「還暦からの底力」の本で高齢者の生き方に発破!

還暦からの底力(歴史・人・旅に学ぶ生き方)」(出口治明氏著、講談社現代新書,2020.5刊)に刺激を受けた。出口氏の経歴がすごい!日本生命に入社、60歳前に退職しネットライフ企画㈱(現ネットライフ生命保険㈱)を設立、4年後に上場、社長、会長を10年勤めた後、グローバル大学で有名な立命館アジア太平洋大学の学長としてご活躍中だ。古希を過ぎてもなお大きな理想の実現に向けて頑張っておられる。本の出版も多いが、これまで訪れた世界の都市が1200以上、読まれた本が1万冊超と、ともかく年老いても「飯・風呂・寝る」の生活ではなく「人・本・旅」の行動的な生活を送られている。以下に散文的に出口氏の主張を列記する。精神論を廃し、数字・ファクト・ロジックで語る出口氏の主張は、老人に対する発破ともいえるが、将来を担う若い人、あるいは政財界に対する日本の将来を見据えた提案でもある。非常に論理的な主張に頷けるものが多い。

高度経済成長時の若者の人口が圧倒的に多い社会での「ヤング・サポーティング・オールド(若者が老人を支える)」ではこれからの社会は成立しない。「オール・サポーティング・オール(若者と老人が社会を支える)」への発想の転換が必要。所得税と住民票で回っていた社会から、消費税とマイナンバーへのパラダイムシフトを起こす事。
→生物学的な事実を踏まえると、高齢者の生きている意味は「次の世代のために働く」こと。例を挙げると、子育てを支援し、若者が子供を作りたくなる環境を整備すること
→「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」との意味を持つ「敬老の日」はやめてしまえ。存続するなら「高齢者が次の世代を健全に育成するために、何ができるかを考える」にすべき。
→介護に至る前の段階では、一番の親孝行は親に楽をさせないこと。家事や育児でもいいし、何らかの職業的なものでもいい。
年齢に関係なく「働ける人は働く」のが長寿の秘訣であり、人口減社会での生き方。
→高度成長時代の労働慣行でもある、終身雇用・年功序列・定年制度・一括採用から脱皮しないと日本の成長はあり得ない。(米国やイギリスなど諸外国では多くが定年はなし)
→転勤制度に見るごとく会社に忠実な社員つくりを優先してきた弊害を見つめなおす。グローバル企業では転勤があるのは希望者と経営者だけ。働く女性が増えてきたのに、パートナーの事情を無視し、地域とのつながりも考慮せず、会社の都合だけの転勤制度はやめ、社員の専門性を磨くための制度に徹する。
日本経済の低迷は、新たな産業社会のけん引役になれるユニコーンがなかなか生まれないところに根本的な原因がある。ユニコーンを生むキーワードは、女性、ダイバーシティ・高学歴と言う(GAFAを見てみろ!)。3点とも日本は劣位にある。産業が製造業からサービス業に急速に移行している中でユーザーの大半を占める女性が前面に出るべし(女性の社会的地位は153か国中121位)。男女差別にメスを入れなければ人口は減り衰退あるのみ。
長時間労働で、「飯・風呂・寝る」の生活では、勉強する暇もなし。日本の働きかたや社会の仕組みが日本を低学歴化している。
良いリーダーと良い政府は市民が作る。
→リーダーの良し悪しは歴史を遡れば良くわかると言う。明治維新が成功したのは、江戸時代の最後に開国を決意し、その準備を勝海舟などの精鋭を集め陸海軍の前身組織や東大の源流などを作った老中首座阿倍正弘の貢献が大きい。その流れを引き継ぎ明治維新を成功に導いたのが大久保利通。尊王攘夷が叫ばれる中で岩倉使節団を結成、大臣など政府首脳を集め2年間近い間欧米列強を訪問させた。明治維新の成功は、これを契機に開国・富国・強兵に方針転換したことによる。その後日本は開国を捨て、世界から孤立して第二次世界大戦で敗北し、国土は焼け野原となった。東条英樹の「戦争はGDPだけではない。精神力だ」と日本の3倍のGDPを誇る米国に戦争を仕掛けた結果だ。出口氏は「教養=知識x考える力」で、指導者や市民が如何に教養を持ち、歴史を見ることが出来るかであり、日本の将来もリーダー次第と言うことを歴史が語る。
「飯・風呂・寝る」の生活から「人・本・旅」への生活スタイルの変化が必須。楽しい人生を送るには、行動しなければならない。「迷ったらやる。迷ったら買う。迷ったら行く」をモットーの出口氏。誰と会い、本を読み、どこに行くかは皆さん次第。人の感性はさまざまなので、自分が面白いと思う「人・本・旅」に出会い、好きなことにチャレンジしていけばいい。還暦だろうと古稀だろうが年齢など関係ない。「人・本・旅」で得た知識、教養をもって腹落ちした行動が、人の幸せを作る。

人生は楽しくてなんぼだ」と言う。「還暦を迎えたら、古稀を迎えたら仕事はせず、のんびりしよう」は寝たきり老人への道だとも言う。年老いても人生楽しむには「人・本・旅」で学びを一生続けること。これが自分を救い、日本を救う道だと。考えさせられる本だ。

底抜けに面白い小話(日経コラム:唐池氏)

5月18日の日経夕刊の記事に家内ともども大笑いしてしまいました。夕刊1面の著名人によるコラム(明日への話題)はいつも楽しみに読ませていただいていますが、今回の「18歳と81歳」の話は、73歳となる私にとっても、身につまされる話であり、他人ごとではない話で、面白おかしく高齢者に対して自分を良く知るべしとの教訓とも受け取れる一文だった。コロナ禍での巣ごもり状態の生活で、新聞の記事でこんなに大笑いしたのは珍しいことで、皆さん方にもひと時の笑いを添える記事として全文を紹介します。著者の唐池恒二氏は、現JR九州会長で、社長時代に豪華列車“ななつ星”を走らせた方だ。

4月20日の小欄に仙厓和尚の言葉を紹介した。「70歳で迎えがきたら留守だといえ。80歳で迎えが来たら早すぎるといえ」。堺市に住む知人から「老人会の会合で合唱する歌詞と似ている」と、横浜のS氏から「近くの古民家の土間の壁掛けに墨書された言葉と同じ」と、それぞれ手紙を頂戴した。仙厓和尚の影響力の大きさに驚き、老いにどう向き合うかが多くの人の関心事だと気づいた。私も70歳までもう少し。老いについて考えてみようとしたとき、70代の知人から底抜けに面白い小話を聞いた。
道路を暴走するのが18歳、逆走するのが81歳。
心がもろいのが18歳、骨がもろいのが81歳。
恋に溺れるのが18歳、風呂で溺れるのが81歳。
ドキドキが止まらないのが18歳、動悸(どうき)が止まらないのが81歳。
恋で胸を詰まらせるのが18歳、餅で喉を詰まらせるのが81歳。
自分探しをしているのが18歳、みんなが自分を探しているのが81歳。
東京オリンピックに出たいと思うのが18歳、東京オリンピックまで生きたいと思うのが81歳。
社会に旅立つのが18歳、あの世に旅立つのが81歳。
早く「20歳」になりたいと思うのが18歳、できれば「20歳」に戻りたいと思うのが81歳。
「嵐」というと松本潤を思い出すのが18歳、鞍馬天狗の嵐寛寿郎を思い出すのが81歳。
調べると、出典はお笑い長寿番組「笑点」の大喜利ネタらしい。で、オリジナル版に挑戦してみた。
笑点と聞いて桂歌丸を浮かべるのが18歳、新珠三千代を思い出すのが81歳。(それは、昔のドラマ「氷点」でしょ)

私もオリジナル版を。
自分をバカス(化かす)努力を惜しまないのが18歳、自分がボケるのを怖がるのが81歳。
先(未来)に胸膨らませるのが18歳、詐欺で心壊されるのが81歳。
お粗末でした。

冒頭の仙厓和尚の言葉の全文はインターネットで調べると以下の通り。
「60歳は人生の花。70歳で迎えがきたら留守だといえ。80歳で迎えがきたら、早すぎるといえ。90歳で迎えがきたら、急ぐなといえ。100歳で迎えがきたら、ぼつぼつ考えようといえ」
仙厓和尚は江戸時代の臨済宗の禅僧で、禅味あふれる絵画でも有名な方らしいが、まさに人生100年時代の到来を予見していたよう!

我が家のベランダ花盛り(5月)

コロナ禍で巣ごもりが続きます。人と会う場はすべてキャンセルとなり、3か月鉄道・バスにも一切乗らず、散歩以外は家に閉じこもる生活が続いています。やっと今日、全国緊急事態宣言がほとんどのところで解除されるとの事ですが、外出制限は続きそうです。緊急事態宣言が継続される東京も昨日感染者10人と宣言中の最低を記録しました。しかし、まだまだ安心はできない状態が続きます。秋以降、第二波、第三波が確実に来ると言われています。テレワーク中の方も多いと思いますが、今の生活スタイルが長く続くことも覚悟しつつ、楽しめるように変えていく努力が求められますね。

毎年今の時期ブログにもアップしていますが、我が家のベランダは花いっぱいになります。その主役は“ペラルゴニウム”です。今年も、挿し木したものも増えて、濃いピンク色、淡いピンク色、紫色と数種類の花が満開近くとなり、巣ごもりの憂鬱さを吹き飛ばし、ひと時目と心を楽しませてくれています。これから2~3か月は楽しめます。

“ブーゲンビリア”も、4月頃からいち早く花を開きました。“ニオイバンマツリ”が満開となり、独特の香りをまき散らしています。”ベゴニア”も色を添えてくれています。

”薔薇”がひときわ目立った存在感を表しています。

2月末からほぼ毎日、近くの公園や、親水公園など5㎞四方を早足で散歩しながら、時々の花を観賞できるのも外出制限のお陰です。桜はもちろん、ボタンやチューリップ、つつじ、今は“シラン“の赤や白の花が見事です。

冲中一郎