「日本の課題2015」カテゴリーアーカイブ

痩せる女性、膨らむ危険~生まれる子にも影響~

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今朝の日経14面の記事のタイトルだ。昨年12月に私のブログ「お産を控えた女性はダイエットに注意せよ!」(http://okinaka.jasipa.jp/archives/2077)に早稲田大学福岡教授の話として警告を発した。今回の日経の記事も女性の痩せに対する警告記事だ。記事によると、BMI18.5未満で定義された”やせ女性“が最新の厚労省調査結果で過去最高になったとの事だ。痩せた本人も、日常的なだるさや体力低下を招き、若くして骨粗鬆リスクが高まるとの情報もある。

それにもまして、生まれる子への影響だ。上記ブログで、私の高校時代の友人早稲田大学福岡教授の懸念を紹介したが、この記事にも低体重児(2500グラム未満)出産の問題提起者として彼が登場している。「痩せた状態で妊娠し、低栄養が続くと、低出生体重児の生まれるリスクが増える」「低出生体重児の割合は、食料不足で栄養状態の悪かった第二次世界大戦直後より3割も多い」との彼の言葉を紹介している。記事の中の表には、専門家の話として、「出生体重の低下で発症リスクが高まる可能性が分かってきた主な病気」が挙げられている。虚血性心疾患、2型糖尿病、メタボリック症候群、脳梗塞、脂質異常症、神経発達異常などだ。厚労省は妊婦のエネルギー摂取量について、妊娠初期から末期にかけて通常時より50~450㌔カロリー増やすよう推奨しているが、実際の摂取量は普通の女性に必要なエネルギー量にも満たないそうだ。

「痩せの女性」過去最多の8人に一人(12%)との情報も、私のブログ(http://okinaka.jasipa.jp/archives/2100)で指摘した。

何度も同じことを言って申し訳ないが、福岡教授がもっとも心配しているのは、少子化問題以上に、生まれてくる子供達の健康問題だ。日本の将来、世界の将来を担う子供達が、健やかに育ち、日本のため、世界のために働いてくれることが最も重要なことではないだろうか。学生に対し弁当の詰め方を指導する千葉県立保健医療大学の林芙美講師は「長い目でみた健康維持の為、毎日の食事に注意してほしい」と助言している。

地球温暖化に対する大企業(製造業)の姿勢はこれでいいのか?

今年末にCOP21がパリで開かれ2020年以降の2020年以降の世界の気候変動・温暖化対策の大枠が合意される予定になっている。削減目標策定が遅れている日本もやっとエネルギー計画策定のための会議が始まった所だ。COP19開催直前の2013年10月に当ブログで「朝日環境フォーラム2013~美しい星 つながる未来~」(http://okinaka.jasipa.jp/archives/474)とのタイトルで温暖化に関する記事を書いた。その中で下記のようなメーッセージがある。

「朝日地球環境フォーラム2013」が9月30日~10月1日に開かれた。世界の専門家に交じって中田英寿氏もスペシャルトークを行っているが、私はビデオメッセージを寄せたカナダの日経4世セバン・カリス・スズキ氏の話に興味を持った。タイトルが「我が子のために世界を動かそう」。21年前の12歳の時にリオの地球サミットで演説し有名になった方らしい。昨年もリオでの「国連持続可能な開発会議」に参加されたそうだが、この20年いろんな会議に参加しているが、最近持続可能性に対する政治や社会の力が失われている感じを受けていると言う。彼女は言う。

「権力者の最重要課題は相変わらず経済成長だ。人類の存続を可能にしてきた地球環境のバランスを維持するために、今、何よりも必要なのは経済、社会的パラダイムシフトだ。子供に対する親の愛が社会を変える源泉になる。私たちが行動を起こさなければならない最大の道徳的責任は、子供の為、未来の為、愛の力を活用し、地球の現状に照らして自分の選択肢を決め、恩恵と責任をしっかり関連付けて考える社会に転換しなければならない」

と。彼女は、「政府のトップに任せていては世界は変わらない」と環境活動家として世界を駆け巡っている。

25日日経朝刊1面にひっそりと「再生エネ計画鈍化~企業、採算低下を懸念~」との記事に落胆した。再生エネルギーの発電能力(計画分も含め)の伸び率が2014年度末の28%に対し、2015年度は9%に鈍化すると言う(設備投資額は2014年度68%増だったのが2015年度は6%増)。企業投資の約9割を占める太陽光で買い取り価格の大幅な引き下げがあり、企業は採算性を慎重に見極めているとのことだ。同じく日経朝刊7面では、日本の製造業の国内外での温暖化ガス排出量は対前年0.3%増となっていると言う。日本政府はCOP21に向けて2020年以降の温暖化ガス削減目標の策定を急いでいるが、国全体の排出量の3割を占める製造業に対する調査では、2030年の排出削減目標(2005年比)を「10%減が妥当」とする回答が44%を占めたと言う。米国は既に26~28%削減を発表している。

コンシャスカンパニー(http://okinaka.jasipa.jp/archives/1718他)について以前紹介したが、企業に対する一般国民の信頼度が低いのは「ビジネスの究極の目的は、常に投資家にとっての利益を最大化すること」を唯一の重要目標として、反社会的な行動をも正当化しようとする行動を取るからとも言う。営利企業の目的は私たちの生活を向上させ、ステークホルダーにとっての価値を創りだすことだと紹介した。「採算性が悪い」と言って温暖化ガス削減目標を下げる企業経営者、あるいは政治家は地球の永続性に関して何を考えているのだろうか?日本だけではなく世界中が異常気象に見舞われている。

日本酒“獺祭”はかくして生まれた!

1月16日のブログ(http://okinaka.jasipa.jp/archives/2291)でも”獺祭”について触れた。その際、「致知2015.5」~焦点を決めて生きる~特集号の”獺祭“の記事を思い出し読み返してみた。旭酒造桜井博志社長へのインタビュー記事だ(「おいしい酒、味わう酒 その一点を求め続ける」)。

勘当同然で家を出て、石材の卸会社を起こしていた桜井氏が、親の急逝で社長を継いだのが40年前。岩国の山の中獺越村は人口減も激しく、そこにある旭酒造も惨憺たる状態だった。桜井氏も当時は、社員にモラルも危機感もなく、倒産か自殺かという状況だったと振り返る。そのような状況から如何に脱して、普通酒の「旭富士」から大吟醸酒「獺祭」に方向転換できたのか?

・まずは、これまでの常識を疑い、純米大吟醸を作りたいとの思いを抱き再出発。

一級酒以上は大手メーカーがやることで地方メーカーは二級酒との風潮に対し、それまでの普通酒の製造をやめて、高級な純米大吟醸に一本化。薄利多売のビジネスモデルから、高付加価値品でブランド化する戦略転換を決断した。そして、伝統的な酒造りである杜氏とその下で働く蔵人集団体制(オーナー社長は酒造りに口出しできず販売に徹するのが慣例)を打破。社長が口出しできる酒造りを目指すと同時に、蔵内を年中5℃に保つことで年中酒造りができる体制にするために季節労働者の杜氏(夏は農業従事)制度をやめ、自社社員で造ることにした。そのために、酒造り工程のデータ分析を徹底的に行い杜氏の「勘と経験」を超える工夫によって、ブレが出ないという意味で、勘と経験に頼った酒造りよりも良いものが造れるようにした。

いずれも、そう簡単に進んだわけではない。まず販売面では、地元岩国で販売競争をするのは止めて、青森などの地で販売を試みた。が見向きもされず、たまたま東京多摩の酒店が取り扱ってくれることになって、大ヒットさせた。卸業者を経由せず直取引にしたが、その際も大きな軋轢を生んだ。いろんな苦難を乗り越えられたのは

自分がやるしかないと腹を括ったところから知恵が出る、そしてその支えになったのは「旭酒造があることが社会の為になっている」との実感だ。

旭酒造の理念は

「酔うため、売るための酒ではなく、味わう酒を求めて」

飲んで酔っ払ってもらえればいいと言うのではなく、酒を味わってもらいたいとの思いだ。最高品種「山田錦」を最大77%も磨き芯の部分だけを使うことで 獺祭のフルーティーな香りと味が生まれた。今年には、本蔵の改築が完了し、5万石の生産体制が整うとのことだ。いま日本経済は成長戦略の実現が課題となり、かつ地方創生が叫ばれているが、経営者の卓越した判断力、現場の力をまとめ引き出す能力こそが問われている。桜井氏も、試行錯誤で苦しんでいるとき、船井幸雄氏の本を読みながら経営の勉強をし、大いに参考にしたと言う。