「自己改革〇〇力」カテゴリーアーカイブ

自分はできると思っているか?

経済学者で、「超整理法」などの本でも知られる野口悠紀雄氏(一橋大学名誉教授)の仕事術に関するお話しです(「一流たちの金言」(致知出版社)より)。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

創造的な仕事をした人がIQが高かったかと言えば、そういうわけではない。事実、ニュートンもアインシュタインもあまりIQは高くなかったようですし、学校の成績と発想力は関係がないと考えた方がいいでしょう。

あるアメリカの企業が仕事で非常にいいアイディアを出す社員と出さない社員も差を調査しました。その結果、ただ一つの差異しか見つからなかったというのです。

すなわち、いいアイディアを出すのは、自分が創造的だと思っていた社員であり、出せなかったのは自分はそういう能力がないと思いこんでいた社員だったと言うのです。

つまり、発想力はIQなどではなく、自分が出来ると思っているかどうか、という意識のベクトルの差が非常に大きいと言うのです。

このデータは、モチベーションとの関わりという点からも、実に示唆に富んでいます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「自分を信じる」、そのためには、他人以上に頑張り、努力すること。まさにスポーツ選手が成功する重要な条件と考えれば分かりやすいのかも知れない。

ローマ帝国時代のカエサルの言葉

「多くの人は見たいと欲する者しか見えない。欲しなければ何も見えない」

も時々使わせてもらっているが、「見たい」と思わなければ、自分の成長もなく、自分を信ずるレベルにもならないだろう。野口先生の話、混沌とした世の中を生き抜くためにも、よく噛みしめたい。

顧客との話し方・聞き方

「知的会話入門(樋口裕一著、朝日新聞出版)」という本がある。周囲の人を感心させ、尊敬を集められるような会話力の身のつけ方を説いている。我々サービス業にとっても、顧客の信頼を得るための会話法ということで参考になると思われるので紹介する。

知的会話とは、「人に尊敬されながら、自己の利益を最大化できる会話力」と定義する。そのための10か条を下記する。

  • ①相手の話を頷きながら最後まで聞く:頷きながら、話の腰を折らないよう最後まで。
  • ②相手の意見を要約、補強してあげる:相手の話を反復、補強することによって、「よく聞き、理解していますよ」とのメッセージとなる。
  • ③知ったかぶりをせず、分からないことは聞く:
  • ④業界用語、専門用語は使わない:言うまでもないこと。
  • ⑤まずは反論ではなく質問を:知的会話は論争ではない。意見交換だ。
  • ⑥知っていることを全部話さない:話を発散させて相手に無駄な時間を消費させない。
  • ⑦数字などを交えて、出来るだけ具体的に話す:よく知っていると感心させる。
  • ⑧「受け売りの話」には自分の意見も付け加える:受け売りをあたかも自分の意見のように言うのはルール違反。
  • ⑨会話にはユーモアを。ただし駄洒落には注意:駄洒落は人の話の腰を折りやすい。
  • ⑩最後は「黙っている」方が賢く見えると知っておく:「当意即妙」もいいが「沈思黙考」も知的な態度。最後に重みのある一言が効く。ともかく聞くことの大切さを肝に銘ずること。

上記10か条は必要条件。十分条件にするには「教養を日頃から身に着けること」。教養がじわじわとしみ出てくる雰囲気は、日頃の努力から養われる。

「営業は、商品ではなく自分を売り込むこと」。そのためのノウハウは限りなく深い。参考にしたい。

問題設定能力を磨こう!

サービス業として「お客様のためになるシステムの提供」、すなわち労務提供型からサービス提供型への脱皮が叫ばれている。「お客さまに対する付加価値を考えること」にとって最重要なのは、お客さまの問題は何かを定義する「問題設定能力」と言えるのではないでしょうか?

 学生時代、問題を設定するのは教師で、解くのが我々学生であり、そして答えは必ず一つ。これに慣らされた我々は、なかなか問題を探し出し、問題を定義することを苦手としています。今から20数年前、私は鉄の生産管理システムの企画業務を担当していました。その時日立のシステム開発研究所の支援を得ながら、問題を如何に定義するか、そしてその問題定義を管理・経営者でも分かるよう、日本語で記述する言語の開発を日立と共同で実施しました。

 鉄の生産管理システムでは、いろんな規格の受注ロットを如何に製造ロットにまとめるか、また厚み品質を維持しながら如何に圧延ロールを長く使うための通板スケジュールを決定するかなど、製鉄所の生産性、製造コストを大きく左右する重要な問題が一杯あります。このような問題でも、ユーザー部門とシステム部門の担当者同志で相談しながらいつの間にか一つの答えを出してしまうのです。そしてさらに、システムから出た答えをユーザー部門の担当者が勝手に変更するのです。その正当性は、ユーザー部門の部長にも課長にも分からない世界を築いてしまっているのです。これでは、組織として実行解の正当性の判断が出来ず、改善論議も出来ません。

 そこで、システム部門の若手にまず現場に常駐させ、現場の長が何を考えて通板順序などを考えているのか、徹底的に問題の定義に当たらせたのです。最初はどうしても答えが気になり、答えから問題を逆定義する傾向がありました。それを何度もつき返しながら答を考えるなと指導し何とか問題定義が出来ました。その後、解き方は別の若手に考えさせます。そうすると大体、複数の答えが出てくるのです。すなわち問題定義においては、社会システムも同じですが、方程式の数より変数の数が多いのが一般的で、当然複数の答えが出ます、複数の答を一つに絞り決定するのは、前後工程の責任者を含め、利害の衝突する部門間で決めてもらうしかないのです。

この考え方を「業務の論理」「解法の論理」「政策の論理」と三つの論理に整理し、「業務の論理」の記述に日立開発の「HSPG」を使い、「解法の論理」には巡回セールスマン問題のアルゴリズム(室蘭工大から譲り受けた)などを使い、「政策の論理」で、複数の解毎に評価値を提供し経営者に分かりやすい画面を構築しました。この論理は、国際学会でも発表し、東京工業大学の先生の目にも止まり学生に講義もしました。が現在は、ERPなどに押されて、この考え方のシステムは消えつつあるのではと思います。

具体的なシステム化はともかく、この「業務の論理」すなわち問題設定は、お客様も正確に定義できないのが一般的だと思います。まさにここに、我々の出番があると思います。昨年出版された「論点思考―BCG流問題設定の技術」(内田和成著)がボストンコンサルティングの手法を解説しています。経営の神様ドラッカーは「経営における最も重大なあやまちは、誤った答えをだすことではなく、間違った問いに答えることだ」と言っています。まさしく真の問題に気付く力こそ現在のビジネスパーソンに最も必要なものと上記本には書かれています。

お客様との関係作り、ヒアリング能力含めて、問題設定能力を是非とも高める努力をしてください。