「JASIPA行事」カテゴリーアーカイブ

JASIPA定期交流会最高の盛り上がり(19日)!

昨日JASIPA恒例(3ヵ月に1回開催)の定期交流会が三田であった。今回の基調講演は、IT業界では著名で、本も出版されている株式会社システムインテグレータの梅田社長の「会社の雰囲気を良くし、人を育てるための具体策あれこれ」だった。定期交流会はJASIPAの活動の一端をご理解いただくために、非会員の方にも参加いただいているが、今回は全体80名強の参加者の内、役半数が非会員だったそうだ。今回は、会場がほぼ満席となるほど盛況であった。

梅田氏の講演内容の詳細は会員向けのJASIPAメルマガに譲り、私の感じ入った所を私見も交えながら紹介する。梅田氏は、東芝→住商情報(31歳)→起業(37歳)の変遷を経て、40歳で理想の会社を目指し、54歳の現在はIT業界のために役立つことを目標とされて活動されている。住商情報時代に日本独自のERP 「Pro Active」の開発に携わられ、その経験をもとに日本初のWeb-ERP「GRANDIT」を開発。開発支援ツール「SI Object Browser」や総合プロジェクト管理システム「OBPM」の開発にも取り組まれ、「ソフトウェア産業の近代化」をライフワークとした事業を展開されている。さらに「日本のIT産業の国際競争力強化」をもう一つのライフワークとして、2006年にMIJSを立ち上げられた。

今回のご講演時間が1時間ということで、梅田氏は時間に追われながら、「会社を運営する上で気をつけていること」と「社員育成への取り組み」を重点的に話された。「社長の役割は、良い社風(土台、ミーム)を築くこと」との信念で、社長が先頭に立って風土づくりに当たられている様子が実感できるお話であった。理念(社是、経営方針、行動指針)を明確化し、それを言い続けるとともに、中期計画から個人目標に至るまで会社の方向性とベクトルがあったものにする。「正直に行こう」を有言実行(究極の場面で本性がでる)し、常に現状打破の精神を涵養するために「ベンチャー精神を忘れるな!」と言い続け、現代の人材育成は「コーチング」であることを徹底(社長自らコーチング研修受講)しつつ、社員も経営者も成長している実感を大切にされている。社長ブログ(公開)も2002年から続けておられる。

社員育成では、社員講師の月初勉強会を公開し外部からの参加もOKとしているとか、本の出版の奨励、改善提案活動制度などなど多くの施策が実施されている。中でも興味があったのは、「行動指針(社員はみな平等、よく聴く、人格尊重・・・・)の180度アンケート」制度があり、年1回部下が上司を評価し、その結果を公表し、行動指針の徹底を図っている(例えば、取締役は他の階層に比して「良く聴く」の評価が思わしくない)。毎月実施の「SIマインドアワード」は、社員から日頃の行動が目立っていい人の推薦を受け表彰する制度とか。評価内容は社内イントラネットで公開されている。

失敗を恐れず、「いいと思ったら実行する」、これぞベンチャー精神なのか、絶え間なくいろんな事に挑戦されている梅田氏の話に、出席者の皆さんは大いに刺激を頂いたものと思う。JASIPAのようなITベンダーを元気にするための支援は惜しまないとの、心強いお言葉も頂いた。本日のお話を、今後のJASIPA活動の活性化にも生かしていきたい。

アイデアが世界を変える ~TED 究極のプレゼン~

昨夜のNHK「クローズアップ現代」で上記のタイトルでの放送があった。企業を興し、成功経験から始まり、その後地獄を経験したクリスアンダーソン氏が管理人となって、始めた話です。番組「クローズアップ現代」のTEDに関する紹介分を下記します。

聴衆の前に立ち、ビジネスや研究活動を通して得た“広める価値のあるアイデア”を18分以内で語るプレゼンイベント「TED」が世界的な人気を集めている。ビル・クリントン、ビル・ゲイツ、サンデル教授、ジェームズ・キャメロン監督… 名だたる著名人など8000人が参加。動画はネットで全世界に広がり、1千万回視聴されたものもある。5月末には日本で初めてのオーディションが行われ、ビジネスマン、科学者、建築家などが参加し、世界を目指した。一方、TEDの広がりをきっかけに日本でもアイデアを人に伝えることの重要性が改めて見直されている。TEDを参考に、プレゼンテーションのあり方を根本から見直す企業が登場。また、TEDから得たアイデアで、人生が大きく変わった人々もいる。世界を席巻するプレゼンの魅力と共に、“伝える力”を見直す人々の姿に迫る。

いろんな分野のアイデアを共有する、広める価値のあるアイデア(Ideas worth Spreading)を共有化する。テーマ選択は、真実・好奇心・多様性を重視し、商売・企業のたわごとは禁止、政治的な話もダメ。いろんな分野のアイデアがつながりあって、よりよい考えにたどりつく。日本でもベンチャーを起こした若者が、TEDの話を聞き、それをヒントに商品開発し、苦境を脱した事例も紹介されていた。テーマもさることながら、人びとを魅了するプレゼン手法にヒントを得た、日本のIT企業の女性がそのヒントを活かし、お客様を引き込むことに成功した事例も。それまでのプレゼン資料は、商品のことを事細かに説明するものだったが、お客様の興味を引くために余分なことは省き、お客さまの気を引くシンプルな資料にしたら、引き合いが急に増えたそうだ。

生臭い話が飛び交う現実の中で、前向きな好奇心を刺激するアイデアが個人の間で飛び交い、世界を変える。各国語に変換され多数の国で閲覧されているそうだが、日本でもTED会議が全国各地で開催されている(6月30日には渋谷ヒカリエで開催)。下記URLで日本語字幕のTEDプレゼンを見ることが出来る。http://www.ted.com/translate/languages/ja

また、NHKのEテレでも、4月から毎月曜日23時~23時25分にTEDプレゼンを題材にした英語教育を兼ねた番組をやっている(スーパープレゼンテーション)。昨日初めて見たが、MITメディアラボ所長の伊藤氏(ブログでも紹介済み:http://jasipa.jp/blog-entry/7323)が番組ナビゲータをしておられ、昨夜はアダム・オストロウ「死後のデジタルライフ」のプレゼンが紹介されていた。その内容を番組紹介文から下記しておく。

膨大なブログやツイートが残されていくデジタルアーカイブ。自分の死後、それらの情報をどう整理・管理するのかをめぐり、新しいサービスが登場し始めた。技術の進歩によって人生すべてのデータを解析し、死後も自動的に情報発信することも可能に。ネット上の自分の「死」をどう定義づけるのか、今後議論を深めていく必要がある。

新しいものを生み出す究極のコミュニケーションに発展する可能性もある。今後も注目していきたい。

WHYから始めよ!

人を感激させて、やる気を起こさせるリーダーは、WHY(理由)→HOW(手法)→WHAT(自社の製品やサービス、自分の職務など、自分のしていること)の順に考え、行動する。この行動パターンを「ゴールデンサイクル」という。

「WHYから始めよ!」(サイモン・シネック著、栗木さつき訳、日本経済新聞社)に関するTOPPOINT(2012.4)要約版の最初の文章だ。これを応用すれば、製品開発、営業、マーケティングを飛躍的に改善することも出来ると言う。

普通の会社は

「我々はすばらしいコンピュータを作っています(WHAT)。美しいデザイン、シンプルな操作法、取り扱いも簡単(HOW)。1台いかがですか?」と。

しかし、アップル社なら

「現状に挑戦し、他社と違う考え方をする。それが私たちの信条です(WHY)。製品を美しくデザインし、操作法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすることで、私たちは現状に挑戦しています(HOW)。その結果、素晴らしいコンピュータが誕生しました(WHAT)。1台いかがですか?」

人は、企業の製品(WHAT)を買うわけではなく、その企業が製品を生み出す理由(WHY)-目的、大義、理念を買う。実際、アップル社のiPodを開発したのは、クリエイティブ・テクノロジー社で、該社の宣伝は「5GBのMP3プレーヤー」としたのに対し、アップル社は「1000曲をポケットに」。私たちにそれが必要なWHYであることを伝えた。

著者は「WHYなきところにイノベーションなし」と言う。企業も文化であり、一連の価値観や信条に共鳴する人の集合体でもある。社員や製品を束ねているのは製品やサービスではない。企業を強くしているのは、規模でもなく、文化である。採用においても、自社の理念に心から共鳴する人材、自社のWHYに情熱を持てる人を採ることが、企業をより強くする。

新しい商品を開発した場合、その発表、あるいは営業においても、WHATの説明に終始していないだろうか?お客様視点で考えた場合、他社に比して何が自社にとって魅力的なのかが分からないと、興味を示さないだろう。それが「WHY」では!人は、自分の努力の結果(WHAT)をどうしてもアピールしたい思いに駆られるがそれでは売れない!