「リーダー育成」カテゴリーアーカイブ

今求められる日本のリーダー!

昨夜のNHKスペシャル(夜7.30~10.15)にくぎ付けになった。くるくる変わる首相や、企業不祥事で、世界から「Leaderless JAPAN」と揶揄される日本。そして、グローバル競争に対峙せざるを得ない状況の中で、日本のリーダーを如何に育てるか?難しい問題ではあるが、解決せねばアジアから取り残され、ひいては世界からも取り残されかねない喫緊の課題との認識のもと、出席者の間で議論が沸騰した。

スティーブ・ジョブズやサムソンのイ・ゴンヒ会長のような強烈なリーダーが必要かとの議論では、「バカなリーダーの場合悲劇を招く」との意見もあり、ボトムの意見・情報を収集しつつ方向性を打ち出し、実行に向けてリーダーシップを発揮するのがトップの役割との意見が大勢を占めた。

教育面では「自分の言葉で伝える力」を育成し「知脳・ミッション・パッション」のある人材育成が必要として、トルコやカナダの学校の事例紹介があった。カナダでは、留学生が半数を占め、異文化理解、論理思考、プレゼン能力の育成がなされていると。様々な人、環境にもまれるために、国費留学の活性化の提案もあった。「価値観の違いを認める教育」として、フィンランドでは、一方的なTeachingより議論主体で、反論大歓迎の教育が実施され、人によって答えは一様ではない世界を覚えこませる教育も紹介された。12年続いている女性のハロネン大統領は、エリート意識もカリスマ性もなく「ムーミンママ」と国民から慕われているそうだが、このような教育が育てたリーダーかもしれない。まさに価値観の違いを認められる人材がグローバル人材と言える。

今回の東日本大震災で、若い人たちが、いろんなところでリーダーシップを発揮している事例の紹介もされた。35歳で内閣府を辞し陸前高田の副市長に転身された方、酒造工場を津波で流されたが雇用を守り続け社員に元気を与えている38歳の社長、復興に立ち上がる人に、ヒト・モノ・カネを仲介することに命を懸ける人など・・・。さらには、国土交通省で、「国民のために働けない仕組み」を内部から改革せんとする若者(明日から省に帰ったら袋叩きにあうのではと参加者から心配されていた)など、逞しい若者たちが出てきている。京大の滝本教授は「中央集権は変化に弱い。群雄割拠、地域リーダーに若手を抜擢することがリーダー育成のためにも必要」との提案があった。

福島のチェーン店経営者の「若手の意欲ある人たちを育てるために、高齢者や国がいかに支援できるかが、日本のリーダー育成のカギを握る」との発言に、参加者から拍手が起きた。

日本のためにも、みんなで若いリーダー育成に注力する時との感を強くした。

リーダーの危機管理の厳しさを痛感!

今週12日、六本木のアークヒルズクラブで第一生命殿主催の「多業種ネットの会」が開かれ、招待を受けたので行ってきました。その中で、小泉政権時代に産業再生機構の代表取締役を務めカネボウなど41社の再建に取り組まれ、今も自ら設立された㈱経営共創基盤の代表として様々な企業の再生に取り組まれている冨山和彦氏の講演があった。

テーマは「日本維新~大震災の最前線から~」でしたが、歯に衣着せぬ、自らの実践を通じたリーダーシップ論が非常に胸を打ち、かつ衝撃的なものでした。

経営が厳しい東北のバス会社を束ねて作った「みちのりホールディングス」(福島交通、茨城交通、岩手北バス)の経営を任されています。今回の東日本大震災で、福島原発の避難区域の人や津波の被災者を発生の翌日から無料で安全な場所に運ぶ決断をし、福島原発周辺の人に対しては茨城交通からも応援バスを出されたそうです。まだ福島原発の実情が明らかでないときの決断です。

その冨山さんが言う。

「3月11日の夜に、メルトダウンの事実が判明していたら、どのような判断ができただろう(バスを出す決断が出来ただろうか?)」

「3月12日PMの水素爆発がチェルノブイリと同様の水蒸気爆発であったら、どう決断できただろう」

と。未だに冨山さん自身答えが出ていないということです。

41社の再生は10万人の人生を背負う決断であり、いろんな修羅場を経験している冨山さんをしても、上記問いに答えが見いだせないという。リーダーの危機管理の厳しさを痛感させられました。カネボウの悲劇は繊維事業からの撤退の決断ができなかった事。フォードは米国の馬車事業を全滅させた。が上記問いへの決断は人命に関わることであり、ほんとに厳しい決断である。ハーバードの白熱教室(サンデル教授)では、こんな問題を取り上げながら、リーダーシップ教育をやっている。