「組織・風土改革2011」カテゴリーアーカイブ

高校球児に教わること

この春は東海大相模の打力が爆発し危なげなく優勝しました。この春は大震災の後ということもあり、いつもと違う雰囲気の中(鳴り物禁止、選手もホームラン打ってもガッツポーズはしないなど)でしたが、いろんな話題がありました。

創部1年で全員2年生の創志学園(岡山)の野山主将の選手宣誓は、被災者はじめ多くの人に感動や元気を与えました。

1回戦で横浜高校を破った波佐見高校(長崎)は2009年春優勝した清峰高校に勝つためにノーサイン野球で選手の自立性を育てた。(清峰高校監督と親しいある社長にこの話をしたら、伝えると言われていました)

昨年春夏連覇の興南高校(沖縄)の監督も、勝つ事よりも自分で考える、人としてのあるべき姿を徹底的に教え込んだ。

若い人たちが立派な指導者のもとで人間力を育んでいる姿を実際に見ると、頼もしさを感ずると同時に、彼らが社会人になってからももっと成長出来るよう、我々の責任の重さを痛感する。

まず、創志学園野山主将の選手宣誓文を挙げる。

「宣誓。私たちは16年前、阪神大震災の年に生まれました。いま、東日本大震災で多くの尊い命が奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいです。被災地ではすべての方々が一丸となり、仲間とともに頑張っておられます。人は仲間に支えられ、大きな困難を乗りきることができると信じています。私たちに今できること。それはこの大会を精いっぱい元気を出して戦うことです。「がんばろう!日本」。生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。」野山主将のもとに被災者などからおびただしい数の御礼の葉書が来るそうです

次に興南高校野球部の話です(「致知2010.12」より)。

人間学を学ぶ月刊誌「致知」12月号に高校野球春夏連覇の興南高校我喜屋監督と高校ラグビーの大会ここ数年敵なしの東福岡高校の谷崎監督の対談がありました。興南高校は、試合中にガッツポーズをしない、全力疾走、内外野におけるカバー体制の完全さが他と比しての特徴と言われる。なぜこのようなことが他校と比して出来るのだろうか?勝つことを第一義の目的にするのではなく、人としてのあるべき姿を学び、「小事大事」、「利他無私」を教える。その結果が勝ちにつながる。

興味を持ったのは「1分間スピーチ」。就寝、起床など24時間の生活を徹底的に見直し、6時起床、15分間で洗顔、トイレをすませ、駐車場に集合。その後、全員ばらばらで散歩させる。そして全員、散歩の間五感を全部働かせ、見て、聞いて、嗅いで、何かを感じて戻ってきて、それを1分間でスピーチする。自分のことしか考えないようではスピーチにならない。これを続けていくとだんだんチームのためになることを言うようになるとのこと。何かを感ずるためには、自分以外に関心を持つことが必要になる。我喜屋監督いわく「我利我利君」ではなく「利他無私君」にならないとダメ。野球は瞬間を争う競技のため、自分で考え行動することが重要で、本試合ではタイムもほとんど取らないそうです。ガッツポーズをするくらいなら、その時間は周りを見渡して次の行動を考えろ、全力疾走して次の行動を考えろ、球がライトに飛んできたら中堅手がすばやくカバーに廻るのは次を考えた結果だと。「個人の存在を認める」「選手の個性を伸ばす」、そして、試合の反省会では、皆で評価し合い、お互いを認め合う。監督の思うように皆を従わせることでは、変化への対応が出来ない。まさに社会人としても良く言われる「指示待ち」ではなく「自立精神」、指導者としては「ティーティング」ではなく「コーチング」の典型だと思います。

感謝・感激・感動は自分のことしか考えない独り芝居では絶対味わえない。他人との関係、自然との巡り合い、本との出会いなど、自分以外との出会いの中で味わえるもの。積極的に外に出よう!