「月下美人」咲き、マツムシが鳴き、スズメが遊ぶ

我が家のベランダで、昨夜3年ぶりに月下美人が咲いた。月下美人は満月か、新月の時に咲くと言われるが3年前は満月に咲き(http://okinaka.jasipa.jp/archives/92)、今回は新月に合わせて咲いた(正確には24日が新月だがその2日前の昨夜に咲いた)。3年前は飲み会から帰ったら既に咲いていたのだが、今回は咲きはじめから咲くまで観察ができた。夜の8時過ぎに開きはじめ、10時前に完全に花開く速さだった。しかし、育て方が分からず、5個ほどつぼみをつけていたが、4個はつぼみのままポトリと咲く前に落ちてしまい、結局1個しか咲かなかった。もう少し育て方を勉強し、毎年一杯咲くようにしたい。それにしても美しい。しかし、夜が明けて見ると既に花はしぼみ哀れな姿となっていた。花言葉「はかない美(愛)」そのものだ。

最初の写真が20時15分、次が20時50分、そして21時50分。最後は翌朝7時。

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我が家のベランダでは、夜になるとマツムシ(?)が秋の声を聞かせてくれる。そして昼には、スズメの親子が遊びに来る。ついつい可愛くなって、エサをやってしまう。親子なのか一度に5匹くらいが集い、エサをついばむ姿をそっと眺めるのを楽しみにしている。

リーダーシップは「影響力」!(はとバス元社長)

倒産の危機にあった「はとバス」を短期間で急回復させた宮端清次氏(平成10年社長就任)。宮端氏は、大学卒業後東京都庁に入庁し、交通局に配属されたが、配属はバスの営業所。同期入局した十数名の3分の一が辞めてしまう交代勤務の地味な仕事を4年間こなすなど、現場の様々な仕事や人に接し、もまれた経験がかけがいのない経験になったと言われる。この時の経験が、はとバスの社長になった時「社長も社員も一緒くたになって、地べたを共にはい回ることが大切」との信念になり、社長室の撤廃や、社長車の共有化、朝一番のバスに乗り込んでお客さまに挨拶をするなどの行動につながった。このような行動により社員が一体となって業績回復に邁進したことが今のはとバスを作りあげたのだろう「致知2011.2」の「20代をどう生きるか」の記事より)。

その宮端社長が、30数年前(都庁勤務時管理職になった頃)、ソニー創業者井深大氏の講演を聞いた時の話が「致知2008.2」「リーダーはろうそくになれ」の記事に掲載されている。宮端氏がリーダーシップのあり方について強い印象を受けた話だ。

1時間ほどの講演だったが宮端氏はよくわからなかったと言う。その時、ある女性が質問した。「失礼ですが、いまのお話はよく分かりませんでした。私のような主婦にでも分かるように話をしてくれませんか」。司会者は慌てたが、さすが井深氏、ニコッと笑ってされた話が宮端氏のリーダーシップのあり方として胸に刻み込まれた。

ソニーの社長時代、最新鋭の設備を備えた厚木工場ができ、世界中から大勢の見学者が来られました。しかし一番の問題だったのが便所の落書きです。会社の恥だからと工場長にやめさせるよう指示を出し、工場長も徹底して通知を出した。それでも一向になくならない。そのうちに『落書きをするな』という落書きまで出て、私もしょうがないかなと諦めていた。するとしばらくして工場長から電話があり『落書きがなくなりました』と言うんです。『どうしたんだ?』と尋ねると、『実はパートで来てもらっている便所掃除のおばさんが、蒲鉾(かまぼこ)の板2、3枚に、「落書きをしないでください。ここは私の神聖な職場です」と書いて便所に張ったんです。それでピタッとなくなりました』と言いました。

井深さんは続けて「この落書きの件について、私も工場長もリーダーシップをとれなかった。パートのおばさんに負けました。その時に、リーダーシップとは上から下への指導力、統率力だと考えていましたが、誤りだと分かったんです。以来私はリーダーシップを『影響力』と言うようにしました」と言われたんです。さらに続けて

「リーダーシップとは上から下への指導力、統率力が基本にある、それは否定しません。けれども自分を中心として、上司、部下、同僚、関係団体……その矢印の向きは常に上下左右なんです。だから上司を動かせない人に部下を動かすことはできません。上司を動かせる人であって、初めて部下を動かすことができ、同僚や関係団体を動かせる人であって、初めて物事を動かすことができるんです。よきリーダーとはよきコミュニケーターであり、人を動かす影響力を持った人を言うのではないでしょうか。」と。

私はすごく共感できました。皆さん、如何でしょうか?

教育の基本は「人づくり」(教育は感化なり!)

天草市の勇志国際高等学校を以前紹介(http://okinaka.jasipa.jp/archives/279)したが、熊本県内六校の校長を歴任し、次々と教育現場の改革を図り、生徒数の激減で廃校の危機にあった天草東高校の再建も行った現九州ルーテル学院大学客員教授大畑誠也氏が「致知2011.1」で「教育は感化なり」のインタビュー記事に登場されている。その考え方に大きな共感を覚えたので紹介する。

大畑氏の教育に対する思いは「21世紀の一番の課題は人間関係、そしてあらゆる人間関係の中で最も大切なのは親子関係」ということであり、「21世紀は人間関係を制する人がリーダーになっていく」と。この思いの原点は、東京での経験だ。校長に赴任して間もなく、東京へ校長会に行った時、ある駅に貼ってあった「学校の成績と、社会の成績はイコールではない」とのある企業の広告にものすごいショックを覚えた。教育者に突き付けられた問題、すなわち学校で成績優秀だった生徒が社会では通用しないと言う事。学校の成績もいい、当然社会に出ても優秀、そういう人間を作らなければ、教育者として給料をもらう資格はない。成績は手段であって目的ではなく、教育の一番の目的は「人間づくり」だと。

いずれ分校、廃校になる噂があるため、生徒に意欲も元気もなく、遅刻は多く、服装は乱れている、そんな天草東高校に校長として初めて赴任。一刻の猶予もない状態で、4つの目標(大きな声で挨拶、返事、校歌を歌う、1日1回図書館へ)を掲げ「答えは現場(生徒)にあり」との精神で生徒との接触を試みた。赴任後初めての始業式の挨拶で、4つの目標を読み上げ、「ええかっ!?」と言っても返事がない。そこで壇上から飛び降り一人一人に返事をもらいに行った。そして壇上に上がりもう一度返事を促すと大きな声で「はい!」と返ってきた。教育の基本は率先垂範、校長自らが大きな声で挨拶する。やがて登下校中、地域の人に挨拶する生徒も出てきた。「どうしようもない高校だったのが最近変わってきた」との評判も出始め、地域の人に褒められたことを全校集会で報告し「君たちはすばらしい」と褒める。すると子供たちは「挨拶って大事なんだ」と理解は深まる。「挨拶」はお互いに認め合う事でもあり、学校やクラスのチームとしての雰囲気もよくなり、お互いに切磋琢磨するし成績も上がる好循環を生む。

大畑氏は教育の究極の目標は「親に感謝、親を大事にする」ことだと言う。親と挨拶できない人間が、社会に出て行って誰と人間関係を作れるか?大畑氏が天草東高校時代から続けていることがある。卒業式の日、式の後3年生と保護者を教室に集め最後の授業をする。そこで、子どもたちがいまあるのはご両親のお蔭だと言うことを言って聞かせ、「心の底から親に迷惑や苦労を掛けたと思う者は隣のご両親の手を握って見ろ」というと、一人二人と繋いでいって、最後は全員が繋ぐ。そこで「18年間振り返って親にほんとにすまなかった、心から感謝すると思うものは、今一度強く手を握れ」と言うとあちこちから嗚咽が聞こえる。これが、親に感謝、親を大切にする最後の授業だ。

最後に大畑氏は、夏目漱石の言葉「教育は感化なり」の言葉を使いながら、子どもの魂に響く教育、魂に届く教育、魂を揺さぶる教育が出来れば、その教育者本人も自ずと自分の生き方、あり方を考えるようになると言う。教育者にせよ、会社の社長や上司にせよ、この感化力のある人がどれだけいるかが、次代の国、会社の盛衰を握っているのだと思うと締めている。

FBの致知出版社のページが古い記事を思い出させてくれる。以前読んだときと、今読むのとではまた共感度、感動力が違うように感ずる。時々過去の記事も読み返したい。

冲中一郎