「JASIPA行事」カテゴリーアーカイブ

第45回定期交流会兼賀詞交歓会(22日)

一昨日、いつもの会場センチュリー三田ビルにて、標記JASIPAの定例行事が開催された(http://jasipa.jp/blog-entry/9300)。3ヵ月に1回開催しているが、私が参加した3年間で最も盛況で、入場規制をせざるを得ないほどの参加者が(100名近く)あった。この場でいつも行っているJASIPA新会員の紹介も、今回は6社もあり、私の記憶では新記録だと思う。昨年来、JASIPAの各委員会活動も各理事の皆さんの努力の甲斐もあって活性化しており、会員の皆さんも自信を持って勧誘できるようになった証左だと確信できる。今回の参加者の約半数がゲスト(非会員)であることがそれを物語っている。

最近の定期交流会の講演は、著名な方に講師になって頂いたり、テーマも経営者にとって興味あるものが多く、参加者が増えている要因にもなっているのではと思われる(前回:http://jasipa.jp/blog-entry/9222)。今回も「伝える技術」としてプレゼンテーションのポイントをオレンジコミュニケーション・サポート代表永井一美様(元アクシスソフト社長―2006~2011)にお話しいただいた。世界的に著名な方々が8分間のプレゼンで聴衆を魅了するTEDが有名(http://jasipa.jp/blog-entry/7708)だが、最近では日本でもオリンピック招致のプレゼンの素晴らしさを世界にアピールしたところだ。プレゼンテーションの重要性に関しては、すべての経営者の皆さん認識はされていると思うが、どうやったらいいのか、具体的な対策が思いつかず、手がついていないのが実情ではなかろうか。その意味で、今回の永井氏のお話は、非常に意義あるものになったのではないかと思う。プレゼンテーションとは、自らのコンセプト、アイディア、思いを聞き手に伝え、聞き手に変化をもたらし、聞き手の心を動かし、行動を促すものと永井氏は定義する。歩く広告塔であるべき全社員が、この技術を身に付けることによって、顧客の心を動かし、同僚、友人の心を動かす。永井氏は、JUAS(日本情報システムユーザー協会)会員企業の社会人1年生に対するプレゼン研修もやっておられるとの事。その「伝える技術」の普及への思いは強い。その極意は「共感(not説得)」。

プレゼンターが知っておくべき21のポイントを「企画・制作編(10個)」、「予行編(7個)」、「本番編(4個)」に分類して教えて頂いた。私も時々呼ばれて講演をさせて頂いているが、恥ずかしながら、今回教えて頂いたポイントに関して納得性もあり、見直す点が多々あった。企画・制作編では、「聴き手が主役」をキーに、事実やデータをストーリーに乗せる、3点ルール(Yes we can.吉野家「うまい、安い、早い」・アベノミクスの「3本の矢」など)を使う、コントラストを描く、メリハリをつける(聴き手の集中力は10~15分)、簡にして要(良い表現、言葉探し)、スライドはシンプルに(スライドは1テーマ)などのポイントが挙げられた。以前当ブログでも紹介した「Whyから始めよ」(http://jasipa.jp/blog-entry/7415)もポイントに一つに挙げられた。予行編では、聴き手に周波数を合わせる(問いかけることも必要)、間投詞を使わない、目・間(時には沈黙も)・体を使う、リハーサルをやることなど。本番編では、第一印象を大切に、時間を守る、終わりが始まり、など。

MIJSでも理事として、ワークショップで各社製品紹介を担当され、「炎のプレゼン」として有名だとか。プレゼンテーション技術向上でお悩みの経営者の方は、ぜひ一度永井氏に相談されることをお奨めする。座学だけではなく実践指導もされている。「聴き手が主役」の意識付けだけでも大いに意義があると思う。

永井様、ほんとに貴重なお話し、ありがとうございました。

「100円のコーラを1000円で売る方法」とは

先般10月のJASIPA定期交流会で講演していただいた永井孝尚氏(元IBM,現オフィス代表・多摩大学大学院客員教授)氏の著作本(中経出版、2011.11)の題名だ。講演のテーマは「改めて、顧客中心主義について考えよう」。当日参加予定だったが、台風の関係で出られなかったが、日頃から「お客さま第一」を主張している私としては非常に興味あるテーマだった。と言うことで永井氏の著作本を読むことにした。以下、当該本と、JASIPAメルマガ(JASIPA★INSIGHT)に掲載の講演議事録を参考にする。

永井氏は「顧客中心主義」を提言する。その対極が「顧客絶対主義」。

  • 顧客絶対主義とは:「お客さまは神様」すべての要望に応え、価格勝負もかける。
  • 顧客中心主義とは:「お客さまは大切な人」、お客さまは自分の本当の問題を知らない。気付かない要望に応え、付加価値で勝負する。価格は高くてもお客様に「凄い!」と言わせる。

「顧客中心主義」の出発点は「バリュー・ポジション」の視点。「バリューポジション」とは”顧客が望んでいて“”競合他社が提供できない“”自社が提供できる“価値の事を言う。その「バリュー・ポジション」の出発点は、顧客で、顧客本人も気付いていない価値を見つけられるかどうかがポイントとなる。

標題の本では、会計ソフト専業の駒沢商会の商品企画部において、経理ソフトの改善を目論んで転勤してきた凄腕営業で有名な宮前久美が、最近転職してきた与田(永井氏そのもの)の主宰するマーケティング戦略などを学ぶ“与田スクール”で、「顧客中心主義」を学んでいく過程を物語風にまとめている。「うちの事業とは何か?」の問いに「お客さんのお役にたてる会計ソフトを開発して提供する事」と答え、「顧客の言うことは何でも引き受ける」と考える久美に、与田は「0点」の回答と返すところから始まる。そして、「経営者が本当にやりたいことは、会計システムで集まった情報を活用して、会社の財務状況を改善し、経営変革すること」とのコンセプトを打ち出すまでになり、さらに与田の指導を受けて、そのコンセプトを実行可能な戦略にまで持って行く過程を分かりやすく描いている。

この久美の変わっていく過程がまさに、縮む国内市場で消耗戦となって「高品質なのに低収益」という矛盾を生み出した「カスタマー・マイオピア(顧客近視眼)からの脱皮」に他ならないと、そして、その鍵は、「バリュー・ポジション」を徹底的に考えることと永井氏は言う。ちなみに、本のタイトルは、リッツカールトンのルームサービスで頼んだコーラが1035円だったが、今までの人生で最高においしいコーラだった(中身はスーパーで売るコーラと同じだが、最適な温度に冷やされ、ライムと氷がついてシルバーの盆に乗ったコーラがグラスで運ばれてきた)との逸話からつけられている。サービスと言う目に見えない価値を売る「バリューセリング」の典型的な例を表わしている(スーパーは「プロダクトセリング」でコスト競争の世界)。

日本のIT業界は、必ずしも顧客に信頼を得ていないと言われる。顧客の指示、あるいはいうままにシステム開発をする姿勢(顧客隷属型システム開発)から脱皮できていないと言うのが一般的な説となっている。今こそ、永井氏の言う「顧客中心主義」を徹底的に実行する能力を身に付けることが、IT業界の発展のためには必須と言えるのではないかと思う。

初めての研修委員会開催(26日)

昨年4月に発足した研修委員会(委員長林義行BSC社長)では経営者サロンやオープン化研修など、具体的な活動を逐次推進してきた。JASIPA加入会員に対するサービスの拡充との位置づけで始めたが、参加メンバー、参加会員が固定化し、なかなか期待した拡がりがないこともあり、今回経営サロンの日程を使って、初めての研修委員会を開催し、今後の研修委員会の課題と方向性について意見交換した(推進役:林委員長)。

経営者サロンに関しては、昨年4月より17回開催してきたが、メンバーがほぼ固定化したため、毎回新たなテーマを捜すのに限界が生じ始めている。また、理事の皆さんのご協力により、企業経営の体験談をお願いしてきたが、これもほぼ一巡した。そのため、これからの経営サロンの運営をどうするか、より多くの方に活用して頂くための方策がないか、議論した。その結果、10月に開催することにしている会員企業への出張経営者サロンや、もともと予定していた北関東地区での開催など、会員企業の皆さんが参加しやすいような開催形態を今後の柱にしていくことで進めることにした。出張先企業の希望などを踏まえて複数企業同志の交流を促進する案も検討することになった。

SEの技術者研修に関しては、現在アジルコア殿、BSC殿のご協力を得てオープン化研修を実施しているが、他社からの参加者が少ないとの問題提起がされた。会員各社への開催通知が、SE全般に伝えられているかどうかとの問題もあるが、教育事業者との提携による本格的技術研修との組み合わせにより、会員企業のニーズにあった教育の体系化の必要性について意見交換した。研修委員会の中に「技術研修センター」的な機能を設け、会員企業の研修に関する多様なニーズを受け止め、研修コースを推薦するコンシェルジュ的役割を果たすことにしてはどうかとの建設的な意見も出された。池田理事が、自らその役割を担うとのありがたい申し出もあった。今後実現の方向で検討する事になった。研修に関する補助金の使い方の指導や、会員企業経営者に対する社員育成の必要性の喚起などの必要性に関しても検討課題となった。

ともかく、各企業においては社員の育成ニーズ、意識改革ニーズは最重要として位置づけられている筈との認識のもと、JASIPA会員企業に対する付加価値として研修委員会をもっと充実させていくことが必要だとの共通認識は出来た。そして参加メンバー間で熱き議論が交わされた(林委員長、池田副委員長、三上副委員長、玉村理事、白井理事、サンノア吉田社長、堀事務局長、冲中)。

懇親会は、JASIPA事務所近くで2日前に開店した中華料理店で行われた(玉村さんのFB参照)。今月いっぱい20%割引とかでこのチャンスに“フカヒレ”も注文し、紹興酒やビールを飲みながら、さらに議論を深めることが出来た。意義深い1日だった。