人類史 迫る初の人口減少!(日経)


日経朝刊の1面でこんな衝撃的な記事が掲載された(8月23日)。その後、「人口と世界~成長神話の先に~」と題したコラムが続いた(7回)。テーマは

人類の爆発的な膨張が終わり、人口が初めて下り坂に入る。経済発展や女性の社会的進出で、世界が低出生社会に転換しつつある。産業革命を経て人口増を追い風に経済を伸ばし続けた黄金期は過ぎた。人類は新たな繁栄の方程式を模索する。」ということ。

昨年7月にワシントン大学が「世界人口は2064年の97億人をピークに減少する」との衝撃的な予測を発表した。50年までに195か国・地域のうち151が人口を維持できなくなると言う。30万年の人類史で寒冷期や疫病で一時的に減ったことはあるが。初めて衰退期がやってきて、出生率が回復しなければいずれ人類は消滅するとも予言する。

1800年に約10億人だった世界人口がいまや78億人。人口が爆発的に増えたのは人類史で直近の200年間。ワシントン大の予測では減少幅が顕著なのは中国で2100年に現在の14,1億人から7.3億人になるという。

流れを変えたのは女性の教育と社会進出が加速したことによる出生率の低下、いち早く人口減に突入した日本にとっても改革のチャンスで、従来の発想を捨て、人口減でも持続成長できる社会に大胆に作り変えられるかが問われている。

以降の連載記事に関しては、各施策に関して論じている。

2回目は「労働輸出国 細る若年層~移民政策 国の盛衰占う~」。先進国では人口の増加が鈍った後も移民が成長を担ってきた。移民の数は、2020年に2億8100万人と20年前の1.6倍となった。米国では移民が1990年代のIT革命を支えた。ワシントン大では「今後30~40年は移民をめぐる競争になる」と予言する。人口減が本格的に訪れれば、もはや移民に頼り続けるのは難しい。当面は「選ばれる国、定着・永住できる国」になる工夫をしつつ、長期的に経済全体の生産性を如何に底上げするか施策の巧拙が各国の経済の浮沈を左右すると指摘する。

3回目は、「”出生率1.5”の落とし穴~少子化克服は“100年の計”~」。“出生率1.5の落とし穴”とも”出生率1.5のわな“とも言われる出生率1.5は、超少子化に陥る分水嶺とも称される。1.5以下を長く下回った後に回復した国はないそうだ。日本1.34、韓国0.84、タイ1.5、子育て支援が手厚いフィンランドも急降下して1.37。フランスは1870年普仏戦争の敗戦を契機に「少子化対策を国家100年の計」として推進した結果、ここ数年下がりつつあるとはいえ1.8を維持している。社会全体の生産性を上げなければ経済や社会保障は縮小し、少子化が一段と加速する悪循環に陥りかねない。100年の計を今こそスタートさせるべきとする。

4回目は、「富む前に超高齢化~社会保障の崖 世界に火種~」。現役世代が引退世代の生活を支える世代間扶養が基本の制度が、人口減によって危機に晒されている。人口減時代に社会保障を維持するには労働生産性を引き上げて経済成長を続けるしかない。その改革に今から向き合う国・地域だけが「老後の安心」を確保できる。

5回目は、「国力の方程式一変~量から質 豊かさを競う」。国力と人口の関係性は強かった。今後は人口と言う量に頼らず豊かさを実現するシステムを構築できるか、新たな国家間の競争が始まる。

6回目は、「忍び寄る停滞とデフレ~”日本病“絶つ戦略再起動~」。日本では1960年代10%を超す高度成長を遂げたが、生産年齢人口が減少に転じた90年代後半は成長率が1%台半ばに鈍化し低迷が続く。イギリスなど諸外国は、この事象を「日本化」と呼んで恐れる。ユーロ圏も13年ごろから”日本化“の兆候が見られると言う。かっての成功神話は通用しない。日本病の克服には縮む需要を喚起する成長分野への投資が欠かせない。DXや働き手のリスキリング(学びなおし)で生産性を高め、高齢化など人類共通の課題を解決するイノベーションも求められる。従来型の経済政策を見直すことが必要だ。

7回目は、「生産性が決する未来~”常識”崩して成熟の壁を破る~」。人口63万人のルクセンブルグは、かっての農業国から、金融など知識集約型産業を育て、一人当たり生産性は世界の1~2位を争っていた。その優等生に異変が生じている。2015年~19年の年平均労働生産性の伸び率がマイナス0.5%となり、OECD加盟国の中で最下位に沈んだ。その背景にあるのは、金融などデジタル化が進む中、対応できる人材の育成が遅れたこと。出生率も欧州でも下位の1.37。成長の悪循環に陥る前に、リスキリングを軸とする生産性改革などに着手したそうだ。生産性の向上には、雇用を失わせると言う副作用もある。が、このジレンマを乗り越え、大胆に変化できる国が、人口減少社会で先頭を走れる。鍵は人とテクノロジーの共創。必要なのは、人口が増え続けることを前提にした「常識」を崩し、人口減に合わせて社会をデザインし直す覚悟だ。

人口減少必至の将来を懸念して、政府も少子化対策を進めているが、効果は芳しくなく予測より人口減少は進んでいる。2020年名目GDP600兆円の目標も未達成で2003年に先送りされた。少子化対策に加えて、生産性向上対策を合わせて真剣に取り組まねばならないのではなかろうか?技術力にも陰りがある現状、日本をどんな国にするか、若者を元気にするためにも議論必須である。

今、まさに自民党総裁選の真っただ中だ。ぜひとも30~50年先の日本のグランドデザインを描くリーダーシップを取れるトップを選んでほしい。課題先進国の日本が、先陣を切って同じ悩みを持つ世界に発信し、世界をリードする絶好のチャンスだ。