「日本の課題」カテゴリーアーカイブ

世界人口70億人に!

26日国連人口基金(UFNPA)が世界人口白書を発表した。10月31日に世界の人口が70億人に達するらしい。1987.7に50億人、1999.10に60億人、その後12年で10億人が増えたということになる。2050年には93億人、2100年には101億人との予測もある。1800年中頃はせいぜい数億人だったのが、産業革命や医療革命で爆発的に増えたそうだ。10月31日誕生予定が21万人、そのうち日本は2900人(どこかに申請すれば70億人目との認定証が出るらしい)。

一方日本の人口は、2010年の国勢調査の結果、初めて減少に転じたそうだ(比較対象が前回の国勢調査の2005年)。もっとも日本に滞在する外国や国籍不明者を入れると0.2%の増加らしい(増加率は過去最低)。住民基本台帳ベース(日本人人口)では2006年からすでに減少に転じているとのこと。加えて高齢化率が23%になった(2005年は20.2%)が、2050年には40%近くになる予想とか(私も団塊の人間として寄与しているが)。日本でも江戸時代は日本人人口が3000万人程度だったが、それ以降急激に増え1億を超えたそうだ。しかし、2006年をピークに急激に人口は減り、100数十年後は、5000万人を切るとの予測も出ている。

日本では少子化・高齢化などの問題が論じられているが、世界的にみると、人口大幅増問題(毎年日本1国が誕生するペース)はより深刻な問題となりそうだ。とりわけエネルギー・食料・環境問題が重要である。三菱総研理事長の小宮山氏の著になる「日本再創造」によると、2050年が大きな転換点になると予想され「ビジョン2050」を策定されている。それによると、日本は過去の公害や、石油ショックなどの問題を解決してきた課題解決先進国であり、課題を解決する潜在能力があるため、今横たわる問題も他国に先駆けて解決できると発破をかける。

  • 自動車の台数が4倍(現状10億台が40億台)になっても、電気自動車や燃料電池車などの普及と、日本の燃費効率を活用すれば、現状より世界のエネルギー消費量は減らせる。
  • 鉄鋼、セメントなどの省エネ技術は、他国を凌いでいる。これを世界に普及させる。
  • 物質循環型社会の実現で、日本は「資源自給国家」になり得、資源の枯渇を抑止できる。

などの施策を提言されている。日本では「ものづくり」のエネルギー効率はかなりのレベルに達しており、今後はエネルギー消費の半分強を占める我々の「日々の暮らし」(輸送関係含む)に大きな省エネ可能性があると主張されている。エコキュート、エコファームは日本の世界に誇れる技術と宣伝され、実際「小宮山ハウス」にも導入され、他の施策と合わせてエネルギー消費量80%削減を達成されているそうだ。

日本独自の「もったいない」精神を大いに発揮し、「課題先進国」から、自信を持って「課題解決先進国」と言える国にしようではありませんか。

地域再生も市民が主役!

コミュニティデザイン手法を用いた地域再生への模索をテーマにした、NHK総合「クローズアップ現代」を見た(10月18日)。人と人との“つながり”を広げることで活力を生み出すという「コミュニティデザイン」、その第一人者の山崎亮さんは、これまで20の自治体を成功に導き、現在、全国から依頼が殺到している。ポイントは、住民自らに課題や魅力を発見させ、自分たちの手で解決法を考えさせることだという。

延岡市は、他の地方都市と同じく、駅前はシャッター街化、建物の20%が空き家となっている。この年に山崎さんが呼ばれ再生プロジェクトを始めた。市民100名以上が加わり、対策を練ったが、合言葉は「市としての誇り(Civil Pride)を取り戻せ!」。

山崎さんの成功例の紹介もあった。私の地元瀬戸内海の島「家島(姫路市)」の再生への取り組みである。昔は、山から土石を切り出し、関西国際空港などへの提供で活気があり、大金持ちもいたようだが、今は過疎化がどんどん進み、島の行末が懸念される状態にあった。「島としての誇り」を取り戻すために学生を派遣し、魚を食べさせたりしながら、島の誇りを島の住民に気付かせる活動をした。実際、活きのいい鯵など、魚や海苔は家島独特の味があり、学生たちもその味に舌鼓を打った。そして島の人たちは、誇りを取り戻し、NPO法人まで作って、町の活気を取り戻したそうだ。兵庫県三田市も人と人との絆を求めて、いろんな行事に多くの人が集まり活況を呈しているとか。

延岡市も、市民が議論を通して、市の誇りに気付き、空き家での市民のいろんな集まりの提案や、空き地でのコンサートなどなど、市民主体の提案が出て動き始めたそうだ。

今、国や多くの企業も大変な状況下にある。が、危機を脱するためには、国民自身が国の誇りに気付き、自らが強い思いを持って自主的に動くこと、社員が会社の誇りに気付き、自らその気になって会社の活性化に動くことが重要である。主人公は、一国の総理ではない、社長ではない、国民、社員そのものの意識と行動力がなければ変わらない。

延岡市も企業城下町で、市のことは企業と行政に任せきりだったため、不況に巻き込まれてもどうしようもない厭戦気分が漂っていたが、市民活動で蘇りつつある。番組から、大きな教訓を得た。

「もったいない」を世界語にしたマータイさんご逝去

日本語の「もったいない」を用いて環境保護の大切さを訴えられた、ノーベル平和賞受賞者(2004)で、ケニア人のワンガリ・マータイさんが25日亡くなられました(71歳)。

女性の地位向上と環境保護への貢献を認められ、2004年にノーベル平和賞を受賞され、翌2005年国連の「女性の地位委員会」閣僚級会合で、日本語の「もったいない」を環境保全の合言葉として紹介し、会議の参加者と共に唱和されたとか。マータイ氏は「もったいない」は、消費削減(Reduce)、再使用(Reuse)、資源再利用(Recycle)、修理(Repair)の四つのRを表している」と解説し、他の言語にはこの様な言葉が無いことを示された。昨年2月には来日され、皇太子ご夫妻と面会され、日本でも地球環境問題への取り組みに精力的に活動されました。

日本語が英語化したものとして「津波(tsunami)」、「切腹(harakiri)」、「過労死(karoshi)」、「おたく(otaku)」、「変態「hentai」」など、必ずしも誇らしいとは思えない言葉が多いが、「もったいない」は日本語の素晴らしさを自信を持って言える言葉ではないでしょうか。日本人ではなく、ケニア人が世界に紹介してくれたのも意義深いものがあります。

世界最古の国である日本が育んできた日本語は、英語などに比しても、深く味わいのある言葉が多いと言われる。「いただきます」「ごちそうさま」も、人が人として生きる上での、神々、大自然、食材、生産者、料理人などに対する感謝の気持ちを表す美しい言葉と言えます。漢字文化も、中国からの輸入と思われますが、中国の和製漢語研究者の曰く「日本語から借用した外来語は驚くほど多く、社会科学・人文科学方面の用語のおよそ7割は日本から輸入したもの」と。化学、情報、理想、文化・・・などなど。

日本語の価値を教えてくれたマータイさんに感謝すると共に、合掌!(内容の一部は、竹田恒泰著「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか(PHP新書)」から流用しています)