「日本の課題2013」カテゴリーアーカイブ

今日は「成人の日」、若い人たちの将来は?

今朝の日経朝刊に二つの話題が掲載されている。社会人となった新人の話と、3か月後に社会人となる内定者の話だ。

前者は、2面社説で「ソーシャル世代の生かし方」のタイトルで、「今年の元日を20歳で迎えた新成人は122万人、団塊世代が20歳だった1970年ころの半分だ」との書き出しで始まっている。人口減少時代に既に突入しているが、少子化問題は日本の将来に向けても大きな課題だ。その中で、昨年の日本生産性本部の新入社員調査結果の一部が紹介されている。「今の会社に一生勤めたい」人の割合が、入社直後の60%から秋には31%に減り、過去最大の下げ幅となったとのことだ。減り方が目立ち始めたのは4年前かららしい。「仕事を通じて叶えたい夢がある」人の割合も同じ傾向にあると言う。「失われた20年」という言葉があるが、今年成人した人たち含めて若い人たちはバブル時代の経験なく、高齢化社会(少子化社会)の中で、不安材料ばかりを抱え、自分で何とか未来を切り開かねばとの危機感を持ちながら入社したが、一向に夢が、あるいは夢の実現可能性が見えないことで、絶望しているのだろうか?由々しき問題だ。社説氏も言うように、対話を深め「後のキャリアにどうつながり、会社が社会でどう機能しているのか、きちんと説明する態勢を整え」て、彼らが入社時の夢・希望の実現に向けて頑張れる方向にもっていかないと、会社そのものも折角の戦力を無駄にすることになり、大きな問題となろう。新世代を理解する鍵の一つが「ソーシャル」と言う言葉で、ネット上のソーシャルメディアで人とつながるのは古い世代より得意で、社会問題をビジネスの手法で解決するソーシャルビジネスや、企業の社会貢献活動にも関心が高いと言い、「企業は自社の社会的使命をもう一度自問してみてほしい。そこから若者に語る言葉が生まれる」と社説氏は提言する

もう一つに記事は21面「マナー習得で好ダッシュ」と言う記事だ。「内定期間中に感じた不安は何ですか」とのアンケート調査(ガイアックスが実施)で、ビジネスマナーが34,4%でトップだったそうだ。それを受けての記事で、「名刺交換」「アポ取り」「ビジネスメール」の3点に絞ってビジネスマナーを専門家が説いている。たしかに、学生時代のマナーから最も変えなければならないマナーは、まずはこの3点に絞られるのかも知れない。ビジネスメールで言うと、件名に「会社名と自分の名前」を入れたり、「報告か連絡か相談か」も書いた方がいいと薦める。本文でも冒頭に「お世話になっております」、社内向けには「お疲れ様です」と添えることとある。気の置けない友人や、同僚などとのやり取りになれている学生時代のマナー、特にソーシャルメディアを通じたやり取りに慣れている人にとって大事な話とも言える。この記事も、我々にとっても大事な話だ。

日経朝刊全面広告(28面)に登場!

昨年10月「お客様よりお客様の家づくりに熱心であろう」とのタイトルで浜松にある一条工務店を紹介した(http://jasipa.jp/blog-entry/8125)。その一条工務店が、第9回エコプロダクツ大賞国土交通大臣賞を受賞したとの広告が今朝の日経朝刊28面に全面広告で掲載されている。ブログでは一条工務店を下記のような紹介をした。

1978年創業の木造注文住宅メーカーで、2011年度の販売戸数が8596個で木造住宅メーカーでは全国2位の企業。グループ売上も2400億円以上。宮路社長は「株式公開もせず、宣伝活動にも注力してこなかったため、一般の方にはなじみが薄いかもしれない」と言われるが、その中でこの業績を上げられるのは、それなりの理由があるのだろう。

今回の受賞は「夢発電システム」が対象だが、過去にもエコ住宅の推進で2011年度グッドデザイン賞「ビジネスモデル・デザイン部門」受賞、環境メッセージEXPO2012で「オルタナ賞」受賞し「創エネルギー」分野で三冠達成したことで、今回の広告に至ったのだろう。

「夢発電システム」は、住宅に太陽光発電システムを導入する際、搭載費用は工務店が立て替えておき、入居後に発電した電気の売却によって得られた利益で返却していくことで、顧客の初期支出をゼロにしたのが特徴のシステムだ。さらに一条工務店の優位性は、グループ会社で太陽光パネルも内製しているため、屋根との一体型を可能とし、2011年新築の太陽光パネルの全国平均容量は1件当たり4kwのところ、一条工務店の構築住居では7kw超と言う(さらに10kw以上のシステムの開発も現実のものとなっているそうだ)。こうした点が顧客から評価されて2012年の搭載率が86.5%、最近の新築物件では90%弱に達しているとのこと。

さらに驚くことに、メガソーラーを全国10か所に設置し、合計12万キロワットの発電容量を想定した計画が進行中だ。香川県高松市では四国最大のメガソーラー計画を推進しており2014年中には3300戸分の発電容量をカバーできるものが運用開始となる。

原発問題でエネルギー問題が喫緊の課題の中、省エネを徹底的に追及しながら、再生エネルギーにも力を入れている地方の企業の頑張る姿が、今回の広告で他の企業にも刺激になり、また政治をも動かす力になればと期待したい。これまであまり宣伝活動に注力してこなかった一条工務店が、思い切ってこのような広告を出されたのは、そのような意味もあったのでないかと勝手に推察し、またまた宮路社長の経営力に感動を覚えた。

日本食がアメリカで見直された!

1977年フォード大統領時代、アメリカでは心臓病の死亡率が一位で、癌は二位だったが、心臓病だけでもアメリカの経済はパンクしかねないと言われる程医療費が増大していた(1977年には1180億ドル―約25兆円)が、そんな財政的危機を何とか打開しようということで、医療改革が進められた。そして、その一環として上院に「国民栄養問題アメリカ上院特別委員会」を設置し、全世界からよりすぐりの医学・栄養学者を結集して「食事(栄養)と健康・慢性疾患の関係」についての世界的規模の調査・研究が7年間の歳月と数千万ドルの国費を投入して行なわれ、5000ページに及ぶ膨大な報告がなされたが、それを「上院レポート」又は委員長の名前をとって「マクガバンレポート」と呼んでいる。

そのレポートの中で、「世界で最も理想的な食事は、元禄時代(1700年前後)以前の日本人の食事だ」と結論付けている。それは雑穀を主食とし、海藻の入った味噌汁、旬の野菜と近海で捕れる魚を副食とする食事だ。そして、その報告書を読んだアメリカ人が目覚めたのが和食で、いまではアメリカに1万店以上の和食店が出来るに至っている。

逆にその頃から日本では、アメリカで「食べるな」と警告されたハンバーガーなどのファストフードを盛んに食べるようになったと言う。

これは、「致知2012.9」の「いま日本の進むべき道」の記事の中で、東京大学名誉教授月尾嘉男氏と東北大学大学院教授安田喜憲氏との対談で月尾氏が日本の固有の文化を日本人自身が気づいていない一例として紹介したものだ。

安田氏は、上記話に続いて、「財布を落としてもそのまま戻ってくるという世界でも稀なる国をつくった日本人は、人を信じる心が残っている。その心は縄文と稲作漁労の連綿とした歴史の中で築かれてきたもの」と言っている。アインシュタインが来日した時、「日本人の心の優しさや美しい立ち居振る舞い、正直な心の原点が日本食にあるのではないか」と言ったそうだ。

ほんとに日本人は、自国の事を教えられていない中で、「日本人の誇り」どころか「敗戦国」としての負のイメージに捉われている人が多いと言われている。我々高齢者が、若い人たちに、積極的に日本人の良さ、日本の良さを説明し、海外に出ても自信を持って他国と接することが出来るようにせねばならないと痛切に思う。