貢献力の経営(NTTデータ山下社長)

NTTデータの山下社長がこの7月に標記題の本をダイアモンド社から出版された。山下さんご自身、ライバルのNRIとの協創で日本のIT業界を改革するとの行動で世間をあっと言わせたり、本の中にも出てくる富士ゼロックスが主管し、慶応義塾大学と連携してANAなど複数の企業が参加する「バーチャルハリウッド協議会」の副会長をやられたり、1企業の枠を飛び越えた活動を積極的にやられています。今回の本の主題は、正念場を迎えている日本の企業運営に最も必要なものは「貢献力」だとの提言です。

今日本で起きている大きな変化、一つはコミュニティにおける変化。地域社会や企業における個人主義の進展によるコミュニティの衰退と、ツイッターやフェースブックなど新たなソーシャルメディアの台頭です。この変化は「新たなコミュニティを獲得し、新たな力を得るもの」と「新たなコミュニティから取り残されるもの」と2極分化する時代の予兆とも言っておられます。

もう一つはグローバル化に見られる「経営環境の予想以上の変化」です。企業における国の概念がなくなる時代に、企業としてのアイデンティティをどうするか、コンプライアンスやCSRなど「社会の公器」としての役割も求められます。スピードをますます増して経営環境は変化していきます。このような時代になると、もはや経営陣や、一部の人間のリーダーシップだけでは企業を牽引できない時代と言える(社長の決断の間違いが取り返しのつかないことになる)。

いつ何時想定外の災難がふりかからないとも限らない時代、正解のない時代に求められるのは「個々の知を結集させ、皆で立ち向かう仕組み」に他ならないというのが山下社長の主張です。

まさにIT業界は、労務提供型から知識・知恵・サービス提供型に変わらなければ海外のベンダーに蹂躙されるとの危機感が言われています。これを追求し実現するには、一人一人のモチベーション・知力を育成せねばなりません。しかし、一人だけの力では限界があります。いかに社内外含めた知恵を結集させて、お客様の要望を満たすかが問われるのです。成果主義がその壁を阻んでいるため、見直さねばばらないとも言っておられます。

社内外のいろんなコミュニティに参加し、人脈を作る。また社内外にいろんなコミュニティを作り運営する。NTTデータは社内にSNSを作り、また「貢献事例研究会」も発足させ、事例つくりを行っています(本にもいくつか掲載されています)。

私もまったく共感できる考え方です。この本を深く読み進め、再度報告したいと思います。

いいね!こんなサービスビジネスモデル

昨日の日本経済新聞朝刊1面「膨らむシングル経済(中)」の記事に、急速に事業を伸ばしている牛乳宅配便企業ミルズが紹介されていた。新潟県長岡市で2000年から始めたこの事業を、従来の「早朝に玄関先のボックスに入れる」方式から「昼間に手渡しで配達」方式に変えたそうだ。一人住まいの多い高齢者の見守り役として人気を呼び、今では1都6県で約3万2000人の顧客を抱えているそうだ。今後ますます進む高齢化社会の中で、特に都会ではさらに広がるビジネスモデルと思われる。着想がいいね!

ミルズのホームページを見た。若い社長です。「すべてはお客様のありがとうのために」下記のような「顧客満足度10原則」を設定しています。

  • 1.「お客様への感謝の気持ちを忘れない」
  • 2.「約束を必ず守ること」
  • 3.「礼儀を持って人と接する」
  • 4.「清潔感のある身だしなみであること」
  • 5.「笑顔で明るく元気な挨拶をすること」
  • 6.「出発前に必ずコールレポートを確認」
  • 7.「お届けは一声かけて黙って置いていかないこと」
  • 8.「冷蔵庫から客先まで品質維持、保冷剤100%使用する」
  • 9.「保冷ボックスは100%清潔にすること」
  • 10.「配達車内は完全禁煙すること」

お客様指向サービス経営事例(ホンダ販売店)

本田の販売店「ホンダカーズ中央神奈川」はここ13年間、全国のホンダ販売店の中で顧客満足度日本一に輝いている。昭和44年にホンダを退職して創業した相澤賢二氏は、黙っていても売れた高度成長期を経験したが、ある時期から不眠に悩まされたそうです。「お客様が急に他店にいってしまうのでは・・・」と。悩みぬいて行きついたのは、「お客様のことを良く知らないがためにこんな不安に駆られる」と。お客様が不満を持っているのか、満足されているのか分からない事だった。それで思い立ったのは「葉書アンケート」だった。これを始めて以来13年ホンダ販売店顧客満足度ナンバーワン継続中とのこと。

経営の最重点指針を「お客様から如何に褒められるか」(販売台数ではなく)とした。社員の評価もアンケート結果。頂いたアンケートには社長自らかならず返事を出す。「不満足」と書かれたお客様には飛んでいきお詫びする。葉書の回収率は34%(通常は数%)。

この様な活動で分ったこと。

  • 1:お客様は「自分で決めたい」。営業マンは押しつけではなくアドバイザーとしてお客様が決めるお手伝いをする役目。
  • 2:お客様は「人で決めたい」。笑顔が良くて、人柄が良くて、店内のスタッフの人間関係が何とも良くて、きびきびしていて、・・・。
  • 3:商品知識を100%求めていない。10個中2個程度は答えられなくていい。答えられないものはすぐ調べて、すぐ回答する。その誠意が伝わり、「お客様のお陰で勉強させていただきました」と伝える。「あの営業マンは俺が育ててやった」となれば、一生モノになっていく。

ロイヤリティ(継続的な利用意向)戦略の要は、商品以上に「人」ですね。商品がいくら立派でも、一生モノのお客様にするには「人」しかない!

(チームの底力!ホンダカーズ中央神奈川の「最高のサービスを生む組織の作り方」相澤賢二著、PHP研究所、2011.6.8発行)より