日経ビジネスオンライン記事『成長が止まらなくなる「稲盛和夫・4つの金言」 町の床屋を激変させた言葉~大串哲史・オオクシ社長に聞く』(http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121218/241208/?mlpに目が止まった。
リード文に「景気の後退が続く中で、10年連続2ケタ成長を続けるカットチェーン、オオクシ。千葉市稲毛区で32店を展開する同社は、過当競争と淘汰が進む業界で、異色の成長企業として注目されている。客が再来店する比率は「6割あれば優良店」と言われる理容業界で、オオクシは83.2%という驚異的な数字を上げている」とある。10年以上前に、1店のみでかつ倒産寸前の借金まみれの理髪店を継いだ大串社長だったが、今では他業界からの視察も絶えないと言う。今年の稲盛氏が主宰する「盛和塾」の第20回世界大会(横浜4000人参加)で、世界一の表彰を受けた。盛和塾には、海外でも広がり米国、ブラジル、中国含めて8000人を超える経営者が参加しているそうだ。
その大串氏が、店を引き継いだとき、「経営の軸」を求めて盛和塾の門をたたき、以降稲盛さんのアドバイスを受けつつ経営をすすめ、今の状態を作り上げた。その金言とは・・・。
「私の店はまだ1店舗ですが、多店舗展開するには何が必要でしょうか?」の問いに「大きくなっても使える仕組みを、小さい時から作っておくことだな」と。この教えを「漫然と店を増やしていくと、どこかで行き詰る」との教えと理解し、現在32店舗を目標の80店舗にするため、実際100店舗を経営している経営者に話を聞きに行き、問題点を把握する。例えば、個人商店では従業員の名前や家族構成などは分かっているが、大きくなると分からなくなるため、従業員DBを作っておくとかの対策を打っておく。組織の肥大化を防ぐため、業務の外部委託化も先行してやっておく。
二つ目は、「先代の悪口を言わない」ということ。とかく悪い面だけをあげつらって先代のせいにしたがるが、先代が築いてきた信用などプラス面を考えて経営せよと言うことだと解釈し、納得。
三つ目は、「現場を見ろ!」。盛和塾である経営者が事業計画書を稲盛さんに見せたところ、1分もしないうちに、計画書を閉じて「お前、現場をみていないな」と一喝。経営計画書は金融機関の為ではなく、現場目線で描く。現場の人が計画書を読んで「よし、やってやろう」と打ち震えるものかどうかが重要だと理解した。今は、パートの人にまで事業計画書を配り、何度もみんなで読み合わせをして共有していっている。
4つ目は非常に難しいことだが「結果につながるやるべき事をやれ!」と言うこと。多くの会社は「結果が保証されないやるべき事を決めてしまいがち。従って、結果が出るやるべき事を追い求めなければならない。そのためにすべての施策の結果を数値化し、「結果が出る施策かどうか」の検証をしている。
詳細は記事を見て欲しいが、言えることは、自分の弱みを(大串氏は経営経験なし)補完するために、理論だけのコンサルタントではなく、経営を実際にしている稲盛さんの教えを請うために盛和塾に参加し、稲盛さんの一言一言を深く噛みしめ、その意味を自分なりに解釈し、実行していく姿勢と行動力が大串社長にはあったということだろう。「信奉できる人を見つけ、その人をとことん信じて実行に移す」。松下幸之助氏の言う「素直な心」も必要だ。ちなみに盛和塾は年会費6万円だとか。安いものですね。JASIPAの会員、とりわけ経営者の皆様にも参考になる話だと思います。