小林製薬やサイバーエージェントのような儲かる会社には「社員が寝る間も惜しんでアイデアを考える仕組みがある」と言う。「NEWプロジェクトの作り方」(伊庭正康著、フォレスト出版)の要旨がTOPPOINT10月号に紹介されていた。
例えば小林製薬では年間40万件を超えるアイデアが社員から寄せられる。仮にその年のヒット製品が10個だとすると、99.9%は無駄なアイデアになる計算だ。99.9%のアイデアが捨て案になる現実の中で、社員たちが喜んでアイデアを出し続けているところがすごい。社員たちが喜んで知恵を出し合う、そんな「すごい仕掛け」があると言う。
最に紹介する仕掛けは、社内に「コミューン(共同体)」を作ること。人材スカウト業のレイスが行った仕掛けは、里親制度。入社3年目の社員を「里親」に認定し、その下に入社2年目の社員を「里兄、里姉」として置き、そして新人を「里子」としたバーチャルな家族をつくる。1:1のメンター制度ではなくコミューンにし、毎月1回は「里家家族会」を開く。費用は会社負担。「見守ってくれている感じがありがたい」と評判で、離職率が30%から2.7%に下がったそうだ。昔と違って、上司がしばしば変わる中で、だれが自分を見てくれているのか、だれに相談していいのか分からないような状況下に置かれることで元気を無くする社員も多いのではなかろうか。
儲かる会社は、新規顧客を増やし、既存客のリピート率を高めながらも安売りはしない、そんな「三律背反」するシナリオを実現させている。ある結婚式場では「お客様の希望をかなえたい」という気持ちを社員全員が持ち、「入院中のお母さんに病院で晴れ姿を見せるために病院で結婚式を挙げる」という判断は社員が行っても構わない制度にして、10年弱で挙式数を倍以上に増やした。リッツカールトンやサウスウェスト航空も同じく事前承認は必要ない。お客様が最も感動するサービスは、社員の自律的な行動から生まれる。お客様の感動が「三律背反」のシナリオを実現させる原動力となる。
他にも「危機感」は事実を見せて伝えよ、プロジェクトには本気のメンバーを選択せよ、コンテスト方式で全員を巻き込め、など成功企業の実例を紹介している。
企業理念や、経営方針が社員に行きわたると、儲かる仕掛け(顧客に喜んで貰える仕掛け?)はいろんなバリエーションを持って展開でき、成長スパイラルを現実のものと出来る。