを尊重する謙虚さと、従来のやりかたに満足せず人と違うことをやる意思力
  • 責任を担い、委任する勇気を:経験のないCo-Workerにも信頼して委任、責任は自分が負う。今の職務規定以上の責任意識。

各国の強み、弱みが良くわかるが、日本は「簡潔」「責任を負い、委任する勇気」が弱い。上記10か条をつねに意識しながら仕事にあたっている姿を、Co-Workerを登場させ話させることで見せていた。

どんな会社の規模でも、社員のモチベーションを喚起するために企業理念は必須と思う。そして作りっぱなしではなく、その企業理念をことあるごとに社員に説明しながら、その本気度を伝え、理念に基づく行動力そのものを企業カルチャーにする。そんな元気な会社が最近とみに目につくようになった。IKEAでは、すべてのCo-Workerが日々の仕事の根底に企業理念を持ち続け行動していると言う。リーダー、マネージャーは「自分は偉い」と上から目線になるとすぐ降格するそうだ。「利益より目的を持って会社を運営する」ことが徹底されている。利益は後からついてくる。

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