「健康・老化」カテゴリーアーカイブ

毎日を楽しめることが年齢に負けない第一歩!

年を重ねるのが楽しくなる生き方とは?(http://okinaka.jasipa.jp/archives/352 )」とのテーマで「脳を鍛える大人のDSトレーニング」で有名な川島隆太氏ほか東北大学加齢医学研究所スマートエイジング国際共同研究センターの先生方が提唱する「スマートエイジング」の考え方を以前紹介した。

11日の日経Gooday記事に東海大医学部教授(血液腫瘍内科)川田浩志氏の「反省しません。その方が健康でいられるから」毎日を楽しめることが年齢に負けない第一歩です、とのGooday流アンチエイジングセミナーでの講演内容が掲載されていた(http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/093000039/102100071/?waad=FwS1YNlU)が、スマートエイジングと同じような考え方で興味深かったので、ここで紹介する。川田先生は、病気になってもう打つ手がない患者に接していると、病気になるのを避ける方法はないものかと思うようになった。アンチエイジングの為には「食事」「運動」「メンタル」の3要素の重要性が説かれているが、川田先生はまず「メンタルありき」と考え、メンタリティの人体への影響に関するエビデンスを徹底的に研究した。その結果下記のような真実が分かったと言う。

その1~人生を楽しむほど死亡リスクは下がる:日本国内の男性対象の調査で、「人生を楽しんでいますか?」との質問で「楽しんでいる意識が高い人」は「そうでない人」に比べて脳卒中、心臓病による死亡リスクが半分だった。ロンドン大学でも「人生の楽しみ度(Enjoyment of Life:EOL)」と「8年後の身体機能」の関係を調べるとEOLが高いと「寝たきりになりにくい」事が判明したとか。

その2~「幸せ度の高い言葉を多用する人は行動量も多い:18万人のツイートを解析したところ、「Happy」とか「Ha・Ha・Ha」といった幸せレベルを高く示すような単語をツイートしているひとほど、移動距離が長くて行動半径も広いことが分かったと言う。行動量の増加は科学的にも体にもたらす恩恵が大きいことが証明されている。動くことによっておこる「交流」という副次的効果も大きい。

さすればどうすれば「幸福度」を上げられるか?

その3~今やるべきことに集中すること!:「人は過去、未来に執着する傾向がある」が、変えられない過去や、分からない未来にとれわれず、「今に集中すること」。このことは、当ブログでもいろんな方が言われる話として何度もUPさせて頂いている(EX. http://okinaka.jasipa.jp/archives/347)。2~3分深呼吸をするだけでも、脳内前頭葉野の委縮を遅らせることが可能と言う。

その4~「幸福度」は自分次第で変えられる:個人の幸福度を決めている要因として、「遺伝」が50%、「お金や生活環境」が10%、残り40%は研究結果では「自分次第」ということ。自分を幸せに出来る可能性は後天的に40%もあるということ。「幸せはいつも自分の心が決める」相田みつをの有名な言葉と同じ意味とも思える。

その5~その日に得た良いことを三つ記録する                                                 

その6~実直で誠実に生きている人ほど死亡リスクが低い

とも言われている。

年をとり体力、知力が劣化していくことを恐れて生きるより、自然体で年を重ねることで日々幸せと喜びを感じる生活を目指すことが最高の生き方だ。と分かっていても、家内から「口をへの字にせずスマイルを」と毎日のように言われてしまう。気をつけねば。

食事療法がひらくがん治療の新たな道

標題のタイトルで、「遺伝子のスイッチオン」で有名な筑波大学名誉教授村上和雄氏と、西台クリニック院長済陽高穂(わたようたかお)氏との対談記事が「致知2015.10」に掲載されている。以前にも、参考になるかと思い、ガン治療に関する記事を挙げている(がん患者の駆け込み寺http://okinaka.jasipa.jp/archives/2928、末期がんの自然治癒http://okinaka.jasipa.jp/archives/2016)。この年になると同僚、先輩の訃報を多く聴くようになるが、そのほとんどがガンによるものだ。昨年末に肝臓がんで亡くなった高校同期は、見つかった時は既にレベル4で、本人から、「いいと思うことはすべてやるから何でも教えてほしい」との要請があったが、何も出来ず診断4か月後帰らぬ人となってしまった。今回登場の済陽氏を「末期がんや晩期がん患者の60%以上を治癒改善に導くと言う実績を持つ済陽式食事療法で、ガン治療に新たな道を切り開いた方」と紹介している。

済陽式食事療法の八大原則を下記する。

  • ①塩分を制限する(1日5㌘以内)
  • ②動物性蛋白質・脂質を制限する(四足歩行動物の肉類は週に1回程度)
  • ③新鮮な野菜と果物を大量に摂取する(1日200~500mlのジュースと野菜350㌘~500㌘)
  • ④胚芽を含む穀物、豆類、イモ類を摂取する(週に1~2回は玄米)
  • ⑤乳酸菌、海藻類、キノコ類を摂る 
  • ⑥レモン、はちみつ、ビール酵母を摂る
  • ⑦油はオリーブ油またはごま油にする
  • ⑧自然水の摂取

 

この指標は、病気予防のためのもので、例えば末期の患者に対しては絶対に禁酒であるとか厳しく指導されているそうだ。

済陽氏は消化器がんの手術で有名な中山恒明先生に師事したり、米国留学したりして外科手術の腕を磨き、都立荏原病院では消化器がんだけでも2000例以上の手術をやられた。患者さんを救いたいとの一心だったが、手術後5年生存率は52%程度しかなく、「手術と言う患者さんの心身に重い負担を強いるものなのに、結局命を助けることも出来ていない。これではあまりにも患者さんに申し訳ない」と、外科手術だけに頼るのではなく、放射線治療や、抗がん剤治療を勉強したが、こうした治療も完全に治すのは難しかった。そんな時、手術ですべてのがんを取り除くことが出来なかった患者が独自に探した「甲田療法」と言う食事療法を試み1年半でがんが無くなったことや、留学中に世話になった先生から前立腺がんになったとの知らせが入り、「甲田療法」を勧めたところわずか半年ですっかりがんが治った事例などから、食事療法に興味が湧き、真剣に考え始められたそうだ。7年前に開院された西台クリニックでは、年間600名を超える患者さんを相手に最新性の機器を使ったがんの高精度献身と、食事指導をされている。がんで悩まれている方に何らかの参考になればと願うばかりだ。

「相続なんか気にするな!」(山田みち子著)

JASIPA会員である山田みち子さん(ファイナンシャルプランナー・相続士)が、この4月24日に表題の本を出版された(新潮社)。早速著者から本を贈呈され、この種の本としては初めて読ませて頂いた。副題に「老後をもっと豊かにする”お金の生かし方“」、そして本の帯に推薦者(本郷尚氏)の「資産はこれまで頑張ってきた被相続人が受けるべき対価、今あなたに必要なのは自分への”生前贈与“です」とある。著者は、もともと保険会社に勤め、その間にファイナンシャルプランナーの資格を取り、独立後は相続士の資格も取って、様々な相続問題の相談に当たられた方だ。その経験から、相談にやってくる方のほとんどが相続人(財産を受け取る側)で、被相続人(財産を残す側)からの相談はめったになかったことが、この本を書く動機になったと言う。

山田氏の視点には共感を覚えるものが多い。子ども、孫可愛さに極力多く遺産が渡るように節税対策として、二世代住宅を作ったり、息子の同居の誘いに乗ったりして、若夫婦との生活習慣の違いなどで悲劇を味わう老夫婦も数多く見てきたそうだ。そこで、山田氏は相続を気にする場合の、「悪しき考え方」と「良き考え方」を指摘する。

悪しき考え方」は

  1. 子供に遺産を多く残そうとする。子どもの要求にもすぐ応じる。
  2. 資産が多い場合は節税にも熱心。
  3. 子供や孫が大事、自分の事は後回し。

良き考え方」は

  1. 資産の全体像を把握し、使い道は自分で決める。
  2. 資産は子供に遺すより、自分が使う事を優先する。
  3. 頭が働くなった後、そして死後、残された人が困らないようにする。

子どもたちに甘えを生じさせると、子どもたちのためにもならないとの教えでもあり、自分で稼いだお金は自分のために使って当たり前との至極当然の勧めだ。そして、今はやりの遺言のような「エンディングノート」だけではなく、これからを生きる「再出発ノート」を書くことを勧めている。これまでの人生を振り返り、子どもの時の果たせぬ夢なども思い出しながら、これからの人生を思い描くノートだ。

自分の楽しみのために使うお金を第一義に考えたうえで、医療や介護など自分の安全を確保するためのお金も計算に入れておく必要がある。さらには、自分が動けなくなったり(認知症など)、死んだあともめ事を起こさないように、遺言書など手を打っておくことももちろん必要なことと説いている。

“再出発後の人生は楽しみ一杯”の最終章では、JASIPA事務局長(72歳)が「社会と関わり、夢を持ち続ける」とのタイトルで紹介されている。若いIT企業を支援したいとの夢を持って10年以上、今ではJASIPAになくてはならない存在感を示されている。僅かな報酬も、JASIPA会員の皆さんとの飲み会などに使われている。

「これからの人生こそ、我が真価が問われる」「如何に楽しく、満足できる生活を送るか」など、この本をきっかけとして考えねばと思う。著者は言う。「”考えたくない“と言っている場合ではない。まして遺産をほしがる子供の言いなりになっている場合でもありません。自分の体力、気力、そして財力を如何に有効活用するかを考える姿勢が大切」と。