人間学を学ぶ月刊誌「致知(2011.8)」より。
秋田県の西北、白神山地の麓に位置する八峰町。2008年12月に、その年に実施された全国学力テストの成績が公表されました。秋田県は小学6年、中学3年の成績が共にトップクラスで、人口約9000人の八峰町の小学6年が学力日本一。以来、日本のみならず海外からも取材や視察が後を絶たず、今も続いており500件を超えているそうだ。
学習塾もない辺境の小さな町がなぜ日本一になれたのか?町の教育長は、特別な事は何もなく、当たり前のjことを当たり前にやってきただけと答えるしかないと言われるのですが、授業の様子を見学された方々は一様に、教師や子どもたちの目の輝きに驚かれるそうだ。教育長曰く、「私たちの町には一つの自慢があります。地域の人間関係がとても良いのです。三世代同居の家庭が多く、お年寄りは子どもを、子どもはお年寄を大切にする気風が根付いています。それに学校や教師への信頼が厚く、新聞で目にする給食費未納問題や、モンスターペアレンツも不登校もゼロです。」と。
町内の小学校・中学校の教師が自主的に交流し同じ課題に取り組んだり、教職員OBの学校活動への参画など、いろんな施策と相まっての結果と思いますが、3世代同居で、お互いを敬う、大切にするとの気風は、昔の田舎では通常見られた光景です。
今、都会ではどうでしょう。子どもを育てるのは母親(父親はめったに会えないため甘やかす?)のみで、子どもは地域の人から温かい声を掛けられることはあるでしょうか?おばあさん、お祖父さんから教えを授かることはあるでしょうか?子どもは多くの人からの愛を感じることが出来るでしょうか?
震災で地域の絆、家族の絆が復活したと言われています。元アサヒビール社長の中條高徳氏は言う。
「豊かになるとともに我が民族にはびこっていた絆の乱れ、個の主張の虜になって無縁社会が到来し始めていた。この大きな災難(東日本大震災)がその生きざまの綻びを気付かせてくれた。所詮、人間は一人では生きられないという「生きる理(ことわり)」を教えてくれたのだ。」
八峰町の事例は、まさに家族、地域、学校の絆が、学生をも育てることを実証している。