何のために働くのか(北尾吉孝著)


昨年11月に当ブログ(http://jasipa.jp/blog-entry/6966 孔子に人間学を学ぶ) で紹介したSBIホールディングス代表取締役北尾吉孝氏が、興味ある本を出版されている。「何のために働くのか(致知出版社)」で、昨年はハードカバーだったが、この3月にポケット版が出版された。

儒学者を祖先に持つ北尾氏は若い時から中国古典に親しみ、深い造詣をお持ちであることは有名である。四書(論語・大学・中庸・孟子)五経(易経・書経・詩経・礼記・春秋)の教えを前著「君子を目指せ、小人になるな」に続いて、今回の「何のために働くのか」でも随所で展開されている。

稲盛和夫氏の「働くことが人間性を深め、人格を高くする。働くことは人間を磨くこと、魂を磨くことだ」の言葉を最初に紹介し、物質的な豊かさと精神的な豊かさの共存の必要性を説いています。「精神的な豊かさ」すなわち人間力の弱体化が、日本そのものの弱体化につながっているとの危機感を持ち、中国古典や、稲盛さん、松下幸之助、安岡正篤、中村天風、森信三各氏の名言に習うべしと言う。

「仕事の成果は、人間的な成長と“ご縁”」、ご縁を広げ、いろんな人から話を聞くことによって刺激を受けるとともに、自己を知る。自己を知ることが人間を磨く根本問題と、先哲は言う。ソクラテスも「汝、自らを知れ」、ゲーテも「人生は自分探しの旅だ」、安岡正篤氏は「自得」という言葉を使い「人間いちばん失いやすいものは自己。根本的本質的に言えば人間はまず自己を得なければならない」と。「老子」には「人を知る者は智、自ら知る者は明(人を知る者は智者に過ぎない、自分を知ることが最上の明だ)」とある。

「働く」というのは「傍を楽にする」こと、つまり社会のために働くことであり、公けに仕えること。人生の根本義は「仁道」にあり、「仁」は人が二人と書く。すなわち心相通ずる関係を言う。相通ずる心というのはある種の一体感です。この心が起こってくると「恕」が働き始める。「恕」というのは、我が心の如く相手を思う、すなわち思いやりのこと。(前ブログhttp://jasipa.jp/blog-entry/7453

精神的な豊かさを得るために、もっと古典を勉強してみたいと思う。

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