5年前、参院選で大敗後、突然政権を投げ出した当時の安倍首相。この事がどうしても頭から離れず、今回の自民党総裁選での安倍総裁誕生のニュースに複雑な気持ちを禁じ得ない。今朝の朝日新聞によると、潰瘍性大腸炎(その後専門医の学会法や患者会の会合などで明かした)という難病で激しい腹痛や下痢、下血などを引き起こす病気だそうだ。が当時は病名も明かさず、自分の判断で一国の総理という重責を辞任し、政権を無責任な形で投げ出したと受け取られた。表面上は、インド洋の自衛隊による給油延長法案が、小沢一郎氏の反対で思うように進まず「力強く政策をすることができなくなった」と突然辞任を表明したが実際は持病の悪化だった。
今回の総裁選でも「新薬の開発で今は万全の体だ」と自分で釈明しているが、いずれは日本国の総理になる可能性がある自民党総裁である。自らの気概だけでは、再発してまた途中で政権を投げ出すのではとの危惧を払しょくすることは出来ない。民間企業でも、次期社長を選ぶ際は、万が一でも途中で健康問題で責務を果たせなくなった場合の影響を考え、健康には十二分に配慮している。ほんとに大丈夫なら、その根拠を丁寧に説明し、国民を納得させることが必要と思うが・・・。自民党国会議員には詳細に説明し、納得しているが故に総裁に選ばれたのだろうか?
総裁選決選投票で逆転勝利は56年ぶりと言う。本命と言われていた岸信介氏との争いで、1回目は2位だったが、2.3位連合で決選投票で勝利したのは石橋湛山氏。その石橋首相は、内閣発足直後に全国10ヵ所を9日間でまわるという遊説行脚を敢行、自らの信念を語るとともに有権者の意見を積極的に聞いてまわったが、帰京した直後に自宅の風呂場で倒れる。軽い脳梗塞だったが、報道には「遊説中にひいた風邪をこじらせて肺炎を起こした上に、脳梗塞の兆候もある」と発表した。その際は、2ヵ月の絶対安静が必要との医師の診断を受け、石橋氏は「私の政治的良心に従う」と潔く退陣した。首相在任85日だった。
ともかく、総裁に選ばれた安倍さんは、「日本を取り戻す」「強い日本創り」のスローガンの実行に向けて、過去の挫折の経験をバネに是非とも頑張って頂きたい。