昨夜のNHKスペシャル「MEGAQUAKEⅡ~大変動期 最悪のシナリオに備えよ~」は、真に迫る恐怖を覚えた。2010.1~3(東日本大震災の1年前)に放送した「MEGAQUAKE」の第二弾だ。4月に始まり昨夜が3回目だ。テーマは「首都直下地震」と「富士山噴火」。
東日本大震災以降、関東地方でも震災前の130倍にのぼる地震が発生している。また秋田の駒ケ岳では山頂付近の斜面の温度が上昇、福島の吾妻山では山の中腹に噴気孔が新たに出来たり、異常現象が多発しているそうだ。東日本大震災は、陸側プレートと太平洋プレートのひずみが反発して起こったが、関東沖ではフィリピンプレートも加わって、大きなエネルギーが溜まり、その影響で茨城県南部、千葉県東部、東京北部に地震が多発しているとか。立川断層も地震が起こればM7.3以上と巨大化する可能性が大きいそうだ。
大地震の後に火山が噴火する事例が多く、ほとんど例外なく起こっているとの事実も紹介された。2004年インドネシアスマトラ地震(M9.3)の翌年以降次々と、タラン火山など6火山で噴火。日本でも1707年の宝永地震(M8.4)の49日後富士山が噴火。地下10数キロに溜まっているマグマが、地震発生によりマグマを留めていた大地の圧力が変化し、マグマが上部に動き始め、1年近くたって噴火に至る構造が明らかになりつつあると言う。3.11の4日後に起こった富士山直下の地震に科学者たちは戦々恐々としていたそうだ。富士山の噴火が1カ月続けば、900℃の溶岩が新幹線、東名高速道路まで達し、完全に東西日本が分断されてしまうことになる。そして富士山上20キロを超える上空に噴出した噴煙が東京都心までおよび、10cm以上の火山灰に覆われ、家の倒壊(数トンの重みになる)、大停電、交通ストップなど大きな被害にあうとされている。6月8日に静岡、神奈川、山梨の3県が「富士山火山防災対策協議会」を発足させ、防災避難訓練などを共同で実施することにしたそうだ。
首都直下地震(M7.3)では、倒壊・火災が数十万棟、死者が1万人を超えると言われている。東日本大震災のあと、地震学者による科学的研究が進み、2日前の3月9日の地震がその前兆であることも実証されているが、正確な事前予知はまだまだと考えると、企業はもとより、個人でもその備えをもっと真剣に考えるべきと思う。2010年の放送時には、長周期地震や津波をテーマにし、「22万人以上の犠牲者を出したインド洋大津波から5年、世界の研究者たちが次に大津波が襲来すると警鐘を鳴らしているのが日本だ」との紹介もあったそうだが、どれほど真剣にこの予測を捉えただろうか?福島原発もそうだが、人は希望的楽観論に陥りやすく、これがリスク管理の罠となる。首都直下地震、富士山噴火を現実のものとして対策を急ぐべしと考える。