イギリス旅行~その1 湖水地方

イングリッシュガーデンや、コッツウェルズのような小さな田舎の風情に憧れて、イギリス(6泊8日)に家内と行ってきた。出発前の天気予報では、ほとんどが雨で、時には風が強く嵐のような日もあるとの事だったが、予想に反して雨は1滴も降らず、晴れ間も時々見えるイギリスでは珍しい天気に恵まれ(フランスやドイツでは大雨で洪水も発生していたが)、最高の旅行だった。

5月30日12時35分成田発でロンドン・ヒースロー空港到着が17時(時差がサマータイムで8時間)、その後、5時間かけて本日宿泊のブラックバーン(マンチェスターの北30Kmほどの地)へ。中世イギリスの荘園(マナー)領主の邸宅跡を改造したホテルで、1275年築のメルキュール・ダンケンハルフ・ホテル&スパに夜11時頃到着。

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翌朝は、さらに北44kmにある小説家ブロンテ3姉妹で有名な小さな村ハワースに行く。ブロンテ家が住んだ家は今は博物館になり、エミリーが「嵐が丘」を執筆した部屋や台所など当時の様子が伺える展示となっている。姉妹の父がこの街で牧師をやっていた「パリッシュ教会」もすぐ近くにある。細い道を辿っていくと、エミリー姉妹の小説(嵐が丘、ジェーンエアなど)にも出てくるヒースの丘にたどり着く。ヒースはスコットランド特有のものらしく、今は枯れた小木だが、7月頃から10月頃までピンクの色になるそうだ。

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その後、さらに北100kmほどのウィンダミア湖(ボウネス)に向かう。道中の車窓からは、はるかかなたに続く牧草地や、その中に見える美しい街の佇まいに心が和む。

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ボウネスには、ハリーポッターの展示館があるが、湖畔を歩いていると白鳥が観光客の中で人なつっこく餌をもらっている姿に出くわし、家内が夢中になってしまい、展示館には行けなかった。その後、ボウネスからレイクサイドまで遊覧船でウィンダミア湖を渡った(40分ほど)。両岸に見える風景は素晴らしく、あっという間の遊覧だった。

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再度ブラックバーンへ戻って宿泊。

“最高の仕事ができる幸せな職場”とは!

最高の仕事ができる幸せな職場」というタイトルの本が目についた(ロン・フリードマン著、月沢李歌子訳、日経BP社、2015.11)。常々、会社と言うものは社員が付加価値源泉であり、社員が気持ちよく仕事が出来る職場つくりが経営者にとって重要な使命と思っている私にとって、手に取らざるを得ない題名だ。

従業員が幸せであれば、生産性や創造性に優れ、質の高い顧客サービスが提供できるということがある研究によって明らかになっていると言う。そしてそのような職場にするヒントが説明されている。その中で、ある種共感を覚えたり、興味を覚えた事項を列記する。

失敗を奨励する:このことは当ブログでも何度か書いているが、研究事例が面白い。病院での調査結果だ。「同僚と良い関係にある看護婦は失敗が少ないか?」とのテーマだ。常識的には「協調性の高い職場で有れば、看護婦はより仕事に集中でき、失敗も少ない」ということだが、結果は逆だった。なぜ?仲間との絆が強くなると失敗が増えるのではなく、失敗の報告が増えるのだ。失敗を報告した際に厳しく咎められれば誰も失敗を認めない。だが、失敗が学習の過程とみなされるなら失敗を隠す必要がない。失敗から多くを学べる風土を創り、他者の失敗からも多くを学べる協調性の高い職場つくりが大事という事。

遊びが問題解決を容易にする:難しい問題に取り組んだり、創造的な解決策を探ったりする時に頑張りすぎるのは良くない。先進的な会社では遊びの空間を設けているところもある。

モノより経験の方が価値がある:中国人の縛買いがモノ(商品)から、コトに移ったと報じられている。当書では、さまざまな商品やサービスと幸福感の研究に基づいて、「経験(旅行や気球に乗るなど)の提供は、同額の商品(テレビやスーツなど)の提供よりも人に対してより大きな幸福感を与える」ことが分かったと言う。モノは一人で使うことが多いが、経験は他者と関わることで視野が広がり、幸福感を増幅させる可能性が高く、企業でもモノより経験に予算を使った方がいいと説く。

小さな変化が、幸福感の維持に大きく影響する:人間は幸福な状態を維持するのが苦手。昇進も時間が経てばすぐあたりまえになってしまう。それを克服するには、楽しい喜びを、小さくても何度もあるようにする。月に一度の40ドルの花束よりも、毎週末に10ドルの花束を買って帰る方が幸福感を長引かせることが出来る。年末の一度のボーナスよりも年4回に分けて出す方が効果的と言う。

職場内コミュニティが形成される種をまく:重要な出来事(婚約、誕生日、昇進など)を皆で祝うような行事でグループの絆を強くすると、グループ員のストレスが減り、仕事の生産性も上がる。

効果的な称賛の方法:いいことをすればすぐ褒める(年に1回の表彰タイミングではなく)。人ではなく行為を褒める。公の場で褒める。

今朝の朝日新聞10面のコラム「経済気象台」に、「自分が働いている会社を信頼していると答えた日本人は4割で、主要28か国で最低」とあり、「日本経済の潜在力を上げるには、具体的な成長戦略に加えて、組織の改造も必要」と訴えている。上記のような考え方も参考にしながら「最高の仕事ができる幸せな職場」を目指してほしい。

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フィデューシャリーの時代!?

今朝の日経17面のコラム「大機小機」で「フィデューシャリーの時代」という聞きなれないタイトルが目に入った。記事によると「最近、運用会社や大手金融グループが“フィデューシャリー・デューティ宣言”を発するようになった。」とある。敢えてわかりやすく訳すと「お客様の期待・信任に応える責任・義務」ということらしい。金融庁が2014年に「金融行政方針」でキーワードとして使ったことから最近各金融機関で上記宣言を発するようになった。調べてみると、株式会社三菱UFJ フィナンシャル・グループはつい先日の5月16日に「資産運用分野におけるMUFG フィデューシャリー・デューティー基本方針」を発表している。みずほ、住友など信託銀行関係も企業理念などで発表している。

記事によると、金融庁は、行政方針において「運用会社は投資信託の製造において“お客様のためになる商品”より“系列の親会社が販売しやすく手数料を稼ぎやすい親会社のためになる商品をつくっていなかったか」と問いかけ、「金融商品の開発・販売・運用・管理に関し、真に顧客のために行動しているかを検証し、自主的に改善するしくみの構築」を促している。コラム子は、最近の不正問題の多さに、政治家や企業も社会や市民、投資家の信任で成り立っている点を考慮すれば同概念の徹底の重要性がもっと強調されるべきだと論じている。

金融業界は、金融庁があらためて問題指摘しなければならないほど、内向きの企業運営になっていたのかと驚かされる。一般企業においては、上場会社の90%は「お客様第一」のスローガンを企業理念や基本方針に以前から掲げていると言われている(実際の行動に移しているのはそのうち10%とも言われているが)。

それにしても、もっと深い意味があるのか、難しい言葉を使うものだ。調べてみると「英米法において信認を受けた者が履行すべき義務を指す。この概念は英米法においては信託受託者以外にも弁護士・医師・会計士などその専門的能力と裁量権をもって他者のために働く者にまで拡張されている。」とある。これから、この言葉を聞く機会も増えてくるのだろう。

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冲中一郎