以前当ブログで紹介(http://jasipa.jp/blog-entry/7238)した「小布施」の酒屋(枡一市村酒造)を立て直し、小布施を元気にしたセーラ・マリ・カミングスさんが、服部栄養専門学校校長の服部幸應氏との対談記事で「致知2013/11号」に登場している。テーマは「食で開く日本の未来」だ。
日本に来てから22年(現在45歳)。2004年に株式会社文化事業部を設立。そのホームページに下記のような文章がある(http://www.bunji.jp/)。
“”土壁、瓦、茅葺き、木造……。日本の村や町には、風土を生かしたすばらしい職人の技術と、その技術に支えられた人々の暮らしと文化がありました。その、なつかしい風景が次々と姿を消していく今。ともし火が消えてしまう前にできることをしよう。そう考えて2004年に「(株)文化事業部」と、「(株)修景事業」を立ち上げました。「(株)文化事業部」はアタマとカラダを使って暮らしと文化を考える会社。「(株)修景事業」は古民家・町並みの再生を中心にした職人技術を継承する会社。
対談記事の中でも、カミングス氏は「長野オリンピックの前の信州では、ものすごいスピードで道が拡幅されたり、何百年も生きてきた素敵な松が伐採されたり、素敵な蔵が半日で撤去されるのを見て本当に泣いて泣いて・・・。これまでに出合った素敵な日本がなくなってしまうのは、これからの日本の人にとっても大きな損失だと思う。(中略)日本の伝統文化が一番凝縮されているのは農村なんです。せめて自分達に身近な小さな山、小さな環境にあるカエルが帰ってくる小池、これを守ることから始めたいと思うんです。農業や食を通じて「心の帰りたい場所」を実現したい。」と。
服部氏は「日本人が忘れ、廃れていくものをもう一度見直して、光を当てる役割を見事に果たしてくださっています。小布施の文化と環境を甦らせて、地域の方々の「帰る場所」を取り戻されたのですから」と褒めたたえている。カミングス氏は、ウィークエンド・ファーマーとして、2㌶ぐらいの土地に野菜を作ったり、リンゴやハーブやベリーをつくったり、名古屋コーチンも飼っている。いずれは牛やヤギも飼いたいと言う。「食育」を主張され、行動されている服部氏は、農業人口の激減と高齢化、そして自給率の低下の問題を挙げる。今何らかの対策をしないと農業技術の継承も出来ず、自給率の低下を招き、食の安全を脅かすと警告する。
我々日本人自身が日本の良さを、あらためて見直し、それを守っていく気概を持たねばと強く思う。日本の良さを実感するための旅、そんな旅をしたいと思う。
セーラさんは小布施から出て行かれたようです。ほとんど解雇同然の形だそうですが、実態はずいぶん違ったようです。トリックスターにしては長持ちしたほうじゃないでしょうか。