朗報!?”治る力”でガン克服!

「致知11月号」の”命をすこやかに運ぶ“との記事が目に留まった。日本笑い学会副会長の昇幹夫氏(産科医)と自然療法研究家市川加代子氏の対談記事だ。リード文は下記。

人間には誰にも”治る力“が備えられているという。昇幹夫氏と市川加代子氏は長年、それぞれの立場で私たちの中に眠っている”治る力”を引き出すことにより多くの病が癒されていくことを実証してきた。人間の命と向き合ってきたお二人が語る心身を健やかにする人間の生き方とは。

お二人の出会いは、元NHKディレクターの川竹文夫氏主催の2003年「第1回千百人集会」だそうだ。実際2000人近く集まったとのことですが、二日目の”治ったコール“には末期がんから生還した124人が次々登場し「私は乳がんを治しました。治る、治る、治った。おめでとう」などと圧巻の声、高らかな叫びが響いたそうだ。川竹さんは受信料の集金人からディレクターになられたたたき上げの方で、40代で働きすぎや食生活の乱れから末期の肝臓がんになり、どの病院でも死を宣告された状態だったと言う。その後、それまでのつてを辿って西洋、東洋医学の医師や民間療法の治療者などの話を聞くようになり、その時末期がんから生還した人の多さに驚かれた。そこで、その人たちがどうやって治ったかを世界中を回って取材し、その結果を受けて、1995年「人間はなぜ治るのか」と言う番組を放映された。その当時は「ガンは治らない」と言うのが世間の常識で、この番組の内容が衝撃的で、医学会からも大変なバッシングを受けたという。川竹氏はいたたまれなくなって、NHKを退局し2003年「ガン患者研究所」を立ち上げられた。さらに2006年「日本ウェラー・ザン・ウェル学会」を立ち上げられ、医師や治療家との連携を強化しながらガン克服の啓発活動をされている。今回の対談の昇氏は当該学会の副理事長、市川氏は理事をやっておられる。

昇氏も11年前から前立腺ガンと向きあっておられるが、医療に対する不信もあり、正しい食生活をし、しっかり睡眠をとり、ストレスを減らしていけば絶対にガンと平和共存できるはずだと。実際今なお未治療で無自覚だそうだ。昇氏は創立30周年になる「日本笑い学会」の副会長をされ、主として笑いと医療の関りをテーマに全国行脚しながら講演されている。以前、岡山の伊丹仁朗先生と一緒に実験を行った。「なんばグランド花月」でガン患者19人に吉本新喜劇を見て大笑いしてもらったところ、がん細胞をやっつけるリンパ球(ナチュラル・キラー細胞)に明らかに改善がみられたそうだ。15人(うち3人は末期がん)のガン患者とモンブラン山麓トレッキング、230人のガン患者を集めての日米合同ガン克服富士登山も実施。あらためて人間は気持ちの持ち方ひとつでこんなに、変わるのかと驚嘆されたそうだ。

市川さんは、働き詰めの生活から、肝炎、膵炎など6つの病気にかかり、勤めていた病院に入院したが薬がことごとく合わず、医者にも「市川さんに合う薬はない」と宣告されたという。そこで、病院の図書室で漢方や民間医療の本を読み漁り、西洋医学以外でも自然療法のような治る道があると知ったことで目が開いた。息子の喘息も病院での治療がうまくいかず、勉強した食事療法ですっかり完治。本人も、自然治療を独自に実施したところ2か月足らずで、医師が言っていた人工透析の必要もなくなっていたという。このような経験から、50年間続けてきた自然療法にたずさわる中で確信したのは、人間の体は「治る力」を秘めていることと市川さんは言う。その後も中国伝統医学の学校に通うなどして自然療法の探求を続け、ガンやアトピー、膠原病で苦しんでいる人たちとの出逢いが増える中で様々な療法を模索し、30年前に市川式恢復療法を確立された。玄米を食べて水を噛む、特に噛むことなどの食事療法を中心に、「こうあるべき」という固定観念から解放し、本当の自分に目覚めることで「治す力」がぐんぐん引き出される方法を指導する。

昇さんにしても、市川さんにしても、実際に多くの患者の人生を変えた実績を持っておられることが、その信ぴょう性を物語っている。詳しくはインターネットや本などで調べていただければと思います。

特にガン患者には、ともかく生きるためにはどんなことでもするとの思い(私の友人にも切実に訴える姿があった)がある。医者の治療を無視するわけではなく、笑い療法や、自然療法、そして新しい生き方に出会うきっかけが、”治る力“を呼び起こし、残る人生をより長く悔いなく終えられるということであれば、大きな意味があると思われる。

終活を考える

喜寿を迎えて8か月。男性の平均寿命81歳に近づき、巷に飛び交う“終活”の言葉が気になり始めた。友人含めて身近な人たちの訃報に接することも多くなったせいもあり、より身近に死を考えるようになったこともありそうだ。

”終活“という言葉が初めて出たのは2009年8月週刊朝日での連載「現代終活事情」だそうだが、当時は葬儀や墓、遺産相続が中心だった終活が、現在は余生の生活設計、認知症になった場合の介護方法、余命宣告や延命治療を望むかどうかなど老後の生活全般を考える概念になっている。

私も数年前、エンディングノートを購入し、一部記入をしたが記入したのはまさに治療方法の希望、死んだ場合の葬儀方法、連絡して欲しい人、財産状況など、死亡前後の家族が困らないための情報をまとめたものとなっている。

最近「迷惑な終活」(内館牧子著、講談社、2024.9.9刊)を読んだ。70代の夫婦の終活に対する考え方の違いをストーリーにしたものだ。妻(礼子)は、いわゆる終活に熱心で、夫(栄太)にも進めるが、夫は「生きているうちに死の準備はしない」と妻の勧めに同調できない。彼の主張は「これまでの人生でやり残したことにケリをつけるのが終活だ」と、あくまで自分の人生を全うすることに注力する。そこで、「高校の時思いを馳せた女性が忘れられず、かつその女性の恥ずかしい姿を覗いた失礼をお詫びしたい」と思い立ち、行動に出る。が、彼女は自分を覚えていない。しかし、栄太の考え方や行動に刺激を受けた高校の友人たちも、礼子も残りの人生を、死を考えるのではなく、自分の人生を精一杯生きることに目覚めるとのストーリーだ。

内館氏もあとがきで、70代は「老人のアマチュア」と言い、ひとくくりに”高齢者“、”老人“とされるのではなく、主人公圭太のようなワクワクとする生き方もあるのではと言う。

「妻の終活」(坂井希久子著、祥伝社文庫、2022.8刊)にも思い知らされる面があった。42年連れ添った妻(杏子)が突然ガンで余命1年の宣告を受けた。会社に人生をささげてきた夫(廉太郎)は食事や洗濯など自分の身の回りのことは何もできないのに子供じみた意地を張るばかりで、娘たちにも馬鹿にされる。杏子は余命1年の宣告以来、廉太郎が一人で生活できるよう、近所付き合いも含めて、一人で生活するためのすべてのことを教える日々を送った。余命少ない中、なかなか覚えようとしない廉太郎に苦労しながら日々を過ごす。これが“妻の終活”?というより、死に直面した杏子が廉太郎の余生を送るための”終活“を促したともいえる。

様々な”終活“があるのが分かったが、「残りの人生を後悔なくしっかり幸せな気分で生きていく、そして残される人に迷惑をかけないこと」がその基本のように思われる。が、「それがそう簡単なことではない」というのが実感だ。夫を亡くした妻、妻を亡くした夫、どちらが余生を不自由なく生きていけるか?夫婦仲がいい場合、あまりよくない場合で答えは違うと思うが、世間では妻に先立たれた夫の方がその後の人生が辛いと言うのが一般的なようだ。私も廉太郎と同じく団塊世代だが、若い世代は我々とは違うのかもしれないが・・・。若い人たちも、充実した幸せな老後を送るために、今をどう生きるか考えておいた方がよさそうだ。

後期高齢者になり、知人の訃報が増えていく状況の中で、色々考えさせられる。

日本経済はどうなる?日本流の発展とは~その2~

シェーデ教授は「日本は確かに米国に比べ極端なほどに遅い変化でした。しかし遅いことは停滞を意味しない。日本企業は時間をかけながら着実に変化を重ね、ここに再興した」と言う。この軌跡を「舞の海作戦」と称している。小柄ながら機敏な動きで多彩な技を繰り出し、巨漢の小錦や曙の向こうを張った人気力士を言うが、かっての日本は企業の多角化による規模拡大を目指したが、そこから、他がマネできない中核的な技術を磨いて勝負する戦略に改めたという。具体的には、アジアのライバルの台頭で優位性を失った消費者向け製品や普及品から、サプライチェーン上流へと軸足を移してきた。高度で複雑な技術が要る部品や素材、半導体製造装置や工作機械などの”生産財“の多くで日本製品は圧倒的なシェアを占める。このような面が消費者には見えず、なかなか評価されずにいるが、常にスポットライトを浴びないと気が済まない米国人と違って、静かに物事を支配していくやり方は日本人の性格にも合っており、今後に期待できると言う。さらに「この遅さこそ、倒産や失業による社会の大混乱を避けながら、日本企業が復活することを可能にした知恵だった」とも言う。

米国ではコロナのパンデミックで、その初期の2020年春、1か月で2000万人分もの雇用が失われ、治安が日々悪化していく緊張感に襲われたそうだ。そのころ日本で増えた失業者は6万人だった。しかし米国の回復は早く、約2年で雇用者数はコロナ前の水準を取り戻し成長産業へと労働力が移っている。米国は”食うか食われるか”の厳しい世界で、日本人には合わないのでは言う。「AIや消費者向けサービスでは、日本は米中に比べ遅れを取っているが、例えば工場の自動化やロボット工学という分野では日本は世界最先端におり、米国はそこまで強くない。すべてを持っている国などない」とも。

とかく足らざる点を指摘するのに熱心になりがちなメディアだが、弱みは別の強みと分かちがたく結びついた代償なのではないかと冷静に見つめてみたいと当記事の江渕崇記者は締めている。

時同じく、致知9月号で、東洋思想研究家田口佳史氏とJFEホールディングス名誉顧問の籔土文夫氏の「2050年の日本を考える」との対談記事が掲載されている。結論的には、志教育の必要性を説かれている。日本は、知的資源立国で、優れた思想、哲学がこれだけ蓄積している国は世界広しと言えども他にはない。戦前までは、幼年教育でも仁義礼智の四徳教育が行われていたが、戦後GHQの介入でできなくなってしまった。大谷が外国選手を超える大記録を打ち立てているのは、小さいころからの家族の志教育、花巻東高校の佐々木監督の専門能力面、精神面での指導が大きく寄与しているという。明治維新での若者の改革精神とその志も目を見張るものがある。しかし、今や外国留学も中国や韓国に比べて大きく差をつけられている。

総裁選でも、解雇規制の緩和なども議論されているが、いかに日本の良き文化を守りながら、“世界をリードできる日本”にするか、これからの日本を背負う若者の志教育、少子化問題と合わせて具体的な議論が求められる。政治による日本独自の方向性にも期待したい。

冲中一郎