人口132万人の国が世界のデジタル革命の先端を走る!(エストニア)


バルト海に面するバルト3国の一つエストニア。昨年1月に安倍総理も訪問し、サイバー技術関係の協力を協議した国でもあり、安倍総理自身、エストニアの仮想国民にも登録している。私も2017年10月に首都タリンを訪問したが、世界遺産の小さな美しい街だった(https://jasipa.jp/okinaka/archives/7210)。

4月3日の日経朝刊11面「国土敗れてもデータあり」でエストニアの先端的な取り組みを紹介している(日経の連載記事で「先端技術から生まれた新サービスが既存の枠組みを壊すディスラプション(創造的破壊)がテーマで第1回がエストニアだった」。また、ソフトバンク孫社長の実兄の孫泰蔵氏監修、小島健志氏著の「~ブロックチェーン、Aiで先端を行く~エストニアで見つけたつまらなくない未来」(ダイヤモンド社、2018・12刊)も出版されている。双方を参考にしながら要点を報告する。

デジタル革命の進展を日経記事はこう語る。
エストニアは2000年代以降、住民登録や納税、教育、子育てなどあらゆる行政手続きを電子化した。国民にIDを割り当て、手続きは24時間、インターネットで完了する。3月の議会選では投票した二人に一人がネット経由だった。ネットでできないのは、結婚と離婚、不動産売買だけ。電子化による費用削減はGDPの2%に上る。」
ちなみに、不動産売買は金銭的に大きな決断であり、結婚・離婚は感情的に早まってはいけないということが非電子化の理由だそうだ。IDカードが運転免許証や保険証を兼ね、EU域内ではパスポート代わりにもなる。
セキュリティは、ブロックチェーン技術で守られている。リアルタイムで改ざんを検知する技術も取り入れており、万が一職務上知りえた他人のデータを不正に開示したり、利用したりすると厳罰を受け、刑務所行きとなる。

なぜエストニアで電子国家が出来たのか?エストニアの歴史を振り返ると、欧州とロシアの境の要衝の地にあることから、13世紀にデンマークが侵攻して以降、ドイツ、スウェーデン、ロシアによる支配が相次いだ。やっと1991年にソ連から独立し、EUやNATOに加盟。しかし、GDPは低迷し、さらに追い打ちをかけるように2007年にロシアからとみられる世界初の国家を対象とした大規模なサイバー攻撃を受け、政府、銀行などでシステムダウンし、大パニックになった。小国の悲劇として国家存亡の危機に何度も晒されたことで、32歳の首相(1991年当時)のリーダーシップのもと、電子大国への道を拓いた。サイバー攻撃を受けてもデータが保全できる体制を徹底的に実現しようとしている。ルクセンブルグに”データ大使館“を開設したのもその一環。国土が侵略されても電子上で行政を執り行えば国家は残るとの考え方だ。

今、世界のトップ人材がエストニアを目指すと言う。何とスタートアップ企業が薬550社あると言う。これらの企業への投資額は5年前に比し5倍となり、その9割が海外からの投資という。ある調査会社(GEM)の調査では、企業の活発さを示す総合企業活動指数は米英を上回り世界で首位。通話ソフトの“スカイプ”もエストニア発とか。

仮想住民制度「イーレジデンシー」や、2019年中に「デジタルノマドビザ」を発行し、世界を飛び回るノマド(遊牧民)型人が365日の滞在を認め、EU域内で自由に働く道を切り開こうともしている。仮想住民は、国民と同様法人を設立したり銀行口座を開設したりできるでき、すでに165か国から5万人が登録、6600社が設立されたそうだ。日本からも2500人が登録されており、実際にブロックチェーン技術関係で起業した人もいる。

先月退任された、経済同友化の小林代表幹事は、中国や米国でIT企業が急成長し日本はデジタル化に遅れた現実に「日本人はゆでガエル」と表現し、成功体験からの脱却を唱えた。「カエルがぬるま湯から逃げだすように、経営者はヘビになるべきだ」と呼びかけている。
今朝の日経にも、日本に不足するイノベーションの活力を指摘している(3面新時代の日本へ)。
エストニアも少子高齢化問題に直面している。しかし、世界の優秀な人材を活用し、GDPは飛躍的に伸びている。日本もこの小国に学ぶべき点が多いと思われる。

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