ベルギー・オランダ旅行~その4~世界遺産都市巡り

次に紹介するのは、運河が縦横無尽に通った運河と橋の街で、“北のベネチア”、”水の都“、”屋根のない美術館“とも言われる人気の観光地、ベルギーのブルージュ。まずは、中世ヨーロッパのかわいらしい街並みが堪能できる世界遺産「ブルージュ歴史地区」を紹介する。歴史地区の中に、世界遺産「フランドル地方のベギン会修道院」と先に紹介した「ベルギーとフランスの鐘楼群」の一部がある。街を縦横に運河が流れ、50以上の橋がかかる(ブリュージュとは橋の意)。当初予定になかった運河クルーズの最終便に現地ガイドのお陰で乗船できた。街のシンボル鐘楼や聖母教会があちこちで見える。両岸に立つ中世の建物も風情がある。豪商の建物が多いそうだが、今はホテルやレストランとなっているそうだ。

船を降りて、世界遺産のベギン会修道院を経ながら鐘楼のあるマルクト広場に向かう。13~15世紀頃建てられたブルージュで最も高い122mの“聖母教会(内部にミケランジェロの聖母子像がある)。聖ヨハネ病院を経てベギン修道院へ。広場には水仙の花が見事に咲き誇っている。その後方の白い建物がベギン修道院だ。修道院に面して”愛の湖“があり、そこには多くの白鳥が戯れている。この湖にはミンナと言う美しい娘の悲恋、悲劇の話があるそうだ。白鳥にも意味があるという。近くにブルゴーニュ公国最後の君主だった絶世の美女マリーが眠るノートルダム教会もある。マルクト広場に向かう街並みも中世の雰囲気を残した建造物が多い。マルクト広場には紹介済みの鐘楼や西フランドル州庁舎がある。少し行くと市庁舎もある。

いよいよオランダだ。まずは首都アムステルダムを紹介する。「アムステル川に築かれたダム(堤防)」という名の通り、160本以上の運河と1500以上の橋をもつ(中央駅を中心に扇状に広がる運河)。一番外側のシンゲル運河内の街の歴史的建造物などが世界遺産だ。16世紀ごろから貿易業が盛んになり、17世紀にオランダ東インド会社の本拠地が置かれたころには、世界貿易の中心として栄えた。まずは、運河クルーズで船から街並みを見ることにした。中央駅の近くから出発。運河の岸辺に住むボートハウス(水上居住者住居)が目につく。もともと住宅地が少ないための窮余の策だったらしいが、今では上下水道・電気などもつながり、バスタブも完備し、デッキで優雅に過ごしている人たちが多いそうだ。立派なホテルもある。運河に2500軒もあるという。次の写真はアムステル川にかかる“マヘレの跳ね橋”。岸辺の建物は、中世の豪商の建物が多く、いまだに立派な姿を見せている。

街散策に戻る。1889年に開業された赤レンガ造りの美しい“中央駅”は東京駅丸の内駅舎のモデルになったことでも有名。アムステルダムの地名の由来にもなっている、“ダム広場”は、1270年頃、アムステル川にダムが築かれたのが始まりだ。第二次世界大戦の慰霊塔が立っている。広場の西側には市役所として建てられた”王宮“がある。運河沿いに歩いていると、斜めになった建造物に時々出会う。埋立地故、傾いているそうだ。ハウステンポスにあるヨーロッパホテルの原形もある。レンブラント公園には、彼の代表作のひとつ「夜警」(1642年作)をそのまま銅像で表現してある実物大の群像がある。中央駅近くには、プロテスタントの多いオランダでは珍しいカトリックの”聖ニコラス教会“がる。オランダは自転車天国。自転車専用道路(オートバイも走る)をわが物顔にすごい速さで駆け抜ける。ガイドさんも何度も注意を呼び掛ける。

ベルギー・オランダ旅行~その3~世界遺産都市巡り

次に紹介するのは、鐘楼以外の世界遺産を持つ都市だ。
まずは、ベルギーのど真ん中に位置するブリュッセル。 “グラン・プラス(grand place)”は、主として17世紀の歴史的建造物群(ギルドハウス、市庁舎、王の家、ブラバン公の館)に囲まれ、世界遺産に指定されている。ヴィクトール・ユーゴーが“世界で最も美しい広場”、ジャン・コクトーが“豊饒なる劇場”と称賛した世界で最も美しい広場のひとつだそうだ。
市庁舎は15世紀に建てられた高さ96mを誇るゴシック建築で、グラン・プラスのシンボルだ。尖塔の上の大天使ミカエル(フランス、モンサンミッシェルの天使と同じ)がブリュッセルの守護天使として街を見下ろしている。市庁舎の反対側に立つ重厚な建物は”王の家“。15世紀にブラバント公の行政庁が置かれ、これを理由に人々は“公の家”と呼び始めた。 その後、公がスペイン王になると“王の家”と呼ぶようになった。現在市立私立博物館で小便小僧の衣装コレクションも飾られているそうだ。広場の北側には18世紀ビール醸造所だった建物で、現在はビール博物館のギルドハウスがある。次は“ブラバン公の館”。正面にはブラバン侯爵歴代19人の像が並んでいて、金箔があしらわれた豪華な装飾がされている。現在はレストランやホテルとなっている。

すぐ近くに男性の横たわった金のブロンズ像がある。14世紀フランドル公に乗っ取られそうになったブリュッセルをもとのブラバン公に戻した立役者セルクラースの像だ。触ると幸せになると言われ、像の全身がピカピカだ。その先に行くと”小便小僧“の像に人だかりだ。ちなみに別の場所に”小便少女”もあるのには驚いた。

次に紹介するのは、ベルギー北部地方にあるアントワープ。ヨーロッパ第2の港を持ち、賑やかで活気溢れる工業都市で「フランダースの犬」の舞台、画家ルーベンスの故郷としても有名だ。はじめに紹介するのは「聖母大聖堂(ノートルダム大寺院)」。毎時、高さ123mの優美な鐘楼から美しい鐘の音色を響かせる、アントワープのランドマーク的存在の大聖堂。白を基調とした女性的な美しさの聖堂内には、「フランダースの犬」の少年ネロが憧れてやまなかったバロックの巨匠ルーベンスの祭壇画が複数奉られている。中でも特に注目したいのが、中央祭壇に掲げられた「聖母被昇天」と、左右の翼廊に飾られた「キリストの昇架」「キリストの降架」の連作だ。ステンドグラス、柏の木でできたバロック風の”真実の説経台“(ベルギーでは多くの教会に立派な説経台がある)、そして阪神大震災で神戸の教会にレプリカが送られた”アントワープの聖母“の木像がある。

アントワープの名前の由来が語られる像が、市庁舎が面するグローテ・マルクト広場にある。市庁舎は1561年から1565年にかけて建設され、ベルギー国内で最大のルネサンス建築だ。その前に立つ古代ローマの兵士ブラボー(ブラバント)の像。ブラボーは、その昔、町を救ったとされる人物で、街の近くで猛威を奮っていた“巨人の手ant”を切り取って“投げたwerpen”という伝説があり、「アントワープAntwerpen」という町の名前は、この伝説に由来しているといわれている。

次に紹介するのは、ゲント。ブリュッセルの西北に位置するベルギー有数の古都で、12世紀からフランダース州の州都として栄えた街だ。街を歩くと、教会やギルトハウスなど中世の多くの建造物に出会う。“聖バーフ大聖堂”は、ベルギー7大秘宝の一つである「神秘の子羊」(15世紀に描かれたファン・エイク兄弟による祭壇画)がある。聖堂内の一角に飾られているが、その一角に入るのも有料、撮影も禁止だ。イエスを象徴する子羊の周囲に聖書の中の登場人物が緻密に描かれた大作だ。近くに”市庁舎“、”聖ニコラス教会“がある。

一番のビューポイントは、レイエ河の両岸に並ぶ壮麗な表飾りが施されたギルドハウスが立ち並び(真ん中のピンクの建物がマリオットホテル)、中世のゲントの栄光を感じる“コーレンレイ(西側)、グラスレイ(東岸)”だ。レイエ河にかかる聖ミハエル橋から見たレイエ河の両岸だ。岸から見た聖ミハエル橋で、その奥に聖ミハエル教会が見える。

ベルギー・オランダ旅行~その2~世界遺産”ベルギー鐘楼群”

今回は“世界遺産”の中でも特徴的な鐘楼群をテーマとして紹介する。ヨーロッパの旅では、中世の街並みが一様にすばらしく、旧市街の中心には大きな広場(マルクト広場)があり、すばらしい教会があり、市庁舎がある。今回の旅で特徴的なのは、その広場に鐘楼があることだ(北ヨーロッパに多いそうだ)。市庁舎の塔であったり、教会の鐘楼であったりするが、旧市街で一番高い建物としてたいていは上まで登れて、旧市街の町並みを一望することができる。フランスとベルギーにまたがる世界遺産「ベルギーとフランスの鐘楼群」は、まず1999年にベルギーのフランドル地方(北部オランダ語圏)とワロン地方(南部フランス語圏)にある32の鐘楼が登録され、2005年にフランスの22の鐘楼群と、ベルギーの鐘楼1つが追加登録された。鐘楼にはいくつかの鐘を組み合わせて音楽を奏でる“カリヨン”と言う機構がある。定期的(15分間隔など)にその音楽がカリヨン奏者によって奏でられ、市民を憩わせている。北ヨーロッパでは都市の権力の象徴として、自由の象徴として鐘楼の建設が重要視されてきた。世界遺産登録されたこれらの鐘楼は、11~17世紀にかけて建設されたものだ。

鐘楼で最も有名なのがブルージュのものだ。美しい運河の街ブルージュのシンボルでもある旧市街のマルクト広場に建つ鐘楼だ。15世紀に完成した高さ83mの鐘楼のてっぺんには47個のカリヨン(組み鐘)があり、その音色の美しさはヨーロッパ随一ともいわれている。366段の螺旋階段を登るとブルージュの歴史地区が一望らしいが、時間もなくあきらめた。マルクト広場を囲んで西フランダース州庁舎、歴史博物館、そしてギルドハウス(同業者組合の階段状の破風建物で今はレストランやカフェ)が並んでいる。これも世界遺産だ。

ベルギーの首都ブリュッセルから北へ約27kmの場所にあるメッヘレンは、カリヨンとタペストリーの町として有名だ。メッヘレンの中心にあり、街のシンボル的存在が聖ロンバウツ大聖堂だ。聖ロンバウツ聖堂の鐘楼は、高さ97mあり、街のどこからでも見ることができます。鐘楼には、49個の鐘からなるカリヨンが2組みあり、「ベルギーとフランスの鐘楼群」の中でブルージュとともに有名だ。市庁舎の鐘楼も世界遺産だ。16世紀初め統治者がオーストリアのマルガレータ王の時にネーデルランド(現在のオランダとベルギー)の首都として政治、経済、文化の中心を担ったことで、メッヘレンがいまもカリヨンの音色が響く、美しい町として残されたと言われている。町の中心グロートマルクト広場に「マルガレータ」の像が立っている。聖ロンバーツ大聖堂は、ヴァン・ダイクの祭壇画「十字架のキリスト」が飾られている。

次の鐘楼世界遺産はゲント。13世紀末にギルドによって建てられた高さ91mの鐘突き塔。塔の頂上にはゲントを見守る黄金の竜が取り付けられています。鐘楼の下には、15世紀に建造された毛織物商人たちの会議場やラシャの取引所として使用された建物が建ち、「繊維ホール」と呼ばれている。どちらも、中世後期に羊毛産業で栄えたゲントの繁栄ぶりを今に伝えている。


アントワープの”ノートルダム大聖堂“と”市庁舎“も鐘楼群の世界遺産となっているが、これは後に詳しく紹介する。

冲中一郎