“イクボス”って言葉、聞いたことありますか?“イクメン”は、育児にも積極的に関わるパパ、“イクジィ”は、孫育てに積極的なおじいさん、そして“イクボス”は、育児・介護など、部下の私生活を応援しながら、業績もきっちりと上げるという、『理想のボス』だそうだ。6月16日のNHKクローズアップ現代で「人生多様化時代。変わる理想の上司像」とのテーマで”イクボス“を話題にした。番組の趣旨を下記する(NHKのインターネット記事より)。
育児や介護などを抱える社員、定年延長による高齢社員、そして若い男性社員の価値観の変化。働き方に制約のある社員が増加する中、彼らにどう接し、会社の業績に貢献させたらよいのか、現場の戸惑いが増している。カギとなるのが、管理職や経営層などの上司、いわゆる「ボス」の手腕だ。社員の個々の事情を配慮しつつも、重要な戦力として、その能力を発揮して活躍してもらうという、「優しく、そして厳しい管理職」の育成が企業の急務となっている。そうした理想の上司を「イクボス=部下のプライベートに理解と配慮のある上司」と名づけ、「イクボス養成塾」なるセミナーなどの取り組みも始まっている。人材が多様化する時代に求められるボスとはどんなボスなのか。その高度なマネジメント術は如何なるものか。「働きやすく働きがいのある」職場に必要なヒントを探る。
具体的にイクボスを育てる会社文化を作り成功している三つの事例を紹介している。三井物産ロジスティクス・パートナーズの代表取締役川島高之さん。33歳の時フルタイムで働く奥さんとの間に子どもが生まれ、働き方を変えた。その時から残業をやめるべく集中して働き、新しいボス像イメージを抱き続けた。そして社長になった今、「業績を上げることと、部下にも私生活があり、それを尊重することは部分的に相反する。でも両立は絶対出来るというか、両立したほうが仕事の成果も高まる。実感です、私の経験値。」とアニバーサリー休暇(家族の記念日休暇)、ボランティア休暇などの制度を充実させ、”イクボス“はほぼ定時に毎日退社する。それでも会社は成長を続けているそうだ。川島社長が心がけているのは”イクボスの成長“。どんな部下にも少し難しめの仕事を託し、成長を促す。
群馬県藤岡市の建設会社(高い技術力が評判のこの会社で、社員31人のうち3割が60歳以上。県から‘働きやすい企業’表彰も受けている)倭組専務取締役内田孝嗣さん。「安定した精神状態で日々を送ると、すべてにいい結果が出る。何よりも安全に仕事ができる。どこまで追求できるかという部分もあるが、頑張りたい。」と、社員の私生活上の問題をも把握するために部下との対話を心掛けている。ある社員は「孫育て休暇」で子ども夫婦共働きを支援する。急な休みが入った場合、社員同士でカバーしあうシフトの組み方を工夫している。
大日本印刷では、制度があっても、制度を利用した短時間勤務の社員には重要な仕事を任せられないとの風土があり、利用した社員のモラルダウンや離職を招いていた。その風土を変え、安心して子育てや介護が出来るよう、管理職の研修を充実させている。その成果は出始め、定期的に上司と部下との目標管理や、進捗上の課題などを話し合う場を持つと同時に、職場でお互いにカバーしあう環境が整いつつあるそうだ。そして子育て中の営業マンのパフォーマンスも向上した事例を紹介していた。
ゲスト佐藤博樹さん(東京大学社会科学研究所教授)は、「部下に意欲的に働いてもらう」のが管理職の仕事であると言う。今社員の3割が介護や、子育ての問題を抱えている状況にあるそうだが、今後その比率はますます増えること必至だ。労働人口が減る問題と相まって、社員の生産性、効率を如何に上げるかが今後ますます大きな課題となってくる。管理職の登用条件や評価基準の見直しなども行い、このような問題を全員で共有しながら会社の文化・風土を変えていくことが求められている。”イクメン“にかわって”イクボス“がこれからのキーワードだ。
わたしも昨年まで勤めていた会社では、早く帰ることに後ろめたさを感じるような風土がありました。時間をかけて働けばいいというものでもないのでしょうが、なんとなくそれが当たり前に感じておりました。
残業ゼロの話もしかり、これから社員がどのようにパフォーマンスを発揮できるようにするのか、大きく変わっていくように感じます。