ともかく劇的、感動的な日本ハムの日本シリーズ制覇だった。広島も、最後の最後まであきらめない戦いでセリーグを制覇したが、日本ハムの力が上回った形だ。その強さの秘密が今朝の朝日新聞“若い力育ちV”とのタイトルの記事で分かったような気がした。
日ハムの主力には高校から入団した選手が多い。西川、中島、中田、陽、大谷、近藤たちだ。球団は他の球団のようにFAに頼らず、中心選手は自前で育てるのが基本方針だそうだ。確かに金にものを言わせて他の球団の4番をかっさらう球団とは違う。日ハムの自前の育成方法が特徴のようだ。高校からの入団は5年、高校・社会人は2年が育成期間となり、その間は2軍の練習施設に併設した「勇翔寮」への入寮が義務らしい。そして最初の休日には決まりがあり、本を買いにくのだそうだ。そして朝食後の10分間が読書タイム。高校教師から転身し寮の教官となったのが本村幸雄選手教育ディレクター。「プロで成功するために、いろんな考えを身につけるのが大事で、手っ取り早いのが読書」と言う。選手は毎日日誌を付け、自分と向き合う。シーズン中は2度、長期目標管理シートに記入し人の目につくロッカールームにも貼る。人に見られることで目標達成への責任感を持たせプロの自覚を促す。年4度外部講師(為末大など)を招いての講義もあり、その際は感想文の提出が義務つけられる。
支配下登録選手の数(今季65人)は12球団で最少だ(育成選手はいない)。少数精鋭だと出場機会が増え、実戦で鍛えられるとの発想だ。「常に全力」「最後まで諦めるな」とのスルーがんも自然発生的にスローガンになり、あらゆるところに貼り出されているそうだ。「高校生から育てると球団の一貫した方針や文化を継承できる」と大淵スカウトディレクターは言う。シーズンの11.5差を覆したのも、日本シリーズで2連敗の劣勢を覆したのも育成力の差なのだろう、と記事は締めくくっている。
プロに入る選手は、高校・大学などで周囲からちやほやされ、天狗になっている選手も多いのではなかろうか。プロに入って、成績が残せなくなり、人生を狂わせる選手も多いと思われる。そんな中で、組織として、少数精鋭の自前主義で、入団した選手を育てなければ球団の明日はないとの姿勢には共感を覚える。企業でも、中途採用を控え、採用した新人の育成に注力する企業に優秀な人が集まり、良き企業文化・風土の形成・徹底ができているように思うがいかがだろうか?