強みこそ伸ばせ!(ドラッカー)

企業、個人の強みの把握の重要性について先日当ブログに書いた(http://jasipa.jp/blog-entry/9085)。昨日の致知出版社のFBに下記のようなドラッカーの言葉が紹介されていた(『致知』2011年2月号特集「立志照隅」より)。

「強み」によって報酬を手にする。
弱みによってではない。
最初に問うべきは
我々の「強み」は何かである

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長とホンダで大ヒット車シビックやアコードに加えアコード、オデッセイなどのデザインを手がけられ現在多摩美術大学名誉教授の岩倉信弥氏の対談記事「ドラッカーと本田宗一郎二人の巨人に学ぶもの」の中で柳井氏が紹介したドラッカーの言葉だ。その記事を読み直した。

山口県の田舎町で創業したユニクロが、今や全世界に進出し名実ともにグローバル企業となったことに絡めて「人間でも企業でもそうだと思うんですが、弱い点よりも、強い点をより強くすることが大切で、その強いところを生かしていく。世界で評価されるのは、やっぱり強い点ですよね。だから我々の強み、あるいは日本や日本企業の強みはどこにあって、どうしたら世界中の人々に理解してもらえるかを、日本人や日本の企業は考えなくてはいけないと思うんです」と語っている。

それに呼応して岩倉氏が「柳井さんを見ていて思い出されるのは、空海の生き方です。空海が自分の生まれた讃岐から出家、つまり家と言う暖かい場所から出る。その次に目論んだのは「出国家」で、今度は自分のいる国を出ようとした。そうやって今いる所を出ることによって、外から自分のいる場所を見ることが出来なければ、井の中の蛙になってしまうと思うんです」と。

「強み」を把握する、「強み」を見出すことは、企業にとっても、個人にとっても必要なこと。そのためには、井の中の蛙にならないよう、積極的に外の世界を知る努力をしなければ「強み」は分からない。

日頃からコミュニケーション力を磨こう!

今朝の日経の「おわびはチャンス」(27面キャリアアップページ)の記事に目が止まった。お客さまや上司との間でのトラブルが起こった時の対処方法について書いている。目白大学の渋谷昌三教授(「謝罪の技術」の著書あり)の話を取りまとめている。話の聞き方、仕方によって、おわびをきっかけに打ち解けることも可能で、人との絆を深めることにもなると言う(プロジェクトをバーストさせたのに、その火消方法をお客様の信頼を得るチャンスとする論理を思い出す)。

おわびに向けた基本スキルとして、アメリカの経営学者シュトルツ氏が提唱する「LEAD法」を紹介している。

  • L(Listen傾聴):相手の話をじっくり聞きながら原因を見つける
  • E(explore探求):相手の話を基に、失敗の原因などについて掘り下げて考える
  • A(analyze分析):掘り下げた問題点を基に、どう対処すべきかをじっくり検討する
  • D(DO実行):じっくり検討した対応策を実行に移す

最初の段階(L)で、相手の怒りの原因をじっくり聞きだすことが肝要で、反論するのはもってのほか。解決策を提示する際は、きちんと責任を負う姿勢で話す。「~と見られます」のような表現は無責任な印象を与える。「私は~と考えています」「~するようにします」の表現が望ましい。敬語にも注意すべきと言うのはNHL学園専任講師の山岸弘子氏。(普段の言葉→改まり語)の例として(今日→本日)、(多分→恐らく)、(忘れる→失念する)、(本当に→まことに)、(すぐに→早急に)などを挙げている。

コミュニケーションは相手があっての事だ。昨夜テレビのニュースで「おれ、おれ詐欺」対策をやっていた。信金に多額の金を引き出しに来た老人に、「詐欺ではないか」の確認をする訓練を紹介していたが、息子がヤバイと信じこんでいる老人への声のかけ方で、「詐欺では?」と言うと、却って感情を害し、頑固になってしまうとアドバイス役の警察官が言っていた。やんわりと、「急ぐんですか?」とか、「何に使われるんですか?」とか老人の気持ちをやわらげなら自分で気付くように持って行く。難しいが、そうしなければ目的を果たせない。

コミュニケーション力と言う意味では、「聞く力(阿川佐和子著、文芸春秋)」、「伝える力(池上彰著、PHPビジネス新書)」など人気新書がある。コミュニケーション力を大事だと思っている人は、「聞く力」を重視する。IT業界もサービス業。お客さまからの信頼を獲得するためにも、日頃からコミュニケーション力を意識して磨くことをお奨めしたい。

12年連続顧客満足度ナンバーワンに輝く経営とは(ネッツトヨタ南国)

全国のトヨタ販売会社の中でのことだが、「四国の1販売会社が12年連続名誉ある地位を継続できる経営とは」何だろうか?創業者の横田英毅氏が「会社の目的は利益じゃない~誰もやらない“いちばん大切なことを大切にする経営”とは~」(あさ出版、2013.7.31)でその真髄を語る。

横田氏は、手っ取り早く量を求める手法よりは「質の良い会社を作って、その結果として量を増やしていく」ことが経営の在り方だと言う。特に中小企業は量を求めるより、質をまず高める経営をすすめる。そして、「一番大切なこと」を大切にすることと言う。「自分の一番大切なものを、どのように大切にしていますか?」に答えられる人は少ないのではと言う。大切とは思いながら具体的な行動を起こしていない。

それでは「大切なもの」とは何か?売り上げや、利益やシェアだろうか?多くの会社にとって一番大切なものは、経営理念に記されていることを実現することの筈だと言う。各社の企業理念には、「お客様のため」、「社員の幸福のため」、「地域社会のため」、などと書かれている。それをやればいいのだが、そうではないのが一般的ではないだろうか。横田氏が創業したネッツトヨタ南国では、「全社員を勝利者にする」ことの実現に向け、会社のすべての施策を考え実行していると言う。

会社のすべては、人が生み出す。人の質が、会社の質だ。経営者は社員全員が「自分は何のために働くのか」と言う目的(仕事を通じて自分を成長させる、まわりに認められて信頼される、社会や人々の役に立つ、など)を持ち、「この会社で一生懸命働くことが一番」と思ってくれるような会社にすればいい。人の「質」が大事だから創業当時から採用には力を入れている。1回5時間の面談を、3ヵ月の間に6回ほど実施。毎回違う社員が面談し、「人柄」「適正」「価値観」で判断し、一緒に働きたい人物か否か皆で考えるようにしている(中小企業だから出来る?)。

社員がやりがいを持って仕事が出来、それでお客さまに満足、感動して頂き、その姿を見てさらに働く意欲が出てくる、結果として業績もよくなる。そうした仕組みや循環を作ることこそ、大切だと横田氏は言う。12年連続で顧客満足度ナンバーワンを達成した方の経営論だから迫力がある。

退職してから、いろんな方の話を聞いたり、本を読んだりしているが、やはり「人を大事にする経営」が会社を発展させ、社員、お客さまを幸せに導くことになるとの信念がますます強固なものになってきた。今になって考えると、現役時代、やり残したことも多いが、これからも、いろんな事例をブログや講演を通じて、伝えていきたい。