昨日JASIPA恒例(3ヵ月に1回開催)の定期交流会が三田であった。今回の基調講演は、IT業界では著名で、本も出版されている株式会社システムインテグレータの梅田社長の「会社の雰囲気を良くし、人を育てるための具体策あれこれ」だった。定期交流会はJASIPAの活動の一端をご理解いただくために、非会員の方にも参加いただいているが、今回は全体80名強の参加者の内、役半数が非会員だったそうだ。今回は、会場がほぼ満席となるほど盛況であった。
梅田氏の講演内容の詳細は会員向けのJASIPAメルマガに譲り、私の感じ入った所を私見も交えながら紹介する。梅田氏は、東芝→住商情報(31歳)→起業(37歳)の変遷を経て、40歳で理想の会社を目指し、54歳の現在はIT業界のために役立つことを目標とされて活動されている。住商情報時代に日本独自のERP 「Pro Active」の開発に携わられ、その経験をもとに日本初のWeb-ERP「GRANDIT」を開発。開発支援ツール「SI Object Browser」や総合プロジェクト管理システム「OBPM」の開発にも取り組まれ、「ソフトウェア産業の近代化」をライフワークとした事業を展開されている。さらに「日本のIT産業の国際競争力強化」をもう一つのライフワークとして、2006年にMIJSを立ち上げられた。
今回のご講演時間が1時間ということで、梅田氏は時間に追われながら、「会社を運営する上で気をつけていること」と「社員育成への取り組み」を重点的に話された。「社長の役割は、良い社風(土台、ミーム)を築くこと」との信念で、社長が先頭に立って風土づくりに当たられている様子が実感できるお話であった。理念(社是、経営方針、行動指針)を明確化し、それを言い続けるとともに、中期計画から個人目標に至るまで会社の方向性とベクトルがあったものにする。「正直に行こう」を有言実行(究極の場面で本性がでる)し、常に現状打破の精神を涵養するために「ベンチャー精神を忘れるな!」と言い続け、現代の人材育成は「コーチング」であることを徹底(社長自らコーチング研修受講)しつつ、社員も経営者も成長している実感を大切にされている。社長ブログ(公開)も2002年から続けておられる。
社員育成では、社員講師の月初勉強会を公開し外部からの参加もOKとしているとか、本の出版の奨励、改善提案活動制度などなど多くの施策が実施されている。中でも興味があったのは、「行動指針(社員はみな平等、よく聴く、人格尊重・・・・)の180度アンケート」制度があり、年1回部下が上司を評価し、その結果を公表し、行動指針の徹底を図っている(例えば、取締役は他の階層に比して「良く聴く」の評価が思わしくない)。毎月実施の「SIマインドアワード」は、社員から日頃の行動が目立っていい人の推薦を受け表彰する制度とか。評価内容は社内イントラネットで公開されている。
失敗を恐れず、「いいと思ったら実行する」、これぞベンチャー精神なのか、絶え間なくいろんな事に挑戦されている梅田氏の話に、出席者の皆さんは大いに刺激を頂いたものと思う。JASIPAのようなITベンダーを元気にするための支援は惜しまないとの、心強いお言葉も頂いた。本日のお話を、今後のJASIPA活動の活性化にも生かしていきたい。