今週12日、六本木のアークヒルズクラブで第一生命殿主催の「多業種ネットの会」が開かれ、招待を受けたので行ってきました。その中で、小泉政権時代に産業再生機構の代表取締役を務めカネボウなど41社の再建に取り組まれ、今も自ら設立された㈱経営共創基盤の代表として様々な企業の再生に取り組まれている冨山和彦氏の講演があった。
テーマは「日本維新~大震災の最前線から~」でしたが、歯に衣着せぬ、自らの実践を通じたリーダーシップ論が非常に胸を打ち、かつ衝撃的なものでした。
経営が厳しい東北のバス会社を束ねて作った「みちのりホールディングス」(福島交通、茨城交通、岩手北バス)の経営を任されています。今回の東日本大震災で、福島原発の避難区域の人や津波の被災者を発生の翌日から無料で安全な場所に運ぶ決断をし、福島原発周辺の人に対しては茨城交通からも応援バスを出されたそうです。まだ福島原発の実情が明らかでないときの決断です。
その冨山さんが言う。
「3月11日の夜に、メルトダウンの事実が判明していたら、どのような判断ができただろう(バスを出す決断が出来ただろうか?)」
「3月12日PMの水素爆発がチェルノブイリと同様の水蒸気爆発であったら、どう決断できただろう」
と。未だに冨山さん自身答えが出ていないということです。
41社の再生は10万人の人生を背負う決断であり、いろんな修羅場を経験している冨山さんをしても、上記問いに答えが見いだせないという。リーダーの危機管理の厳しさを痛感させられました。カネボウの悲劇は繊維事業からの撤退の決断ができなかった事。フォードは米国の馬車事業を全滅させた。が上記問いへの決断は人命に関わることであり、ほんとに厳しい決断である。ハーバードの白熱教室(サンデル教授)では、こんな問題を取り上げながら、リーダーシップ教育をやっている。
生命を背負う決断 > 人生を背負う決断 ということでしょうか・・・すぐれたリーダーにとっても 重たい決断