日本時間の10日午後6時すぎ、ことしのノーベル平和賞にパキスタンの17歳の少女、マララ・ユスフザイさんと、インドで児童労働の撲滅を訴えている60歳の人権活動家、カイラシュ・サティヤルティさんの2人を選んだと発表した。17歳でノーベル賞に選ばれるのは史上最年少。ノーベル選考委員会はマララさんについては「その若さにもかかわらず、危険な環境のなかでも勇気をもって女性が教育を受ける権利を訴え続け、子どもでも変化をもたらすために何かできることを示した」と述べた。
今朝の朝日新聞に、マララさんのスピーチ全文が掲載されている。若すぎるとの意見もあったそうだが、17歳とは思えないスピーチで、さすが危険をも顧みず自らの意志を貫き通す姿勢がよく表れている。インドのサテヤルティさんと電話で、お互いに対立するパキスタンとインドの首相を表彰式に呼ぶことを約束したことも話している。
「肌の色や話す言語、信仰する宗教が問題なのではありません。お互いを人間として扱い、尊敬しあうべきなのです。そして、私たちが、子どもの権利、女性の権利、全ての人々の権利のために闘うべきです。」
2年前に頭部と首に銃弾を受け、奇跡的に助かり、今なお銃弾にも屈せず闘うマララさんの言葉ゆえに迫力がある。
「この賞によって、自分がより強く、より勇敢になったように感じました。(中略)私の歩みを前に進め、私に自信を持たせてくれる励みになりました。すべての子どもたちが良質な教育を受けられることを確実にしたいです。それだけに、この賞はわたくしにとって本当に素晴らしいものです。」「万国の子どもたちよ、権利のために立ち上がれ!私が頂くこの賞は、私だけにくれるわけではないはずです。この賞は、声なき声の持ち主であるすべての子供たちのためにあります。私は彼らのために語り、彼らとともに立ち上がり、自分達の声を届けようと言う彼らの運動に連帯します」
この賞をきっかけにして、活動をより活性化したいとの強い意志の表明だ。
タリバンの支配下にあるパキスタンのスワート渓谷に育ち、その環境でなぜ、自分の権利(教育を受ける権利)を主張するために立ち上がったか、その経緯についても話している。
「そこには二つの道しかありませんでした。声を上げずに殺されるのを待つか、声を上げて殺されるか。私は後者を選びました」
「勉強をして、自分の夢(医者)を実現したい」との純粋な思いが彼女を突き動かした。世界には教育を受けられない子供たちが5700万人いると言う。日本では教育を受けられるのは当たり前で、学校や恩師を自分の人生の拠り所としていつまでも敬い、なつかしむ風潮が薄くなってきていると嘆く人も多い。中村学園大学教授占部賢志氏は、「日本の教育を取り戻す」とは、何者にも代え難い本来の「学校」を蘇生する事として、教師や教育行政関係者に発破をかける(「致知2014.1」連載「日本の教育を取り戻す」より)。