営業に魔法の杖はない


標記タイトルの記事が「致知2013.2号」に掲載されている。副題は「伝説のセールスマンへの道」で、日本一のBMWを売った(約2400台)飯尾昭夫氏へのインタビュー記事だ。飯尾氏は「なぜ、私はBMWを3日に1台売ることができたのか」(ダイヤモンド社2012.3)の本も出版されている。

大学を出てすぐ丸紅モータースに入社。同期16人の中でただ一人7か月目でやっと1台売れた屈辱を味わった飯尾氏。その後は新人賞をとり2年目にはトップ営業マンになっていた。10年後にBMWジャパンから誘いを受け転職。年間100台以上を売り上げトップセールスになり、今は営業マンの指導に当たられている。飯尾氏の言葉を紹介する。

結果を出す人、出せない人

売れない営業マンは「車が欲しい」「買い換えたい」など、売上に直結する事にはすっ飛んでいくが、それ以外の要望については優先順位を一番下にしている。一方売れる営業マンは些細なことや、煩わしいことでも、お客様の要望にすぐ応える。即やる。最初は労だけ残って、益はないんですけど、それが積み重なってお客様から評価を頂ける。「あの時、ちゃんとやってくれたから、あいつから買おう」と。お客様から選ばれる営業マンにならなければ物は売れないんです。

「売れない自分」こそ自分の原点

トップセールスを競っている人ほど、入社時にゼロセールスのつらい経験をしている人が多かった。実際、入社してすぐ売れた同期たちは2年目の春過ぎからどんどん辞めていき、結局残ったのは16人中たったの4人でした。苦労を乗り越えた先に喜びがある。この「売れない自分」は私の営業人生の原点です。7カ月のゼロセールスを経験したことで、一人一人のお客様の大切さ、本気で仕事に取り組むことの大切さを学ぶことが出来ました。

売ろうとしたら売れない

お客様がお話しすることをともかく一生懸命聴きました。お客様はみんな凄い人だと思える気持ちがあるので、売ることよりも目の前のお客様に興味があったんです。ですから、お客様と2時間話して買っていただけなくてもそれでいいと思っていました。そこは私にとって一番大事なところで、接客は売ろうとして売れるものではなく、無心になった時に売れるものだと気付いたのです。(中略)まずお客様が時間を作って下さったことに対して感謝の気持ちを伝え、とにかくお客様といろんな話をしながら自由時間を楽しむ。こちらが余裕を持っていると、会話の中でお客様が先に本音を言ってくれるんですね。本音が聴けた時に初めてこちらは動けるわけなので、お客様から「この車はどんな感じですか」と聞かれるまで、自分から商品の説明はしませんでした。

人間として一級品になる

なにがあっても自分の責任なのです。そういう意味では新渡戸稲造の「武士道」などは非常に精神的な支えとなりました。(中略)謙虚な自分をいつも見つめていないといい仕事はできません。人間はちょっといいことがあったり、成功すると傲慢になってしまうんですが、そうではないと自分で自分を戒める気持ちがないと、その先の成功はないと思いますね。営業にはこうやれば絶対に売れるという「魔法の杖」はありません。すべては自分の努力次第です。ある人に「人間は一級品にならないといけない」と言われたことがありますが、売り上げトップだけではなく、人間として一級品にならなければと感じています。

他にも、常に危機感の中に自分を置くことも重要だと言われている。非常に分かりやすく、誰もが納得できる話と思えるが、ノルマを持っていると、ついつい「売ろう、売ろう」と言う気が先走り、それがお客様を遠ざけていることに気付かないことが往々にしてあるのではないだろうか。これまでにも、トップセールスの方の話を紹介してきた(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/category/%E5%96%B6%E6%A5%AD%E3%83%8E%E3%82%A6%E3%83%8F%E3%82%A6)が、ぜひとも参考にしながら研鑽してほしい。

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