会社名から入る自己紹介は海外ではダメ!?

外務省入省後、海外経験も長く、首相通訳や国連総会も経験され、今は企業のグローバル化の支援を行われている山中俊之氏の「日本人の9割は正しい自己紹介を知らない~世界標準の仕事プロトコールの教科書~」(祥伝社、2014.6)の著作本の中の一文、

会社名から入る自己紹介は、日本国内では一般的だが、海外ではダメだ。世界標準の「プロトコール」では、まず自分の使命、専門などを語った後、会社名を言う

例で示すと「私は鈴木健二です。健二と呼んでください。中東やアフリカでの資源開発を担当する資源・エネルギーのプロです。あっ会社名ですか。○○会社です。」ってな具合に。

確かに日本人が控えめなのに対し、海外の方は自分をドンドンアピールしてくる。世界に認められるためにも、我々も自分を見つめ直し、自分の強みをしっかり整理する必要がありそうだ。

さらに世界標準のプロトコールの原則を述べている。

  1. 相手の国・民族を心から尊敬する
  2. 対等関係に基づく相互主義で対応する
  3. 常に相手の立場に立ち相手に恥をかかせない
  4. 身構えず「アフター・ユー」の精神で心に余裕を持つ
  5. 柔軟に臨機応変に対応する
  6. 相手の国や民族についてネガティブな事は話題にしない
  7. 日本人同志で固まりすぎない
  8. 夫婦単位を重視する

すこし補足すると3.は相手のミスをカバーするくらいの余裕を持つこと、4.は余裕を持った態度で謙譲の精神を発揮すること。

自分の専門性を活かした「世の中のため、人のため」との熱意の誇示と、相手に対する共感も大事という。日本人の有利な特性(相手の気持ちを汲む、時間に対する正確性、伝統文化を大事にするなど)を存分にアピールすることもお忘れなく。

事前に相手国の事もよく勉強しておくこと、そして日頃から自国の伝統、歴史、特性などにも興味を持って勉強しておくことも世界標準のプロトコールの原則から言えば必須の事と言える。

出世する人は、おおむね仕事ができない人?!?!

日経の夕刊に「プロムナード」というコラム記事が筆者を変えながら続いている。その中で目に留まったのが「出世の極意」のテーマで書かれた高橋秀実氏のコラムだ(8月8日)。目が止まったのは、テーマではなく、下記の文章。

誤解を恐れずに言わせていただくと、出世する人は、おおむね仕事が「できない」人である。もちろん無能と言うわけではない。「できない」と素直に表明できる人。恥をさらさせる人で、全身から何やら「できない」と言うオーラが漂っているのだ。考えて見れば、自分が「できない」からこそ人にお願いするわけで、彼らは自ずと腰が低く、感謝を忘れないのである。

すなわち、身を挺して「できない」をさらすことで周囲の「できる」を引き出すのである。逆に「できる」人はできるから命令をするばかりで、周囲の「できない」を浮き立たせてしまう。

昔の大量生産時代は「作れば売れる」時代でトップダウン経営が最も効率的と言われていた。しかし、最近は経営環境の変化や、とりわけ技術の変化の激しさゆえ、迅速な変化への対応が求められることから、ボトムアップ経による迅速な対応が求められている。要は社員一人一人が経営者意識を持つ「全員経営」が経営の要諦と。松下電器は松下幸之助氏の「全員経営」の発想で大きくなったと言われている(http://okinaka.jasipa.jp/archives/245)。ワンマン経営は、トップの技量以上の成長は望めないとも言われる。

高橋秀実氏のコラムは、言い方が直接的で、シニカルなところがあるが、よく考えて見れば「言い得て妙」的なところもある。高橋氏はノンフィクション作家らしいが、かの東大進学率の高さで有名な開成高校野球部を題材にした「弱くても勝てます」と言う本を出されている。開成高校は、ベスト16まで行ったことも有るそうだが、必勝セオリーの前提は「10点取られる」。だから15点を「ドサクサ」で一気に奪うこと。試合中、猛烈な守備練習が反映されるような打球は各選手にひとつあるかないか。「そのために少ない練習時間(週3時間しかない)を割くわけにはいかない」。難しいゴロは「例外」と気にせず、理屈で導いた基本動作の届く範囲だけ処理する。甲子園は毛頭ダメだが、東京大会で注目を浴びることは出来る。いろんな視点を学ぶには、面白い人だ。

NHK「家庭内別居スペシャル」で思い当たることが一杯!

甲子園の高校野球中は放送休止の人気番組「あさイチ」だが、8月11日夜10時より1時間スペシャル「家庭内別居SP」をやっていた。NHKの番組紹介欄(http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2014/08/11_yoru/01.html)には『今年5月26日の「あさイチ」で放送し大反響を呼んだ「家庭内別居」。「夫に見せたい」という多くの女性たちの声を受け、夜の時間帯に放送しました』とある。

私も最初から見ていたわけではなく、家内が「あなたにも当てはまることが多いから見なさい」と言われてしぶしぶテレビの前に座った。詳しくはインターネットなどで調べてほしいが、家内に言われた通り思い当たることが一杯だった。現役時代もそうだったが、

  • 家内の話はほどほどに聞いておけばいい。
  • 聞いていようがいまいが、相槌をうっておけばいい。
  • 話の途中で、そして結論は?

のようなことを退職後の今でもやっている。こんなことは、すぐばれていて、不満が溜まっている。女房の言い分は、「ひとしきりしゃべりたいのに、その心情を理解してくれない」。「俺も会社でこき使われて疲れている」と言っても、「私も家で忙しくしている」と聞く耳を持たない。夫から言われて一番「心が離れる」言葉は飛びぬけて「俺が食わせてやっている」(51%)。大越キャスター(NC9)なども「その言葉はいってはならない」と驚いていたが、私なんぞ言ったら「誰が料理作って食べさせてやっている」と怒られて終わりだ。

離婚せず、「家庭内別居」に留まっているのは、女性は「生活費」が一番で、「子ども」が2番目の理由、男性は「子ども」がトップ。しかし、考えて見ると、折角の人生、それで幸せだろうか?現役時代もそうだが、特に退職後は、家庭の居心地が人生最大の幸せの源泉となるのではなかろうか?

ちょっとした配慮で心が通い合う、そんな知恵も上記番組で紹介されていた。

「○○してよ」と一方的に要求するのではなく、「○○してくれないと困っちゃうの」とか、「○○してくれないと私寂しいの」とか言うだけで随分違ってくる。

8月12日の日経朝刊に、「夫の家事参加を伸ばすには妻の褒め言葉大切」(旭化成ホームズ共働き家族研究所調査結果)の囲み記事があった。それによると、共働き世代の中心である30代で妻に「ダメ出し」をされた事のある夫は79%。洗濯ものを畳んでも、皿洗いをしても「下手くそ」と言われ悲しい気分になったとの声が多かったそうだ。一方、朝早く洗濯物を干した時「寒い中ありがとう」と言われたり「子どもが喜ぶ」と言うと、がぜん家事をやる気になってくれると言う妻も多い。調査担当者は「夫が嬉しくなる妻の一言は実は妻も夫や子供から言われたい言葉。お互いへの思いやりと感謝の言葉が大切」と締めくくる。

私も退職してから家の仕事の大変さがよくわかった。夫婦で分担しなければこなせないだけのものはある。共働きであればなおさらだ。「ダメ出し」で自分の人生を暗くするより「ありがとう」の一言でお互いの信頼関係が構築できれば、こんな幸せな人生はない。これからの余生、心して生きたい(我が家は安泰です)。

冲中一郎